院長ブログ – ページ 86

北九州市立男女共同参画センター ムーブで第10回多職種フットケア研究会に参加しました。テーマは「元気な足元はからだ作りから」〜ジャージ祭り〜というユニークな題です。最初に東京富士大学の岡田慎一郎先生の「あらゆる状況に対応するシンプル身体介助術〜フットケア施術者への応用〜を拝聴しました。理学療法士と介護福祉士の資格をお持ちの先生です。身体介助術 、体づくり は下半身が土台で股関節を使用すること、技術3原則として抱え方、骨盤位置、一体化(重度)について実践を交えてお話されました。しゃがんで股関節で移動する動作(草取り動作)を皆でやりましたがなかなか難しかったです。和式トイレにしゃがむのに股関節が120度は必要ですが椅子での生活は股関節可動域が90度あれば足りてしまうので不利で、草取り動作で膝中心に動いてしまいます。股関節を中心に動くようにするコツを教えて頂きました。抱え方で体に手が回せて手の甲を体に密着させると力を使わずに抱えられるそうです。肩甲骨をしっかり動かすと可動域が上がることも教えていただきました。次いで神戸親和女子大学ジュニアスポーツ教育学科の平尾先生の筋トレの是非について〜効果的な体・足のパフォーマンスとその応用〜元ラグビー日本代表選手だったそうですが脱筋トレ宣言というコラムを書かれています。筋トレ全盛の時代だが、スムースな身体運用には目的とする動きを目指して実際に体を動かす中で向上するのが本質であり、目的となる動きに必要な筋力はその動きを通じることでしか培われないとのことです。身体運用について考えるときのキーワードは全身協調性であるとのことでした。高齢者の転倒防止の為に下肢の筋トレをするだけよりバランスボートでトレーニングした方が転倒防止に必要な筋力がつくそうです。発生論的運動学では動きを覚える動感促発身体知があり、今ここを感じる身体知である始原身体知(ここを感じる体感身体知と今を感じる時期化身体知)、コツとカンなど形づくりの形態化身体知、仕上げの身体知などのからだに潜む様々な能力を駆使していくことが重要であるとのことでした。
最後にびわこ成蹊スポーツ大学スポーツ戦略コースの高橋先生の古武術をスポーツに活かす〜体の動き、足の動きを拝聴しました。野球部出身でスポーツバイオメカニクスを専門とされ、古武術と出会われて体の使い方がよく理解できたそうです。小平奈緒選手の一本歯下駄の指導にも関わったそうです。古武術的な体の使い方は筋力に頼らない、捻らない、ひねらないそうです。生活に根ざした体の使い方をするのが古武術だそうです。肘を意識せずに曲げると上腕二頭筋だけでなく三頭筋も使うのでより重いものが苦痛でなくなるそうです。足趾をしっかり地面に効かすにはタオルギャザーは下腿がつるぐらいでないときたえられないそうです。映像で分析して動きにとらわれることは逆効果だそうです。岡田先生と高橋先生の講義はほとんど実技でしたので非常に貴重な経験でした。
6/10山口県免許センターに行き、講習を受け大変勉強になりました。山口県の交通事故は2017年4918件で死亡事故は79人で日本でワースト3です。東京で164人なので山口県がいかに多いかがわかります。事故で多いのは速度違反ではなく、前方不注意や脇見運転だそうで、危険を予想するだろう、運転やかもしれない、運転が大切であるとのことでした。また人身事故は110番通報の義務がありますが、相手が未成年者で大丈夫といって立ち去ってしまっても必ず110番して事情を説明して報告しておかないとひき逃げとして処理されることがあるとのことでした。また道路標示はひし形が二つ並んでいるのは、「横断歩道または自転車横断帯あり」の意味で横断歩道から30mと50mの位置にあり 、最初のひし形が近づいたら速度を緩めること、横断歩道の両側の広い範囲で歩行者や自転車の存在を確認することが大切であることは初めて知りました。

