第59回 健康経営と痛みの経済損失

最近注目されている健康経営については、山口県でも健康経営企業制度があり、もうすでに実践されている企業も多いと思いますが、経済産業省の健康経営ハンドブックには「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」とされています。特に健康経営で問題となるのが従業員の健康問題であり、健康問題に直接かかる医療費とは別にアブセンティーズム(病欠)とプレゼンティーズム(健康問題で効率・生産性が低下している状況)があり、プレゼンティーズムの比率が高いことが知られています。疾病コストは医療費+薬剤費ではがん、肩こり・腰痛、冠動脈心疾患、慢性疼痛(肩こり・頭痛以外)の順であり、がんが上位ですが、生産性(プレゼンテーィーズムとアブセンティーズムの合計)ではけん怠感、抑うつ、肩こり・腰痛、睡眠障害の順で精神疾患の占める割合が多いのですが、合計では肩こり・腰痛がトップであり、抑うつ、けん怠感、慢性疼痛が続きます1)。このように運動器疾患の占める割合が高いことがお分かりいただけると思います。その中で慢性疼痛による経済的損失は1週間で4.6時間、時間ベースの経済損失は1兆9530億円にのぼるという報告もあります2)。慢性疼痛は成人の約2割を占め、患者数2300万人と言われ男女とも腰痛、肩こりが上位を占めます。厚労省では慢性の痛み対策として、前回お話しした慢性疼痛ガイドライン作成や医療者の役割分担による医療体制の構築、慢性疼痛の教育、国民への啓発、情報提供、調査・研究を行い、慢性の痛み政策ホームページ(http://www.paincenter.jp)を立ち上げていますので是非ご覧ください。