第10回多職種フットケア研究会に参加しました

北九州市立男女共同参画センター ムーブで第10回多職種フットケア研究会に参加しました。テーマは「元気な足元はからだ作りから」〜ジャージ祭り〜というユニークな題です。最初に東京富士大学の岡田慎一郎先生の「あらゆる状況に対応するシンプル身体介助術〜フットケア施術者への応用〜を拝聴しました。理学療法士と介護福祉士の資格をお持ちの先生です。身体介助術 、体づくり は下半身が土台で股関節を使用すること、技術3原則として抱え方、骨盤位置、一体化(重度)について実践を交えてお話されました。しゃがんで股関節で移動する動作(草取り動作)を皆でやりましたがなかなか難しかったです。和式トイレにしゃがむのに股関節が120度は必要ですが椅子での生活は股関節可動域が90度あれば足りてしまうので不利で、草取り動作で膝中心に動いてしまいます。股関節を中心に動くようにするコツを教えて頂きました。抱え方で体に手が回せて手の甲を体に密着させると力を使わずに抱えられるそうです。肩甲骨をしっかり動かすと可動域が上がることも教えていただきました。次いで神戸親和女子大学ジュニアスポーツ教育学科の平尾先生の筋トレの是非について〜効果的な体・足のパフォーマンスとその応用〜元ラグビー日本代表選手だったそうですが脱筋トレ宣言というコラムを書かれています。筋トレ全盛の時代だが、スムースな身体運用には目的とする動きを目指して実際に体を動かす中で向上するのが本質であり、目的となる動きに必要な筋力はその動きを通じることでしか培われないとのことです。身体運用について考えるときのキーワードは全身協調性であるとのことでした。高齢者の転倒防止の為に下肢の筋トレをするだけよりバランスボートでトレーニングした方が転倒防止に必要な筋力がつくそうです。発生論的運動学では動きを覚える動感促発身体知があり、今ここを感じる身体知である始原身体知(ここを感じる体感身体知と今を感じる時期化身体知)、コツとカンなど形づくりの形態化身体知、仕上げの身体知などのからだに潜む様々な能力を駆使していくことが重要であるとのことでした。
最後にびわこ成蹊スポーツ大学スポーツ戦略コースの高橋先生の古武術をスポーツに活かす〜体の動き、足の動きを拝聴しました。野球部出身でスポーツバイオメカニクスを専門とされ、古武術と出会われて体の使い方がよく理解できたそうです。小平奈緒選手の一本歯下駄の指導にも関わったそうです。古武術的な体の使い方は筋力に頼らない、捻らない、ひねらないそうです。生活に根ざした体の使い方をするのが古武術だそうです。肘を意識せずに曲げると上腕二頭筋だけでなく三頭筋も使うのでより重いものが苦痛でなくなるそうです。足趾をしっかり地面に効かすにはタオルギャザーは下腿がつるぐらいでないときたえられないそうです。映像で分析して動きにとらわれることは逆効果だそうです。岡田先生と高橋先生の講義はほとんど実技でしたので非常に貴重な経験でした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。