 
東京で6/3ペインフォーラム2018ー難治化させない疼痛治療とはーに参加しました。山口労災病院田口院長が疼痛治療の変遷~薬物治療の常識が変わった~が、運動器疼痛治療では痛みを慢性化させない。治療の目標はADLをあげることで鎮痛は目標であって手段ではないことなどを最初にお話されました。鎮痛薬の歴史として消炎鎮痛剤は発痛の場の治療から発痛の機能の治療に移行してきたというmechanism based medicineという概念をお話されました。次いでなかつか整形外科の中塚先生の痛みの原因診断で難治化を防ぐという講演を拝聴しました。慢性疼痛の経済的損失は1兆9500万円と試算されており日本でも痛みセンターができて取り組んでいます。痛みの分類としては原因による分類、時間による分類、機能的な分類があり、人間の身体に備わっている内因性鎮痛機構で下降性疼痛抑制系が重要であること、神経障害性疼痛には末梢性と中枢性があります。オピオイド治療ではモルヒネ換算120mg以上使用しない、トラマドール製剤の使用を考慮すること、変化がない場合には漫然と使用しないことを強調されました。慢性疼痛患者は痛みの為運動が制限され、筋拘縮が顕著となりADLが低下して抑うつ状態が助長され病状が深刻になるので薬物治療だけでなく多職種でチーム医療として治療することが望ましいとのことでした。運動療法として筋のリコンディショニングによる筋をターゲットにした運動療法を紹介されました。

次いで患者個々の慢性疼痛に対峙する~最前線の治療戦略~で腰痛編を山口大学整形外科の鈴木先生が、関節痛編を島根大学整形外科の内尾教授が講演されました。

慢性疼痛の中で腰痛は約6割です。腰痛の原因は様々で各組織に侵害受容器が存在しますが慢性腰痛は神経障害性疼痛が合併する混合性疼痛が多いこと、山口県腰痛スタディで整形外科医の中で原因の特定できない腰痛は従来の8割という概念から実際は2割であったということです。腰痛の中で椎間関節性腰痛が18パーセントであり、治療として椎間関節ブロック、後枝内側枝電気焼灼術を紹介されました。難治性慢性腰痛の治療として山口県ペインセンターで集学的治療(入院約3週間)を紹介されました。運動療法では運動の必要性とメカニズムを説明して軽い運動から徐々に運動量を増やして自信を持ってもらい、できるだけセルフエクササイズしてもらう取り組みを紹介されました。慢性の痛みに関する教育プログラムの構築を紹介されました。

内尾教授の講演です。運動器疼痛は2000万人で膝関節痛は約4割です。膝関節痛とX線画像は必ずしも一致しない、変形性膝関節症による疼痛は関節包、靭帯などに侵害受容器にある自由神経終末からの痛みと不安定性による痛みが複雑に絡み合って生じます。慢性疼痛は下降性疼痛抑制系の機能低下により中枢感作が生じることで生じます。痛みによって日常生活動作に障害が出るだけでなく、破局的思考が生じると脳に器質的変化を生じることがあります。減量する仕組みにエビデンスがありますが2.7kg以上減量すると筋力が減少するので筋力を落とさずに減量するには筋力増強訓練が必要です。関節裂隙は年間1.7mm減少するので消炎鎮痛剤による早期除痛は必要であるということもお話されました。最後に愛知医大の西原教授が慢性疼痛の精神心理的背景~より良いコミュニケーションを目指して~というお話をされました。慢性疼痛治療において器質的要因、機能的要因への身体的介入が第一ですが、難治性の場合に身体症症状、うつ病などの精神障害の診断をして患者さんの抱えている心理的な問題を評価することが重要です。運動器疼痛治療で認知症、うつ病、強迫性障害、人格障害、アスペルガー、ADHDなどがあります。最近ではアスペルガー、ADHDなどが多いそうです。

初期面接が大切で予診に時間をかけて観察すること、とりあえずの受け入れ作業、価値観をなるべく排除した問診をする必要があります。治療の中で受けた不信感が痛みの表現に影響する、失感情の方は痛みが慢性化しやすい、夫婦関係、家族関係が痛みに影響する、子供のころのストレスが慢性疼痛に関与する報告も紹介されました。痛みの治療を考える前に何を目標にするか?急性期は医療者主体でいいのですが慢性期は患者主体で投薬はあくまで補助的治療であることを認識する必要があり、医療者側の聴こうとするスタンス、感性を磨くことを強調されました。


