山口経済レポート連載記事 – ページ 5

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山口経済レポート

院長が2013年から山口経済レポート(http://www.ykr.co.jp/index.html)に毎月掲載している過去のコラムを掲載しています。腰痛を中心に様々な整形外科の疾患や情報を発信していますので順次アップしていきます。

2015年7月12日に放送された、NHKスペシャル 「腰痛・治療革命 ~見えてきた痛みのメカニズム~」をご覧になられた方はおられるでしょう。この番組は東京大学整形外科の松平浩先生がNHKと協力して製作されたものです。このお手本になったのが15年以上前にオーストラリアで実施された「腰痛に屈するな!」というキャンペーンで、具体的には権威のある医師や芸能人が腰痛があっても安静は最小限にして運動したほうがいいですよ、というメッセージCMをテレビで繰り返し流した結果、腰痛による欠勤日数が減少したり、医療費が20%削減したという論文です。

実は松平先生によるとその年の再放送のリクエストが最も多かったそうで、今までに何回か再放送されています。なぜこれほど反響があったかというと、腰痛に対する考え方の意識変革と前回お話しした恐怖回避思考を減らすことが証明されたからです。

ステップ1として腰痛は怖くない、腰椎椎間板ヘルニアの9割は自然に消失する、痛みを減らすには怖がらずに動くこと、動くことが一番の薬などのメッセージを映像で見ることで慢性腰痛患者さんの38パーセントが改善し、ステップ2としてこれだけ体操として背中を反らすエクササイズを行い、慢性腰痛患者さんの56パーセントが改善したことを論文や本でも証明されました。

ステップ3としてオーストラリアで行われている認知行動療法を紹介され、カウンセリング(どんな動きが痛みを誘発するか?)と運動を1時間おきに繰り返すことを1日8時間3週間行うことで、9人中8人が改善したことも映像で紹介されました。この番組の反響が大きかったのは、一般の視聴者にも共感を呼んだからに他なりませんが、腰痛の患者さんに正しい情報を与えて励ます態度を行うことで恐怖回避思考を回避できること、患者さんを痛み行動化している人として捉えることなど医療者側にも意識改革が必要であることを再認識しました。

皆さんもぜひNHKの以下のHPでその動画を視聴することができますので、ぜひ一度ご覧いただき、腰痛に対する認識を変えていただければ幸いです。

http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/

参考論文:Spine. 2001;26(23):2535-42.

非特異的腰痛(一般的な腰痛)を姿勢や動作に起因する腰痛と心理社会的ストレスによる脳機能の不具合に起因する腰痛に分けると、治療に難渋するのは後者の腰痛です。恐怖回避思考とは、腰痛になったことで将来さらに腰痛が悪化するのではないか?もう治らないのではないか?、と悲観的に考えてしまう結果、腰を必要以上に動かさない、いわば腰を過保護にしてしまう考え方です。

欧米の研究では恐怖回避思考がその後の腰痛の回復具合に悪影響を与えることが分かっており、通常の消炎鎮痛剤などでは治療効果が乏しいことが分かってきました。特にこの恐怖回避思考に影響を及ぼすのが、医療従事者から腰痛の時は安静にするように指導されたり、労働災害で生じた腰痛です。

ぎっくり腰などの痛みの体験に、安静にしなさい、といった脅迫的な情報が入ったり、本人がネガティブな感情を持つと、腰痛に対して悲観的な解釈をしてしまい、腰痛への不安や恐れが生じ、過剰な警戒心を持ったり、腰痛を引き起こす動作を回避する行動をとるようになり、腰の機能障害を引き起こしてしまったり、うつ傾向になったりするといった、痛みの悪循環が形成されます。

私たち医療従事者は患者さんがこの恐怖回避思考による悪循環に陥らないように、腰痛に対する正しい情報や患者さんを励ます態度をとることで、不安や恐れがないよう状態を目指し、腰痛と楽観的に向き合えるようになると経過・回復に導くことが必要になります。

