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8/25 第228回山口中央整形外科医会 整形外科診療セミナーがホテルニュータナカであり参加しました。講師は山口大学整形外科の鈴木秀典先生で非特異的腰痛の診断と治療〜山口県腰痛スタディ〜を拝聴しました。腰痛の原因と診断、非特異的腰痛、腰椎椎間関節症に対する電気焼灼術、問診と診察、プレガバリンの知見についてお話されました。慢性疼痛が22、5パーセントを占め、腰痛が半数になります。40才以上の腰痛患者さんは1600万人と言われています。腰痛の原因として侵害受容器を介した侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛が混合しており、心因性疼痛と合わせて診断を難しくしています。アライメント異常による腰痛もあり、次回の腰痛ガイドラインの中に山口県腰痛スタディが載る可能性を示唆されました。鈴木先生の英語論文内容ですが、山口県臨床整形外科医会との協力で調査した結果、320例のデータ解析の結果、従来の原因の明らかな特異的腰痛が68例21パーセントでしたが、それ以外の従来の非特異的腰痛の中で筋筋膜性、椎間関節性、椎間板性、仙腸関節性など診断可能な腰痛が182例あり、特異的腰痛と合わせて79パーセントが診断可能で、診断のつかない腰痛は20パーセントであったという結果を示されました。又山口大学整形外科オリジナルの腰椎椎間関節症の電気焼灼術の方法、治療成績も教えていただきました。治療成績は術直後は50-70パーセントであり、治療持続効果も平均12ヶ月と比較的長いという結果を示されました。慢性腰下肢痛に対してプレガバリンは有意に改善しており、睡眠が改善することで生活の質が改善することも示されました。副作用として傾眠とめまいに注意する必要があるとのことでした。

8/24 萩長門慢性疼痛セミナーが萩であり、参加しました。講師は山口済生会山口総合病院整形外科部長の岸本先生で運動器慢性疼痛におけるサインバルタの使用経験を拝聴しました。脊椎手術を年間200例以上こなされておられますが、外来も精力的にやられているのでサインバルタのご経験をお聴きしました。慢性疼痛の保有者は18パーセントを占め、女性が多く、腰痛、頸肩、膝痛が次に続きます。1ヶ月未満の急性疼痛が3-6ヶ月以上持続すると慢性疼痛と言われますが、これまでは疼痛治療のゴールドスタンダードは非ステロイド消炎鎮痛剤ですが、消化性潰瘍、腎障害の副作用が近年問題になっています。潰瘍発生は内服でも座薬でも差がなく、予防投与としてPPIが多く使用されています。腎障害はCOX2選択的阻害薬でも他の消炎鎮痛剤と同様のリスクがあり、時々血液検査によるチェックが必要とのことでした。アセトアミノフェンは副作用が少なく、近年注目されています1500mgを超えると腎障害のリスクはあるとのことで、アルコール性肝障害の患者さんには慎重投与になります。そのため鎮痛補助薬(抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、ノイロトロピン)の重要性が注目されています。鎮痛薬と併用すると鎮痛効果を高めますが、以前は適応が限られていましたが、2010年から新しい疼痛治療薬として、プレガバリン(リリカ)、デュロキセチチン(サインバルタ)、弱オピオイド薬があります。侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、両者の混合型疼痛に分類されます。下降性疼痛抑制系障害、中枢性感作、痛覚感作についてレクチャー頂き、痛覚過敏の治療として鎮痛補助薬が疼痛の閾値を下げて痛みを和らげてくれますが痛みをゼロにするわけではないことを念頭に置く必要があります。次いで慢性腰痛に関しては非特異的腰痛が多く、神経症状を有するものもあり、急性腰痛とは治療が異なってきます。慢性腰痛の67パーセントは神経障害性疼痛であるという報告があり、非ステロイド消炎鎮痛剤が効かない症例が多く、プレガバリン、デュロキセチチンを第一選択にあげられました。神経障害性疼痛の急性期にはプレガバリンを第一選択とすることを推奨されています。変形性膝関節症では侵害受容性疼痛のみでなく、繰り返し痛みが生じることで下降性疼痛抑制系の機能減弱されることで痛みの中枢感作がおこるので、非ステロイド性消炎鎮痛剤のみでなく、鎮痛補助薬を投与して運動療法を組み合わせることで治療効果をあげることをお話しされました。デュロキセチチン(サインバルタ)の先生の使用方法として20mgを夕食後か眠前に使用され、外来でも使用頻度が増加しているそうです。分割投与することもあり、効果が十分であれば維持量として20mgか40mgで継続することもあるそうです。60mg処方されて急に中止すると離脱症状が危惧されるので勝手に中止しないようにするためにも20、40mgで維持したいとのことでした。
終了後萩むらた病院の村田院長と写真を撮らせていただきました。



