院長ブログ

インフルエンザ感染が年末から流行した影響は、山口市休日内科当番や夜間診療所に大きな影響があり、今年の年末から山口市内科当番は2医院体制になりましたが、予想をはるかに超えた発熱患者さんの来院があり、終了が21時になった医院もあります。山口市休日夜間診療所でも19時の開始前から発熱患者さんが車で待機され、電話もひっきりなしにかかってきて対応に追われました。私も医師会長として応援で12/30から毎日夜間診療所で電話応対を行いましたが開始から1時間が電話での問い合わせが多く、市外から受診希望の患者さんもおられました。1/4も発熱患者さんが多く、市の健康増進課と協議して先週末は市の保健センターを開放しましたが発熱患者さんの混雑はなかったです。しかしながら今後の流行期の対策はしっかりできましたので今後の流行期には活用できると思います。

12/22維新ホールで小児股関節エコーセミナーに参加しました。通常2日間のコースを5時間で行うコースですが今回は1日コースでした。

山口大学整形外科黒川先生の山口県の動向について講義されました。山口県は一年で約7000人出生がありR3で山口市は年間1225人で1ヶ月検診は1200人が受けるとのことでした。3-4ヶ月、7ヶ月検診もほぼ全員受けられ1,3ヶ月検診で先天性股関節脱臼のチェックがあり疑いがあると整形外科を受診されます。山口大学整形外科小児外来では3年間で14例ありうち脱臼が2例とのことでした。星野先生の股関節エコーの要点を解説されました。赤ちゃんを側臥位として大転子直上にリニアプローブを置き冠状断走査を行う方法で15の解剖学的同定をマスターし腸骨下端、腸骨外縁、関節唇の3つを同時に描出する、3本の線からなる2つの角度を加味してGraf分類を行うのが要点です。エコーの基礎とアーチファクト(サイドローブ、多重反射、エコーの途絶アコースティックシャドウ)も教えて頂きました。次いで股関節の解剖の講義がありました。小児の股関節は軟骨成分が多く大転子、Y軟骨、股関節包、股関節唇、軟骨膜、ダイ大骨頭靱帯、peripheral gap(最近のエコーでは連続)を詳細に教えて頂きました。

次いで青木先生のグラフ法による超音波診断の講義がありました。日本で股関節脱臼の診断が一才以降になる率が日本で15%とのことでリスク因子(股関節開拝制限と大腿または鼠径部しわの非対称の二つのリスク因子があれば画像評価をすること、エコー当てる時のコツ、むきぐせと反対側の股関節脱臼が多いと教えて頂きました。大腿骨頭核の位置、股関節被覆率で脱臼を判断してはならない、タイプIに見えない時は脱臼を疑い専門医紹介することを勧められました。参加者全員に違うエコー画像で解剖を唱和するスパルタ方式で鍛えられました。

昼飯を食べながらグラフ法の超音波エコー台(エアーぺコラ)を開発された藤原先生のランチョンセミナーがありました。先天性股関節脱臼は現在は発育性股関節形成不全(DDH)と命名されました。DDHはコアラ抱っこの仕方を指導、普及させたことで発生率は劇的に減少しましたが最近の傾向は一才以降に診断されるケースが多く今後の課題としては早期発見の必要性があります。X線撮影は生後数ヶ月は軟骨成分が多いため診断が難しくエコー診断が重要です。先生の開発されたぺコラはビーズが入っていましたが現在は空気を入れるタイプのエアぺコラを紹介されました。(当院で購入しました)エコーによるグラフ分類についての解説を教えて頂きました。グラフ分類ではタイプI、II、IIc、Dは臼蓋中心画像、タイプIII、IVは骨頭中心画像とのことでした。IIc、Dはもやっとする境界領域といわれます。

ファントムでの訓練の後、ボランティアの赤ちゃんに直接エコー検診させて頂きました。

 

12/18ウェブで令和6年度医療機関向け感染症対策研修会を拝聴しました。山口県から感染症発症動向調査概要と感染症サーベイランスステムの活用について説明があり、山口大学感染制御部枝国准教授の「新型コロナ感染症の初期診療の留意点」、山口県環境保健センター調所長と国立感染症研究所の村井先生の「県内の感染流行状況とアウトブレイク対応の基本」について教えて頂きました。

コロナワクチン接種率が低下しており再度流行期が来ることが危惧されることも理解できました。

12/15ウェブで第6回痛みの行動医学研究会を拝聴しました。仙波恵美子の「痛みに対して行動を生み出す脳の仕組み」、丸山健太教授の「感覚免疫学」、近藤一博教授の「脳の炎症に関する新治験:うつ病とコロナ後遺症の発症メカニズム」の講演があり、感覚免疫学という新しい学問には非常に興味深かったです。骨粗鬆症、敗血症、痛みに対する新しい治療標的を見つける目的で遺伝子改変マウスで動物実験で解析された結果を教えて頂きました。

山口県総合保健会館で山口大学の国際総合科学部小川仁志教授の「哲学で心身共に健康になる方法」を拝聴しました。

哲学とは常識を超えて考える、日頃とは物事の見方を変えることだそうです。哲学者の紹介をしながら健康に対する哲学的な見方、対処法を教えて頂きました。谷川俊太郎の詩を介して死生観を学ぶ、アラン(フランス、幸福論の著書)の言葉から健康法を学ぶ、エピクロス(古代ギリシャ、快楽主義者)、プロクター(アメリカ、無知学)、フランクル(オーストリア、ドイツ強制収容所体験者)、プライス(アメリカ、社会心理学者)、トムルッツ(アメリカ思想家)、シオラン(ルーマニア哲学者)、キケロ(古代ローマ哲学者)、ジャンケレヴィッチ、フランス哲学者)、マッカスキル(イギリス哲学者、長期主義)、やなせたかし(漫画家あんぱんまん)の言葉や考え方を提示しながら健康になる方法を提示して頂きました。