6/1クリニック終了後にホテルニュータナカで運動器慢性疼痛マネジメントセミナーで実践、膝と腰の痛み治療 周術期の疼痛から慢性疼痛まで、を拝聴しました。講師はJCHO埼玉メディカルセンター副院長の児玉隆夫先生でした。人工関節が御専門で年間250例手術されています。術後の疼痛管理と嘔気対策が重要だそうです。痛みのマネジメントとしてmultimodal pain managementであり特に持続硬膜外注射が有用で関節包周囲ににアナペイン+ケナコルトを注射、アイシングなどを併用されて術後の疼痛管理をして早期リハビリを行うそうです。消炎鎮痛剤ではセレコキシブを術後当日から使用することも有用であったそうです。出血対策としてトラネキサム酸1000mg二回静注、短めの弾性包帯固定、CPMを術後3日後から開始するそうです。又手術当日朝からセレコキシブを投与することで術後の疼痛が軽減したそうです。又術後トラマドールも併用することで術後のリハビリ時の疼痛が軽減したそうで、様々な工夫をされていました。又術後の慢性疼痛対策は10パーセントに存在しますが、プレガバリン25mg二回投与することでは予防作用はなかったそうです。中枢感作のある患者さんにはサインバルタを使用されているそうです。521例の患者さんにサインバルタを投与した結果、19パーセントは副作用で中止されましたが41パーセントは軽快、3カ月投与後90パーセントは軽快したそうです。投与のコツは開始当初は毎週来院して副作用を確認して患者さんを不安にさせないことだそうです。

投与中止は6カ月を目安に斬減していくそうです。変形性膝関節症単独でもサインバルタの働きは著効が3割であったそうです。人工膝関節術後の疼痛増強にも慌てて再手術する前にサインバルタを投与することも推奨されました。慢性腰痛や臀部下肢痛にサインバルタが有用な症例を紹介されました。
リウマチ合併症セミナーがあり参加しました。こうとく内科の神徳済先生のリウマチの合併症対策―呼吸器感染症の視点から―を拝聴しました。リウマチの気道病変は気管支拡張症を合併する方が多い、右は第6,7肋間に横隔膜が位置し左は第7,8肋間に位置するので肺膨張を診断するそうです。リウマチでは25-50パーセントに気管支拡張症が合併し、約半数に気管支病変が存在するそうです生物学的製剤の使用中の感染は呼吸器感染症が40パーセントあり、肺炎、非結核性抗酸菌症、ニューモシスチスピナリ(以前のカリニ)の順になります。又実際の呼吸音を聞かせて頂きました。finecrackle,coarse crackleなど詳しく教えて頂きました。コツとして吸気時の下肺野を聴診すると早期発見することができるそうです。肺炎も正しい抗生剤で炎症症状は改善しますが心や肺の浮腫などはプレドニンを正しく使用すると早期改善するそうです。又以前非定型抗酸菌症と言われていましたが今は非結核性抗酸菌症(NTM)と言われ、中でも肺MAC症が多いそうです。肺結核は空気感染、飛沫感染でN95のマスクでないと予防できないと言われています。結核菌に感染しても6-7パーセントしか発症せず免疫機能が低下したときに二次感染、三次感染につながります。胸部写真の読影には前回の比較が非常に有用だそうです。又喀痰培養は3回行わなくてはいけないそうです。又潜在性結核菌感染症、粟粒結核、ニューモシスチス肺炎についても教えて頂きました。