初めまして!!この度春に就職した岸本です♪

お盆休みに美川ムーバレーに行ってきました!
美川ムーバレーは洞窟の中を謎を解きながら回る観光地です。
見るだけじゃなくて、頭も使って回るのでとても楽しかったです!
洞窟の中は16度ととても寒かったです(*_*)
まだまだ暑い日が続くので、涼しみたい方はぜひ行ってみてください♡
 

運動器エコー技塾サテライトが広島であり参加しました。non surgical orthopedicsという言葉を紹介されました。講師は高名な東あおば整形外科の高橋周先生でテーマは痛みの攻略塾という内容でエコーガイド下に疼痛治療を進めていくかを学びました。まずプローブの持ち方のコツとして被験者の体に検者の手指を密着させること、短軸と長軸を変えるために病変を中央に持っていくこと、目線が対象物と平行になることを教えていただきました。肋骨から肋軟骨の短軸を瞬間で切り替えて描出するコツ、短軸から長軸への描出する技術を実際に体験しました。肩のエコーのおさらいで棘下筋後方に石灰沈着があることに注意すること、柔らかい石灰はアコースティックシャドーを引かず吸引できること、肩甲上神経障害でガングリオンが原因の場合、肩甲上切痕より棘窩切痕を見ること、肩甲挙筋の筋筋膜リリースの部位や方法についても学びました。午後から踵の痛みについてのレクチャーがありました。アキレス腱と足底腱膜は踵に付着して連続しており、Heel cordと言われており、アキレス腱炎と足底腱膜炎が代表的でランニング障害では足底腱膜炎が15パーセント、アキレス腱炎が11パーセント占めること、足底腱膜炎では付着部、実質部の肥厚(4ミリ以上)があるそうです。Kagerの脂肪体の炎症、滑走不良など教えて頂きました。最後に究極のintervensionという講義でエコーガイド下の注射の講義でした。細い注射器を使うこと、穿刺、吸引薬液注入、神経ブロック、異物除去、腫瘍生検などに使用するとのことでした。半月板の痛みとして立位で膝を屈曲すると内側半月板の亜脱臼が強いと痛みが強い、大腿骨側の深層が腫れている時はそこに注射する方法も紹介されました。50肩をどう治療するか?について外旋→外転→内旋→挙上の順で拘縮が進むそうです。又C5、6神経ブロック後にサイレントマニュプレーション、hydrodissectionについて教えて頂きました。

今日から盆明けで予想通りの混雑でしたが無事終了しました。盆を利用して人間ドックに入り自分の健康に向き合う時間でした。それと全く別の話題ですがうちの愛犬のいい写真が撮れたのでアップします。いつもお願いするメジエールさんが4匹を上手に取ってくれました。
6/8クリニック終了後に下関で立川志の八さんの真打ち昇進の独演会がありました。残念ながら落語は聴けなかったのですが打ち上げには参加させてもらいました。そこにクッキングパパのうえやま とち先生がおられてご一緒させていただきました。志の八さんの後援会長だそうです。今度は是非落語を観てから参加します!
8/6大阪から帰る前に国立国際美術館で開催されているバベルの塔展を観に行きました。10時開場で9:30に行きましたがすでに20人並んでいて10時前には200人ほど並んでおり人気の高さにびっくりしました。バベルの塔の絵画は最後に飾られており皆熱心に見入っていましたが、そのあとに東京芸大チームがCGで作成した精細版のバベルの塔があまりにもリアルで感動しました。

リクラストエクスパートフォーラム が大阪であり、参加しました。基調講演で近畿大学整形外科の宗圓教授の「我が国における骨粗鬆症治療の変遷」についていけ拝聴しました。