12月に入りクリスマスも近くなりました。

当院ではクリスマスツリーの飾り付けを行い夕方来る患者さんにはライトアップをして和んでいただけたらと思っています。スタッフが協力して飾り付けてくれました。

院内にはオルゴール付きのクリスマスの飾りもあります。

 

12/2マイナ保険証が本格稼働する日にNHKの情報維新!やまぐちが当院に取材に来ました。

午前中当院での患者さんのインタビューなど行い、昼休みに私へのインタビューがありました。

当日診療終了後にスタッフと一緒にテレビを観て盛り上がりました。

見逃された方のためにNHKのNEWS WEBから動画が見れますので是非ご参照ください。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20241202/4060021865.html

イベニティセミナー イン福岡があり参加しました。町田慶泉病院整形外科の上野先生の「OVF治療における骨粗鬆症治療の重要性」を拝聴しました。(新鮮でも陳旧性でも)椎体骨折があれば次の骨折のリスクが3倍になり骨折連鎖の起こる確率が高く骨折数が増えるほど日常生活動作が障害されるので骨密度が正常でも早期骨粗鬆症治療が推奨されています。椎体骨折が2カ所以上、圧潰の高度例では骨形成促進薬が推奨されます。椎体骨折は保存的治療が原則ですが骨癒合せずに強い疼痛、神経障害がある場合手術になるので、新鮮骨折に骨形成促進剤での治療介入が推奨されます。BKP(バルーン椎体形成術)は低侵襲治療ですが続発性骨折発生が高くなりこちらも骨形成促進剤のテリパラチドが続発性骨折頻度を低下できます。先生の臨床研究の結果でBKP後の骨折発生率はテリパラチド、ロモソズマブともビスフォスフオネート製剤より有意に低下し遠隔椎体骨折の発生率を減らし、ロモソズマブは椎体、大腿骨近位部の骨密度増加率が高く、特に遠隔椎体骨折発生率を防止効果が高い結果よりBKP術後の骨形成促進剤の中でもロモソズマブが理想的であるとのことでした。(一年以内の心血管イベントには注意する必要があります)先生は新鮮椎体骨折の場合は前治療ない場合は椎体骨密度が70%以上の場合はテリパラチド、70%未満はロモソズマブ、前治療がある場合はロモソズマブでの治療をされるとのことで今後の参考になりました。

次いでそうえん整形外科の宗園先生の「脆弱性骨折予防の観点に基づく最新の骨粗鬆症薬物療法」を拝聴しました。橈骨遠位端骨折は50代、椎体骨折は60代後半、大腿骨近位部骨折は70代後半から急激に増加します。5年生存率は脊椎骨折、大腿骨近位部骨折後近年低下していますが椎体骨折は最初の骨折後治療介入が重要です。薬物療法でエビデンスが高いのはSERM,リセドロネート、アレンドロネート、テリパラチドですが、非椎体骨折ではテリパラチド、デノスマブ、ロモソズマブになります。ロモソズマブは一年以内の心血管イベントでは注意する必要がありますが最近のデータではテリパラチドよりむしろ少ないという結果を教えて頂きました。骨粗鬆症治療効果の判定には骨代謝マーカーを測定をしますが骨質を計るマーカーは現在ないので骨密度(腰椎よりも大腿骨近位部の方を推奨)で判断するとのことでした。ゴール達成に向けた治療目標としてTスコア-2.5以下は3-5年以内に50%以上増加すると骨折後治療開始はできるだけ早期に開始することが望ましいですが途中で休薬できるのはビスフォスフオネート製剤のみで他の薬剤は原則他の薬剤(ビスフォスフオネート)で継続することが望ましいとのことでした。

最後にパネルディスカッションで「Goal Directed Treatmentを目指した骨粗鬆症治療」について討論がありました。

11/9 山口県医師会館で令和6年度JMATやまぐち災害医療研修会があり参加しました。令和6年度能登半島地震JMATやまぐち派遣の報告を三田尻病院豊田院長の講演があり2/9-25までに重装JMAT,通常JMAT,統括JMATが派遣されたことを報告されました。次いで下松医師会のJMATのチーム編成と体制づくりについて、山口大学救急部藤田准教授の「令和6年度能登半島地震におけるDMATの活動について」で山口県で県一次隊として1/11-第二次隊として1/18-県内の総合病院から派遣されたことを拝聴しました。又長門健康福祉センター前田所長の「令和6年度能登半島地震におけるDHEAT(災害支援健康危機管理支援チーム)の活動について」の講演があり、最後に能登半島の経験を今後どのように生かしていくか?についてのディスカッションがありました。

11/8ウェブで中国労災病院整形外科の中島祐子先生の「神経障害性疼痛に対する運動器エコーの活用」を拝聴しました。エコーの基礎から組織のエコー画像の特徴、プローブ操作のコツ(異方性、ハードゼリーを使用など)、神経の超音波画像(ハニカム像)の実際と描出のコツ(血管との鑑別には圧迫する)、症例のエコー画像を多く提示して頂きました。最後にエコー下神経ブロックの方法もわかりやすく説明して頂きました。