日本整形外科学会に久しぶりに参加しました

5/26 クリニック終了後に神戸で開催されている日本整形外科学会に参加し、18:30からアナクラウンプラザホテルで開催された第6回睡眠姿勢研究会に参加しました。山田朱織先生は整形外科医で唯一枕外来をされている16号整形外科の院長ですが枕と頸部痛、姿勢の研究もされており、様々な学会で発表され、枕研究の第1人者です。臥位の至適アライメントについてX線学的検討をされた結果、至適臥位姿勢は仰臥位で頚椎が15度屈曲位で寝返りがスムーズにできることが大切だそうです。身体化症状を伴う慢性疼痛の患者さんに至適枕を作成することで疼痛が有意に改善したそうです。睡眠時無呼吸症候群の患者さんに至適枕を使用することで無呼吸数と睡眠深度が改善したそうです。睡眠姿勢を調整することで睡眠障害を改善することで慢性疼痛の改善についてさらなる研究をされているとのことですので益々のご活躍を期待したいと思います。
次の講演は和歌山県立大学医学部附属病院紀北分院の川上守教授の「頸肩の愁訴と脊椎アライメントについて」を拝聴しました。脊椎ケアセンターは春林軒という華岡青洲の病院の近くだそうです。肩凝りは夏目漱石が初めて使った言葉だそうです。英語では当てはまる言葉はないので日本でneck and shoulder painと定義されました。慢性疼痛の経済損失効果は45億だそうです。軸性疼痛が整形外科脊椎外科にとって重要か?について和歌山県立大学では以前交通事故の難治性疼痛に頚椎椎間板造影で再現性があれば頚椎前方固定術を行われたそうですが半年後は改善率が良かったですが最終時には成績が下がっており椎間板造影で手術適応を決めるべきではないという結論でした。頚椎前方固定術後の軸性疼痛は38パーセント、後方支持組織温存脊柱管拡大術後の軸性疼痛は20パーセント台で前方固定術より成績が良かったそうです。頸髄症の術後の軸性疼痛に心理的因子が関与するか?という研究では術前の疼痛は心の健康が関与しますが術後の軸性疼痛は心の健康とは関連がなかったそうです。地域住民の立位全脊椎側面X線と頸部愁訴との関係は女性に多く頚椎胸椎のアライメントとは関連がなく、骨盤前傾と頭部が前方偏位するという結果だったそうです。頸部愁訴と睡眠との関係は睡眠薬を内服率が高く中途覚醒が多かったそうです。懇親会でも山田先生、川上先生とお話できて大変有意義な時間でした。


 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。