第61回 いきいきリハビリノート

12/1-2に滋賀県大津市で開催された日本運動器疼痛学会に参加して認知行動療法に基づく「いきいきリハビリノート」による運動促進法の講習会に参加しましたのでその内容を紹介します。慢性腰痛の治療法でエビデンスのある運動療法、小冊子を用いた患者教育、認知行動療法の3つの要素を加味して、新潟大学リハビリテーション科の木村慎二先生、九州大学心療内科の細井昌子先生らが作成されたもので、すでに第4版となります。このノートを使用して患者さんの医療不信の払拭、日常生活動作、生活の質の向上、社会への参加機会の向上を図るものです。3ヶ月以上の疼痛を有し、有効な薬物療法がなく、外科的治療も適応がなく、運動療法に前向きり取り組める方が対象になります。また質問用紙で破局的思考のスケールで30点以上、うつ、不安のHADSというスケールで10点以下であり、交通事故や労働災害、精神疾患などを除外します。最初に慢性腰痛には運動療法、小冊子を用いた患者教育、認知行動療法が効果があることを説明して、半年から1年後の長期目標と1ヶ月後の短期目標を立てて毎日ノートに記録をしてもらいます。どんな行動をして身体の調子がどうだったか?それについてどう考えたか?、その時の感情を記載してもらい、自分をねぎらうメッセージを書いていただきます。この内容を見て治療側はメッセージを書き入れます。主には理学療養士がリハビリを指導しますが、マッケンジー法、ウィリアム体操、ストレッチング、筋力増強訓練、体幹安定運動を指導しますので理学療法士が記載することが多くなります。今回マインドフルネスウォーキングという歩行方法もリハビリメニューに加わりより充実した内容になっていました。全国的に大学病院やペインセンターなどでチーム医療の中で使用されることが増えてきているそうです。

(このノートは一般の方向けには配布されませんのでご注意ください)

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。