参考図書

松平浩:腰痛対策最前線第5回 東京 法規出版「地方公務員 安全と健康フォーラム」2015

松平浩:腰痛は「動かして」治しなさい 講談社+α文庫

以前このコラムでも述べましたが、日本の腰痛診療ガイドラインでも運動不足は腰痛発症の危険因子である(推奨グレードC)と記載されています。高齢者でも運動量と腰痛発症の予防には有意な相関があることから、腰痛に運動は効果があると言えますが、ではどのくらいの運動をどれぐらいの強度で、どれだけの頻度で、どれぐらいの期間行うことが有効か?ということに関しては明かな科学的な根拠を示すデータが乏しいことも事実です。

一番お勧めの運動は何かと言うと、ウォーキングです。ウォーキングの強度、頻度、期間など腰痛に関してはデータがないのですが、最近注目されているのが東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利先生の研究で、群馬県中之条町の65歳以上の全住民5000人を15年以上身体活動と病気予防の関係を調査され、病気にならない歩き方を提唱され、そのメッツ健康法は厚労省の運動処方ガイドラインにも取り入れられ、成果を出している自治体もあります。

生活習慣病に関して、厚労省のHPの健康づくりのための身体活動基準2013に掲載されていますが、18-64歳までは3メッツ以上の身体活動(大股で汗ばむ程度のウォーキング)を毎日60分と3メッツ(息が弾み汗をかく程度)以上の運動を毎週60分行うことを推奨していますが、青柳先生はこれをさらに詳細に分類し、うつ病予防には1日4000歩/中強度5分以上のウォーキング、認知症、心疾患、脳卒中予防には1日5000歩/中強度7.5分以上のウォーキング、がん、動脈硬化、骨粗鬆症予防には1日7000歩/中強度15分以上のウォーキング、高血圧、糖尿病予防には1日8000歩/中強度20分以上のウォーキング、メタボリックシンドロームの予防には1日10000歩/中強度30分のウォーキング(75歳以上なら1日8000歩/中強度20分以上のウォーキングでよいと、著書の中で述べられています。

またポールウォーキング(ノルディックウォーキング)は姿勢もよくなるので勧められており、私もノルディックウォーキングは自分もやっていますが、中強度の運動として患者さんにもお勧めしています。腰痛予防に関しては骨粗鬆症予防の1日7000歩/中強度15分以上のウォーキングを目標に始めることをお勧めします。

(参考図書:やってはいけないウォーキング 青柳幸利 SB書房)

この言葉は聞きなれないかもしれませんが、脊椎の専門医であれば腰の診察を行う上で必ず念頭に置かなければならない疾患の一つです。

末梢閉塞性動脈疾患はアテローム性動脈硬化症に起因する心血管系疾患として、冠動脈疾患、脳卒中に次いで3番目に多く2010年での世界の患者数は2億2000万人と言われ、東南アジアで5480万人であり、その治療は21世紀の世界的な取り組むべき課題とされます。足のしびれ、疼痛で整形外科を受診する患者さんで、間欠跛行(歩行の途中で休憩が必要であり、しばらく休んだらまた歩ける)があるときに、腰部脊柱管狭窄症がありますが、この疾患との違いは間欠跛行での休憩の仕方にあり、腰部脊柱管狭窄症では休憩するときに必ず前かがみや椅子に座ることが必要となります。

理由は腰の神経が狭窄すると馬尾神経の阻血、浮腫、炎症が生じるためです。末梢動脈閉塞症に伴う間欠跛行は下肢の動脈が阻血になると大腿や下腿の筋肉の血流が途絶えて下肢の痛みが生じますが、休憩するときには立ったままで楽になります。重症度分類としてFontaine分類があり安静時疼痛しびれのみのI度、間欠跛行のII度、安静時疼痛のIII度、壊死切断に至るIV度があり、症状のないI度のときに早期発見、早期治療を行うことが重要であると考えます。

