9/6小郡グランドホテルでBone and Tooth seminar 顎骨壊死について再考するがあり、参加しました。最初に整形外科の立場から呉市の沖本クリニックの沖本先生の医療安全から考える骨粗鬆症薬の使い方と注意点についての講演がありました。骨粗鬆症になぜ医者は骨吸収抑制剤を使うか?ONJ対策に必要な医科歯科連携をどうするのか?について話されました。高齢者は腎機能障害に気をつける必要があり、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブの使い方を教えていただきました。骨粗鬆症性骨折は椎体骨折、大腿骨近位部骨折は次の骨折が生じるのが9倍、18倍になります。北欧では大腿骨近位部骨折はhip attackと言いQOLを障害する疾患の上位に位置します。骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制剤と骨形成促進剤があります。顎骨壊死の原因になるのはビスフォスフォネート製剤と抗ランクル抗体のみです。椎体骨折の防止効果はビスフォスフォネート製剤は60パーセント、テリパラチドは80パーセントであり、ゾレドロネートは骨折抑制のみでなく、死亡率も抑制するそうです。加齢とともに骨皮質は多孔化するのでビスフォスフォネート製剤、デノスマブは皮質骨に作用します。20-30代の等代謝回転型の時期が最も骨ができにくいので疲労骨折が難事化しやすいことは勉強になりました。又先生のスタディで骨代謝回転は70パーセントが骨吸収抑制が主体ですので骨吸収抑制剤が主体になります。呉地区では先生のご尽力で骨吸収抑制薬関連顎骨壊死予防ネットワークがうまくいっていることを紹介されました。最後に抗ランクル抗体は可逆性であり、やめるとオーバーシュートが生じるので多発性骨折が生じるのでやめてはいけない、やめるときは早めににビスフォスフォネート製剤に変更する方がいいことを強調されました。
次いで松本歯科大学の田口教授の骨粗鬆症の顎骨壊死を考えるーポジションペーパー2016の問題点と新規予防法の効果ーを拝聴しました。顎骨壊死・顎骨骨髄炎の原因としてステロイド、放射線治療、感染、悪性腫瘍に伴うもの以外でビスフォスフォネート製剤関連があります。2006-2008ではほとんどなかったのが、2011-2013では飛躍的に増加しました。日本の推定発生率は40パーセントでした。医科歯科連携を早くから始めたカナダやドイツではほぼ0に近いそうです。特に抗ランクル抗体は治りにくいそうです。一方でA-TOP研究会でのデータでは顎骨壊死発生は二年でなかったそうです。骨形成促進剤の抗スクレロチン抗体でも顎骨壊死の原因になるそうです。顎骨壊死と言われているものがMRIで骨髄炎であったそうです。次いでポジションペーパーでビスフォスフォネート製剤投与4年以上であれば休薬がのぞましいといわれましたが4年という根拠がなく、抜歯前二ヶ月の休薬が望ましいという根拠もないそうです。3ヶ月休薬してから抜歯した場合逆に難事化しやすいので抜歯前休薬は不要であるという論文も紹介されました。リスクがある歯は抜歯して3ヶ月おきにメンテナンスすれば顎骨壊死の予防効果が高いそうです。
最後に口腔ケアの有効性について話されました。口腔スクリーニングで対象になればもっとも安全に顎骨壊死を予防できるそうです。
8/23地域医療支援病院医療研修会が宇部であり参加しました。宇部興産中央病院神経内科の多田先生、脳神経外科の島袋先生、山口大学整形外科の西田先生の講演を拝聴しました。
運動失調では歩行時のふらつきが特徴で脊椎、関節、薬剤性でなくめまいありなら神経内科か内耳検査が必要です。めまいなく四肢筋力低下あれば脊椎疾患、無ければ小脳性、指鼻試験 かかと膝試験 線引き試験、前腕回内回外試験 、反復拮抗運動障害、協働収縮不能 (腕を組んだまま起き上がれない)、体幹失調は体幹平衡障害としてはつぎ足歩行 Mann testがあります。歩行は 歩幅 歩隔を見ることが鑑別点です。小脳性運動失調には一次性 として脊髄小脳変性症 、多系統萎縮症として二次性 アルコールなどがあります。
特発性正常圧水頭症は脳室の拡大があり、交通性では特発性と続発性 加齢により髄液の産生吸収のバランスが崩れて生じ、非交通性 では小児水頭症に代表されます。歩行障害、認知症、排尿障害が特徴で歩行は開脚 小刻み すり足で60-70代に多く、画像所見ではMRI冠状断 でDESH くも膜かくうのアンバランスが特徴です。診断はタップテスト 髄液30ml穿刺して症状改善あれば手術 適応があり、腰椎腹腔シャントが主流です。
脊髄病変のその特徴と落とし穴では神経障害とは静的圧迫、動的圧迫、血流障害、加齢で生じるものに分類されます。画像所見と診断予後が一致しない、頸髄と胸髄病変の鑑別点、頚椎JOA10点以下胸椎7点以下が手術適応、しびれ は自覚的、他覚的しびれがあり、しびれは初発症状の80パーセント、臀部下肢のしびれ(特にこうさく)は頚椎から腰椎どこでも生じじます。側索障害では階段下りができない、後索 障害ではRombergが特徴です。手のしびれ 、巧緻運動障害、上肢位置覚 としての指探し試験があります。画像はあくまで補助診断であることを強調されました。終了後に山口大学整形外科の西田先生と少しお話でき勉強になりました。