平均寿命に関して骨粗鬆症、大腿骨近位部骨折の関与は内科的疾患に匹敵すると言われています。骨粗鬆症患者さんは推定1280万人と言われています。脊椎骨折や大腿骨近位部骨折は加齢とともに増加し、大腿骨近位部骨折は5年生存率が50パーセントで生命予後に直結します。大腿骨近位部骨折は日本では80歳代で手術例がやっと減少に転じましたが、90歳代では増加しているとのことでした。我が国では骨粗鬆症診断基準が1995年に出され、1998年に骨粗鬆症治療ガイドラインが出され今までに改訂を重ねています。2012年の最新の診断基準では脊椎骨折、大腿骨近位部骨折があれば骨粗鬆症であり、その他の脆弱性骨折では骨密度が若年平均の80パーセント未満で骨粗鬆症、骨折がない場合は骨密度が若年平均の70パーセント未満となっています。骨粗鬆症の薬物治療開始基準として脆弱性骨折がなく、骨密度が若年平均の80パーセント未満でもFRAXで15パーセント以上、両親の大腿骨近位部骨折がある場合には治療開始するとされています。骨粗鬆症治療薬でビスフォスフォネート製剤が最も使用頻度が高いですが内服薬、静脈注射(1ヶ月に1回と1年に1回があり)があります。最近発売されたリクラスト(ゾレドロン酸)は年1回の静脈注射薬で新規椎体骨折を二年で62パーセント抑制され、非椎体骨折も有意に抑制されました。副作用として発熱が30パーセント、関節痛10パーセント、インフルエンザ様反応7パーセントありました。副作用対策でアセトアミノフェンやイププロフェンを数日内服することで軽減できるとのことでした。腎障害のある患者さんには慎重投与です。またビスフォスフォネート製剤と顎骨壊死の関連性は2017年のポジションペーパーではビスフォスフォネート製剤を4年以上投与されている場合、抜歯など外科的処置が必要な場合は歯科と相談して行うことが出されましたが基本的には休薬は必要ないとのことでした。神戸大学の口腔外科の論文では顎骨壊死にビスフォスフォネート製剤の休薬に関連性がなかったが、抜歯後の開放創は顎骨壊死の危険因子となるそうです。我が国の骨粗鬆症治療の現状は骨折患者の2割であり、継続率が低い(50パーセント未満)ので骨粗鬆症学会が骨粗鬆症リエゾンサービスを推奨しており、医師のみでなく、メディカルスタッフが関与することで初発骨折の予防と骨折連鎖の予防と治療の継続の維持が目的です。

ついでカリフォルニア大学のBlack教授の骨粗鬆症性脊椎骨折の予防:新しい効果的な治療という講演があり、私にとっては久しぶりにネイティヴスピーカーの講演でした。Black先生は約6500例のアレンドロネート製剤やリセドロネート製剤の大規模試験や様々な論文があり紹介されました。ゾレドロン酸投与の7000例の3年の結果で脊椎骨折を70パーセント、大腿骨近位部骨折を約41パーセント、非椎体骨折を25パーセント抑制したとのことで、顎骨壊死は1例でプラセボ例でも1例でいずれも治癒したとのことでした。非定型骨折は頻度は少なく、大腿骨近位部骨折の抑制率の方が上回るとのことでした。

最後です。内科の勉強しっかりできました。
禁煙指導

タバコの煙には本人が吸う主流煙とタバコから立ち上る副流煙があり、多くの有害物質(ニコチン、タール、発がん物質など)が含まれ、副流煙の方が数倍から数十倍多いです。肺がんのみでなく、口腔ガン、喉頭がん、食道がんなども引き起こし、子供の中耳炎や喘息への影響もあります。日本の男性の喫煙率は30パーセント、女性は8パーセントで男性は低下していますが女性は横ばいです。日本では能動喫煙で年約13万人が死亡し、受動喫煙では年15000人が死亡しています。


 

健康相談

健康増進の考え方は1946年にWHOが提唱した「健康とは単に病気ではない、虚弱でないというのみならず、身体的、精神的、そして社会的に完全に良好な状態を指す」というところから1980年以降は健康増進は個人の生活習慣の改善だけでなく、環境の整備を合わせたもの(ヘルシーシティ)へと変化しています。

禁煙、節酒、減塩、運動、適正体重の5つの健康習慣を実践しているグループのがん相対リスクは男女共直線的に低下し、健康習慣を一つ実践するごとにがんのリスクが男性で14パーセント、女性で9パーセント低下することが明らかになりました。

健康日本21では10年後に目指す姿を「すべての国民が共に支え合い、健康で幸せに暮らせる社会」とし、希望や生きがいを持てる基盤となる健康を大切にする社会、誰もが健康づくりの資源にアクセスする社会、社会環境の改善を図り、健康格差の縮小を実現する社会を目指すとしました。臨床医ができることは社会心理的な困難を抱える人たちを見出し、非医学的問題について相談にのり、自己肯定感を高めるように支援し、患者会、家族会を支援しそこをつなぐことで孤立や不安の緩和をすることです。高齢者の低BMIは総死亡率を増加することから、フレイル、サルコペニアの危険がまし、要支援、要介護のリスクが増大するため、その予防が求められ、栄養、身体活動、社会参加の3本柱が健康長寿に重要です。前期高齢者以前ではメタボ、過栄養対策などの生活習慣予防が中心で、前期高齢者では過栄養と低栄養を判断して戸別に対応し、後期高齢者では低栄養、フレイル予防が中心となるとのことです。