そこで当院を下肢のしびれ、疼痛で受診した50歳以上の患者さん996例のうち血圧脈波検査装置でABI(腕の血圧を足首の血圧で割った値)が0.9以下を末梢閉塞性動脈疾患としてその頻度を調査したところ、その頻度は55例6.3%でした。そのうち血管外科紹介患者は18例33%、ステント・バルーンでの治療患者は4例7%でした。腰部脊柱管狭窄症は23例 42%に存在したが、脊椎外科紹介手術例は1例2%でした。
このことから足のしびれ、疼痛を訴える患者さんの中で末梢閉塞性動脈疾患は決して頻度は高くありませんが、早期発見により、一人でも多く足の切断となるのを防ぐために有用な検査と考えています。当院外来でも足の病変に悩む患者さんが多いので、少しでも知識を吸収し、治療に還元するため、フットケア指導士の資格を取得しました。当院理学療法士も取得しており、今後は看護師とも協力して血管病変だけでなく、幅広く足の病変に対しての取り組みを行っていきます。

今回は腰痛の話と離れますが、山口市黒川1834-2に、この度オープンするDrs. Fitness K STUDIOについてお話しします。

H24年4月に大内御堀に開業してから約16000名の患者さんを診察、治療してきました。患者さんのニーズにこたえる、を基本理念とし患者さんとの対話を重視し、疾患の早期発見、早期治療をモットーとして、必要と思った患者さんにはできるだけ専門医療機関(整形外科医として患者さんにとって一番いいと思う専門医)の紹介を心がけてきました。また腰痛、頚部痛、関節痛の患者さんに対してもマッケンジー法を基本とした理学療法士による運動療法を提供し、足病変には足底板療法を提供することで地域医療に貢献していると自負していますが、まだまだ学ぶことは多いと思っています。腰痛、肩こりの患者さんにはセルフエクササイズを中心とした再発予防にも取り組んでいますが、症状がよくなるとついエクササイズをしなくなり、再発を繰り返される患者さんにも遭遇することも多々あります。そこで開業医として今後自分のできることを考えると、キーワードは障害のある患者さんに対して治療するだけでなく、(再発)予防医療に力を入れることに取り組み、将来高齢化社会に備えた介護予防にも取り組みたいと考えました。

地域の人の健康増進を介してのコミュニティーの場の提供、スポーツ傷害の復帰へのサポートや健康運動士、健康運動実践指導者などを揃えた、地域の健康ステーションともいえる新しいフィットネスクラブを目指します。器械による筋力トレーニングより、スタジオをメインとした少人数から大人数で老若男女が個人個人のレベルに合わせて頑張りすぎないプログラム作りをスタッフがお手伝いします。

また食に対しても野菜を中心とした体に良い、疲労回復に効果のあるレストランalain croix(アランクロア)を併設し、運動、医療、食事の三位一体のプログラムを提供していきたいと思います。

-その3腰痛の危険因子について-

プラセボという言葉をご存知でしょうか?プラセボはラテン語で患者を悦ばせる,見せかけのくすりもしくは処置であり、「偽薬」といわれてきました。近年ではプラセボは偽薬ではなく「医療行為に関わる働きかけ」ととらえ方をすると、脳の中における情報処理の段階で慢性疼痛と密接に絡んでくるとことがわかってきました。医療行為全般にも同様の反応がありプラセボの反応率は21?58%であり、あらゆる状況で一定の効果を持つ最強の治療法である?ともいわれます。

慢性疼痛では情動という部分がより疼痛をつらく感じさせており、組織の損傷がなくても、感覚は末梢の受容器からの刺激で痛みの経路になり、知覚は痛み刺激により情報の加工が行われ認知が加わるので情動体験に左右されます。 疼痛の情報処理として転換(神経終末における侵害受容器への刺激が電気刺激に変化)、伝達(電気信号が神経繊維中を伝播)、調節(末梢から脊髄・中枢に至る各段階でシグナルが調節)、認知(脳における情動体験として処理)の4つのステージを通じて情報が処理されます。私たちが治療介入できる可能性があるのは、中枢側の神経回路内におけるステージでないと難しいといわれています。「痛み」は痛み刺激に対する反応、「痛み行動」は痛みのある場合に出現する行動学的変容であり、治療の対象は痛みそのものでなく,痛み行動の改善であり、痛み刺激が入って,脳で感知され、ある情報処理が行われた段階でその結果反応として起こってくる行動変容を実害のない状態に持って行くことを目指します。