 
5/26 クリニック終了後に神戸で開催されている日本整形外科学会に参加し、18:30からアナクラウンプラザホテルで開催された第6回睡眠姿勢研究会に参加しました。山田朱織先生は整形外科医で唯一枕外来をされている16号整形外科の院長ですが枕と頸部痛、姿勢の研究もされており、様々な学会で発表され、枕研究の第1人者です。臥位の至適アライメントについてX線学的検討をされた結果、至適臥位姿勢は仰臥位で頚椎が15度屈曲位で寝返りがスムーズにできることが大切だそうです。身体化症状を伴う慢性疼痛の患者さんに至適枕を作成することで疼痛が有意に改善したそうです。睡眠時無呼吸症候群の患者さんに至適枕を使用することで無呼吸数と睡眠深度が改善したそうです。睡眠姿勢を調整することで睡眠障害を改善することで慢性疼痛の改善についてさらなる研究をされているとのことですので益々のご活躍を期待したいと思います。
次の講演は和歌山県立大学医学部附属病院紀北分院の川上守教授の「頸肩の愁訴と脊椎アライメントについて」を拝聴しました。脊椎ケアセンターは春林軒という華岡青洲の病院の近くだそうです。肩凝りは夏目漱石が初めて使った言葉だそうです。英語では当てはまる言葉はないので日本でneck and shoulder painと定義されました。慢性疼痛の経済損失効果は45億だそうです。軸性疼痛が整形外科脊椎外科にとって重要か?について和歌山県立大学では以前交通事故の難治性疼痛に頚椎椎間板造影で再現性があれば頚椎前方固定術を行われたそうですが半年後は改善率が良かったですが最終時には成績が下がっており椎間板造影で手術適応を決めるべきではないという結論でした。頚椎前方固定術後の軸性疼痛は38パーセント、後方支持組織温存脊柱管拡大術後の軸性疼痛は20パーセント台で前方固定術より成績が良かったそうです。頸髄症の術後の軸性疼痛に心理的因子が関与するか?という研究では術前の疼痛は心の健康が関与しますが術後の軸性疼痛は心の健康とは関連がなかったそうです。地域住民の立位全脊椎側面X線と頸部愁訴との関係は女性に多く頚椎胸椎のアライメントとは関連がなく、骨盤前傾と頭部が前方偏位するという結果だったそうです。頸部愁訴と睡眠との関係は睡眠薬を内服率が高く中途覚醒が多かったそうです。懇親会でも山田先生、川上先生とお話できて大変有意義な時間でした。