 

介護保険

日本の介護保険制度の特徴は保険者は市町村で被保険者は65才以上の第一号保険者、40-65才未満の第二号保険者となり50パーセントが公費が導入されています。要支援は予防給付であり、介護認定にコンピューター判定を導入されたこと、在宅療法が主流、ケアマネジメントの導入、市町村を中心にしたシステムであることが特徴です。介護保険には介護認定という給付額制限があること、給付内容の決定権は本人、家族になります。介護認定審査、ケアマネジメント、介護予防が今後介護保険制度成功の鍵になるそうです。介護保険利用者に対するかかりつけ医の役割として本人の心身の総合的健康管理、介護者を含めた家族全体の健康管理、本人、家族の意思決定に対する援助、

在宅医療 、チームアプローチのコーディネーターであることが求められます。主治医意見書が大事で特定疾病を傷病名の1に記載すること、介護の手間がどの程度になるか?状態の維持、改善性の評価、介護サービス計画作成時に利用すること、その他注意点を教えて頂きました。



 

高血圧症は世界で11億人、我が国で4300万人存在し、降圧薬療法は脳血管障害を40パーセント、心筋梗塞を20パーセント減少するそうです。死亡の危険因子の第一位である喫煙についで高血圧が二位、三位は低い身体活動(運動不足)ですので高血圧の治療は非常に重要です。前期高齢者(65-74才)で高血圧が66パーセントで降圧薬を服用していない人(放置)が24パーセント存在することは問題です。高血圧は収縮期血圧140mmHg以上、又は拡張期血圧90mmHg以上と定義されています。家庭血圧(朝起床後1時間以内排尿後、朝食前、座位1-2分後に二回測定して平均をとる)が診察室で測る血圧より優先されます。家庭血圧が13585mmHg以上あれば仮面高血圧(10-15パーセント)として薬物療法を開始します。降圧目標は14090mmHg未満とし、心血管系のリスクが高い糖尿病や蛋白尿陽性の慢性腎臓病では13080mmHg未満を目標にします。生活習慣の修正では16グラム以下の減塩、BMI25未満の減量、有酸素運動、節酒、禁煙指導が必要です。降圧薬治療はカルシウム拮抗薬、ARB(アンジオテンシンII)阻害剤、ACE(アンジオテンシン転換酵素)阻害剤、利尿薬、β遮断薬を単剤から開始し、効果を見ながら調整するそうです。服薬管理で残薬の確認も重要とのことでした。治療抵抗性高血圧は専門医紹介が必要となることがあります。心不全は以前は心臓の左室駆出率低下などの左室収縮機能障害で生じると言われていましたが、最近では左室拡張機能障害に起因するそうで、心房細動は脳卒中の発症率が48倍ありますので、脳卒中予防のため抗凝固剤を使用します。

 

認知症は我が国で530万人と言われており、2025年には五人に一人となる700万人を超えると言われています。老化とは生物学的には成長から成熟という段階をえてやってくる退縮過程のことで高齢期の正常変化です。老化の4原則とはすべての個体に現れる、各々の個体差が多い、同一個体内で臓器により老化に差がある、非可逆的であることです。認知症とは正常に発達した知的機能が、脳の後天的な器質性変性により生じる症候群で、意識障害がなく、記憶障害、判断力の低下があり、社会生活や対人関係に支障を来し、脳の器質的疾患の存在が確認(うつ病を否定)されることで診断します。代表的な認知症とはアルツハイマー型(認知症の50-60パーセントでアミロイド沈着が主)、脳血管性、レビー正体型(早期よりパーキンソン症状、幻視、レム睡眠時の異常行動、うつ状態)、前頭側頭型(ピック病)、その他に分類されます。甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、高次機能障害、ビタミン欠乏症など可逆性の疾患にも生じます。認知症の症状は脳細胞の損傷で生じる中核症状(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害、失行・失認)と行動・心理症状(問題行動、周辺症状、妄想、幻覚、不眠、徘徊、攻撃的、不潔行動、介護への抵抗、異常行動など)を整理して理解します。抗認知症薬は4種類あり、中核症状に対して使用しますが根本治療薬はありません。認知症の人に対する対応の基本は援助者の気持ちが当事者に伝わることに留意することだそうです。