医療行為として行われる私達医師の言語介入は、患者さんとの会話の中で取り上げられる治療への期待や見返り・報酬などがプラセボ効果の中心で、患者さんの鎮痛への期待感は薬剤とは別に内因性オピオイドの活性化につながるので,とくに慢性疼痛では脳の果たす役割が非常に大きいのです。私達医師は治療に介入する前に、病状および予後見込みに基づく治療選択の根拠を患者さんに示してから,直接の治療介入(投薬、注射、手術など)を行い、その後健康状態の変化をみて介入後の評価を行い必要があれば同じことを繰り返します。脳は情報を複数平行して処理するのは苦手で,優先順位をつけて処理しようとします。治療のゴールを日常生活上支障が少なくなったことをもってよしとし、痛みが取れない時は患者さんの疼痛閾値の感受性が高まったまま維持されているので、できるだけ社会復帰して毎日を忙しくして脳が痛みのことばかり考えないようにすることが基本的アプローチです。痛みだけを取ってくれという患者さんには、(たとえば)火災報知器を止めておけば火事は起きないと思いますか?と理解を求め、私たちが目指すことは火災報知器のスイッチを切ることではなく身体に有害な火事を消すことですよ、といった説明を行います。 (日本臨床整形外科学会企画:国立障害者リハビリセンター 赤井正美先生の講演より参照)

-その3腰痛の危険因子について-

肥満の定義はBMI(体重kg÷身長m÷身長)が25以上で肥満に関連する健康障害(2型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、整形外科的疾患、月経異常)があり、医学的に減量が必要な病態です。BMIを22前後で適正体重の維持が重要とされていますが、腰痛に関してはどうでしょうか?腰痛診療ガイドラインにはBMIと腰痛には有意な相関はない(推奨グレードC)、と掲載されています。食事との関連性では、血清脂質濃度が下肢症状を伴う腰痛の危険因子である、肥満は腰痛の危険因子(オッズ比1.9)という論文もありましたが、エビデンスが低く、腰痛の患者さんに痩せなさい、という根拠には乏しいということになります。

-その2腰痛の危険因子について-

腰痛の危険因子についての第二弾として運動不足について述べます。運動不足は現代社会の抱える深刻な問題であり、心筋梗塞や狭心症に代表される虚血性心疾患や脳梗塞、高脂血症、高血圧、糖尿病など生活習慣病の原因と言われています。運動不足は2007年の日本の総死亡のリスクは喫煙、高血圧に次いで3位であり、WHOも高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)に続き、運動不足(身体活動不足)を4位と位置づけています。運動不足により年間5万以上が亡くなる、というデータもあり、運動は健康を取り戻す手段になります。運動の効果は血液循環がよくなることで心血管疾患の危険性を減少し、高血圧の予防になり、睡眠障害の改善や心理的緊張の緩和にも効果があります。生活習慣病に関しては有酸素運動、筋トレ、ストレッチが有効とされていますが詳細な内容は厚労省のHPの健康づくりのための身体活動基準2013に掲載されていますが、 18-64歳までは3メッツ以上の身体活動(歩行)を毎日60分と3メッツ(息が弾み汗をかく程度)以上の運動を毎週60分行うことを推奨しています。