 
午後から飯島先生のフレイル予防・高齢者総合的機能評価(CGA)がありました。フレイルとは心身機能の顕著な低下を虚弱と呼ばれ要介護状態への最たる要因です。健康な状態と要介護状態の中間地点で、しかるべき適切な介入により機能を戻すことができる(可逆性)、身体の虚弱だけでなく認知の虚弱、社会性の虚弱が存在することから多面的であります。フレイルの評価方法としてJ-CHS基準があり、半年で2-3kgの体重減少、握力の低下(男性26kg未満、女性18kg未満)、二週間でわけもなく疲れる疲労感、1m/s未満の歩行速度、身体活動していないのうち3項目を満たすという方法があります。BMIパラドックスという言葉がありやせの方が総死亡率が高い、糖尿病患者で厳格な管理を行ってもフレイルのリスクが高くなることなどが挙げられますので、年齢別にカロリー摂取に関する考え方のギアチェンジを行う必要があるとのことでした。一方サルコペニアは筋肉減少症で筋肉量の減少を必須として筋力低下又は身体能力低下のいずれかがあればサルコペニアと診断する報告もあります。サルコペニアの画像診断では全身のDEXA法、バイオインピーダンス法があります。高齢者の骨格筋には蛋白同化抵抗性という現象があり、より多くのアミノ酸摂取が必要になるそうです。ふくらはぎを親指人差し指で掴めるか否かの指輪っかテストは総死亡率が差があるそうです。又残歯が20本未満、噛む力が弱い、舌の力が弱い、滑舌が悪い、固い食品が食べにくい、むせが増えたのうち3項目以上をオーラルフレイルと診断され、口腔ケアの衰えがフレイルの原因になるので栄養、身体活動、社会参加は健康長寿及びフレイル予防を実現する柱になるそうです。サルコペニア対策としてのリハビリテーション栄養として筋肉のエネルギーであるBCAA:分岐アミノ酸が重要です。
高齢者総合的機能評価(CGA)とは疾患評価以外の生命予後と機能予後を改善する為の評価手技で、健康寿命の延伸を実現する為にはフレイル、オーラルフレイル対策が急務とのことです。
津田先生のかかりつけ医の栄養指導を拝聴しました。日本人の平均寿命と健康寿命は男性で9年、女性は12年の開きがあ、健康寿命の延伸が課題です。個人レベルのみでなく、社会レベルでの対策が必要でその中で栄養、食生活の目標設定、身体活動の目標設定、休養の目標設定をされています。食事バランスガイドがあり、主食、副菜、主菜の順に書いてあります。栄養療法には経口、経腸、経静脈栄養がありますが中心静脈栄養は減少傾向にあります。医療機関では多職種で栄養サポートチームの介入を行うことが望ましいです。栄養治療はアセスメントとして主観的評価のSGA、簡易栄養状態評価法としてのMNA-SFなどがあり、客観的評価と合わせて治療計画、実施、再評価を行います。過栄養になると生活習慣病、低栄養になると老年症候群になりやすいので栄養介入を行います。食事指導のポイントは腹八分目、種類は多く、脂肪控えめ、食物繊維を多く含む野菜、海藻、きのこなどをとり、三食規則正しく、ゆっくり噛んで食べることです。栄養素の特性からみた優先順位としてエネルギー、栄養素では蛋白質、脂質、ビタミンA,B,C,Ca,Feの順に食べます。エネルギー管理の基本は毎日体重を計ることが重要です。推定エネルギー必要量は基礎代謝量×身体活動量で基礎代謝量は推定式を使用します。筋肉の役割として運動器の機能に加えて、熱源(基礎代謝)、循環の補助、骨体の保護、マイオカイン分泌(情報伝達物質)があり、運動と栄養の併用が重要であるとのことでした。
最後に和田先生と木村先生のかかりつけ医の在宅医療、緩和医療を拝聴しました。地域包括ケアシステムは2012から導入されました。医療、介護、住まい、予防、生活支援を日常生活圏で提供し、住みなれた地域で最期まで暮らせるシステムを治療にあった形で構築するシステムです。在宅医療・介護連携推進事業は2018年から市町村レベルでの地域包括ケア具現化の為の政策の一つです。又介護予防・日常生活支援総合事業とは2017年度から全ての市町村で行われている要支援、要支援になる可能性のある65才以上の人を対象に介護予防訪問看護と介護予防通所介護を総合事業に移行させるものです。多職種連携によるケアマネジャーとの連携、サービス担当者会議、地域ケア会議、病診連携による退院前カンファレンス、在宅診療、訪問診療、居住系施設での在宅医療などを解説して頂きました。急性期ケアとして在宅医療での身体診察と検査、褥瘡のチェック、大腿骨近位部骨折の診断、在宅医療での治療としての気管切開の管理、中心静脈栄養の管理、膀胱カテーテル管理、入院の判断のチェックなども教えて頂きました。慢性期ケアとして身体診察、栄養アセスメント、総合的機能評価、摂食嚥下障害、認知症、排便排尿障害、慢性呼吸不全、慢性心不全などについてベースラインの身体情報を把握することの重要性などを教えて頂きました。在宅緩和ケアは悪性腫瘍だけでなく、疼痛はtotal painとして考え、本人や家族への意思決定を尊重し、多職種で看取りを念頭においたケアを提供することが肝要です。家族に対するケアも必要でありうつの診断も必要とされます。ガン患者への緩和ケアはガン疼痛の評価、オピオイドの適切な治療、悪心嘔吐対策、せん妄、抑うつ、不眠に対するケアも必要となります。非ガン患者への緩和ケアでは脳血管障害、肝不全、腎不全、呼吸不全、心不全、認知症の終末期医療も対象になります。最近ではアドバンス・ケア・プランニングという患者の意思決定を支援する活動が注目されていることも教えて頂きました。
最後に症例検討があり終了しました。
5/20 日医かかりつけ医機能研修制度平成30年度応用研修会のライブ中継が山口県医師会館であり、参加しました。最初に岡部先生のかかりつけ医の感染対策がありました。感染症とはうつる病気、広がる病気であるので正しく知っている必要があります。医療者は自分が感染源になってはいけないので院内感染予防、対策が重要です。手洗いは病気の感染経路を断つ為に非常に重要です。呼吸器感染症の発生も手洗いで減少させることができるそうです。飛沫感染は手洗いよりマスクのほうが有効です。標準予防策としては患者の体液は感染性ありと考えること、流水と石鹸による手洗いが最も大切です。SARSのような原因不明の感染症でも標準感染予防は有効です。エボラ出血感染も血液の接触感染とのことでした。医療職にとってのワクチン摂取は自分がうつること、人にうつすことを予防する為に重要です。インフルエンザは国立感染症研究所の発表などで動向を早く知ることは重要で今シーズンはB型が多かったそうです。インフルエンザ治療薬はタミフル、リレンザ、イナビルがありますが2月に新薬(ゾフルーザ)が発売されました。タミフルは10代の患者さんには飛び降りなどの異常行動があるので使用を禁止されていましたが撤廃の方向になるそうです。腸管出血性大腸菌感染症はO157,O11などが有名ですが原因の特定が難しい場合もあります。又梅毒が近年若年女性に増加しており無痛性潰瘍や手掌の湿疹など早期発見が重要です。風しんは診断後直ちに届けるよう感染法が改定されました。又急性弛緩性麻痺がある場合にも届出が必要があり15才以下ではポリオの検査もするそうです。今後東京オリンピックなどで海外からの感染症対策も重要です。
次いで松下先生の健康増進・予防医学を拝聴しました。健康とは肉体的、精神的、社会的に完全に良い状態で単に疾病がないという状態ではない、と定義されます。(1948)1978年にプライマリヘルスケア、1986年にヘルスプロモーションに変化しています。日本では健康日本21(第二次)が策定されました。日本人の死亡原因として喫煙、高血圧、運動不足の順であります。健康増進と予防医学のアプローチとして実施形態として健診や人間ドック、方法として予防接種、スクリーニング、予防目的として一次予防(発症予防)、2次予防(早期発見)、3次予防(進行予防とリハビリテーション)に分けられています。一次予防としては予防接種と禁煙、二次予防としては市町村単位での地域保健、三次予防としては医療機関での対応になります。ライフサイクルに応じたものでは乳幼児健診、学校健診、特定検診、職場健診があります。患者の行動変容のステージモデルとして無関心期、関心期、準備期、行動期、維持期、再発期があり、禁煙指導はニコチンパッチやバレニクリン保険適用となりました。重要度・自信度モデル、健康信念モデル(罹患性、重大性が本人にとってどの程度脅威になるか?)などを駆使して関心を持ってもらうこと、患者本人の健康アプローチでは健康感を聞くこと、栄養士による食事指導、低いゴール設定、ストレス対応能力の向上、地域での健康教育(講演)など教えて頂きました。

5/17クリニック終了後に消防訓練を行いました。
火災報知器を鳴らして消防署に通報して(もちろん訓練と言います)患者さん役のスタッフを院外に誘導しつつ火の元を確認して消火器で擬似消火を行いました。最後に消火器の発射訓練を皆が行い終了しましたやはり何でも訓練は必要ですね。




ゴールデンウィーク明けて今週は予想通り?忙しい1週間でした。月から土曜までが長く感じられましたが、何とか今週も無事過ごすことが出来ました。来週から通常通り頑張ります。
連休中に読んだ本で「空気の研究」 山本七平著についてです。空気とは非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ判断の基準であり、それに抵抗するものを異端として社会的に葬るほどの力を持つ超能力、通常口にするのは論理的判断の基準だが本当の決断の基本となっているのは空気が許さないという空気的判断の基準であり、感情移入の絶対化であるとのことでした。
空気とは 霊 (風、空気 )でさり、相対化がなく、絶対化の対象が無数にあり、ある対象を臨在感的に把握しようとしてもその対象が次から次へと変わりうるから、絶対的対象が時間的経過によって相対化できるそうです。
一方水とは最も具体的な目前の障害を意味しそれを口にすることによって即座に人々を現実に引き戻すものであり、なかなか難解なのですが日本人の本質をついた内容でした。