運動不足に関しては、腰痛診療ガイドラインでは、腰痛発症の危険因子である(推奨グレードC)と記載されています。双子の高齢者の2年間のコホート研究では熱心な運動習慣のある高齢者は、腰痛の発症率が低く、運動量と腰痛発症の予防には有意な相関があり、腰痛予防には体幹の筋力よりも運動習慣のほうが重要である、と記されています。最近腰痛の予防に体幹のコア(深部筋)を鍛えることを推奨する論文もありますが、むしら運動するという習慣が腰痛にいい、といえます。ノルウェーの最近の研究でも高齢者では運動頻度が高いほど疼痛の発生頻度は低いという結果からも高齢だからこそ運動を多くすべきである、ということを裏付けています。

-その1腰痛の危険因子について-

喫煙は肺癌、慢性肺障害の危険因子であること(肺癌は実に4−8倍!)は周知の事実ですし、動脈硬化促進することによる脳卒中、心筋梗塞の発症の危険性も高くなり、閉塞性動脈硬化症による下肢の血流低下が進行すると足の壊死が生じて切断に至るなど深刻な合併症が報告されています。また歯槽膿漏などの歯周病、肥満の危険因子にもなり、最近では受動喫煙に対する影響も社会問題となっています。

腰痛に関する喫煙の影響については、日本の腰痛診療ガイドラインにおいては喫煙は腰痛の危険因子であることは推奨グレードC(中程度のエビデンス:科学的根拠が少なくても一つあり、行うことを考慮しても良い弱い根拠に基づいている)とされています。患者さんを経時的に観察したコホート研究(5781例を最長33年という長期観察の報告や双子の9600例を8年間追跡した論文が有名です)喫煙と腰痛には腰痛の危険因子であり、容量依存的に相関を認める(喫煙本数が増えるほど腰痛発生の危険性が増加する)エビデンスの高い報告があります。一方で生活習慣の異なる双子の比較では、喫煙と腰痛発症に有意な相関を認めなかったという報告もありますが、ほとんどは危険因子であることに肯定する論文であることから喫煙は腰痛にとって害である、といって過言ではないことを肝に銘じる必要があります。2016年の論文で坐骨神経痛(腰痛のみでなく下肢まで放散する痛み)と腰部神経根性痛(腰椎椎間板ヘルニア)の発症リスクも喫煙者は有意に高く(1.46倍)、過去に喫煙した人でも1.15倍であったという報告もありますので、腰痛、坐骨神経痛の方には禁煙を勧める根拠になると考えます。

参考文献 腰痛診療ガイドライン日本整形外科学会、日本腰痛学会 2012

最近武田鉄矢氏のテレビCMで耳にすることのある神経障害性疼痛、という言葉を聞いたことがある方も増えてきましたが、まだ一般の方には浸透していないようです。

痛みは国際疼痛学会によって組織の損傷による痛いという感覚と、それに伴う恐怖や不安などの情動を合わせたものと定義されています。痛いという感覚は警告として必要な痛みであり、ストレスからくる痛みは不必要な痛みです。痛み刺激は末梢から神経、脊髄から脳に伝わり、痛みとして認識されます。痛みは発生機序から侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分類されます。侵害受容性疼痛とは、けがや変形などで末梢の侵害受容器が興奮して大脳(皮質感覚野)に痛みが伝わり、痛いと感じる痛みで、神経機能は正常です。神経障害性疼痛は末梢神経に傷がつくことで、神経が過剰に興奮したり、脊髄や脳も過剰に興奮することで触っただけで痛いと感じたり(アロデニアといいます)、自律神経反射が生じるため、刺激がない状態でも痛みを生じます。ビリビリ、ジンジン、チクチクといった痛みしびれが上肢や下肢に放散する場合には神経の異常な興奮(神経障害性疼痛)を疑いますが、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛は明確に分類することが困難な場合もあり、またもう一つ心因性疼痛という概念もあり、専門医による鑑別が必要です。座骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニア、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性末梢神経障害などによる痛み、しびれが該当します。通常の痛み止め(消炎鎮痛剤)が効かないことが多く、プレガバリンという薬が効果があると言われています。副作用として眠気やふらつきがあるので就寝前から内服を始める場合が多く、徐々に増量していきます。決して薬物のみでなく神経ブロック、理学療法、認知行動療法を併用して治療していきます。