院長ブログ – ページ 84

9/20 クリニック終了後に理学療法士スタッフとKスタジオスタッフとで宇部興産中央病院スポーツ関節鏡リハビリセンターに見学に行きました。(事前に森脇部長に了解をとって行きました)大井先生以下5名の理学療法士さんが手術後の患者さんにアスレチックリハビリテーションを指導していました。手術室を改築して作られたとのことですが部屋も広く、特に素晴らしかったのは25mの距離で走れる部屋があり、術後の患者さんだけでなくスポーツ外来に来た患者さんにも対応されているとのことでした。


9/16慶応大学医学部解剖実習棟でエコーセミナーに参加しました。以前から参加したかったセミナーでした。30名の応募者の医師と講師陣の先生方もエコーの世界では有名な先生方でした。解剖実習では当たり前の黙祷で始まりました。午前中は講義とエコーを実際に行いエコー下のブロックを針を刺して体験しました。午後からはエコー下にブロックする部位に造影剤を入れて解剖してどの部位に造影剤が漏れているかを教えていただきました。講師の先生方からブロックする際のエコーのコツしてもらい、午後からは各部位別に別れ教えていただきました。


9/9米子で開催された第32回中国ブロック理学療法士学会で1.5時間という私も初めての長い講演があるので9/7クリニック終了後車で林リハビリ部長と鳥取県米子市まで行きました。9/8日会場で講演依頼をしていただいた大床会長にご挨拶をして、シンポジウム、懇親会にも参加しました。約700名の理学療法士が集まったとのことで活発な発表、討論がされていました。土曜日診療が終わって駆けつけてくれた理学療法士スタッフと一緒に食事して米子の魚(特に白いかが絶品でした!)を満喫しました。いよいよ講演当日、早めに会場入りして持参してきたパソコン(MacBook)を投影しようとしてできないというトラブルがあり、急遽少し古いMacの中のWindows(Boot Campというソフトで立ち上がります)でパワーポイントは立ち上がり、聴衆に見せたかった大事な動画も貼り付けることができてホッとして本番に臨みましたが一部動かなかったのが残念でした。演題名は整形外科クリニックにおける医師と理学療法士のチーム医療で副題に共通言語としてのマッケンジー法というタイトルでした。内容は医師と理学療法士の現状、山口県臨床整形外科医にアンケート調査による理学療法士雇用の実態調査及び理学療法士に対する評価、当院、Drs.Fitness K STUDIOの紹介とPTの現状、.山口県腰痛スタディの紹介、マッケンジー法の紹介と当院でのPTとの連携などについて発表しました。90分という時間でしたが最初がゆっくり喋りすぎて最後は早口になったと反省しましたがなんとかみなさんに持ち帰ってもらえたのではないかと思いますが、非常に貴重な経験でした。午後から林部長のポスター発表がありましたので皆で聞いてから帰りました。来年は山口県が主催とのことで当院も皆で発表する予定です。




9/13山口グランドホテルで山口県運動器疼痛研究会があり理学療法士スタッフ三人と参加しました。北里大学整形外科の宮城先生の腰痛の科学ー椎間板を中心にーという講演でした。先生は千葉大出身で椎間板に関する実験や臨床データの論文を書かれています。最初に山口県腰痛スタディーについて紹介されました。椎間板性腰痛は39%という論文がありますが椎間板変性と腰痛は関連がないという論文もあります。和歌山大学整形外科のスタディでも椎間板変性単独では腰痛と相関しないが、週板変性が加わると腰痛と強く相関するということからメカニカルな要因が強く関係するということでした。また鼠蹊部痛も椎間板性があり第2腰神経根ブロックが有効である理由として交感神経幹の関与をお話しされました。椎間板内の線維輪が破綻して微小神経が侵入して来ることで椎間板性疼痛が誘発されるというdeep nerve ingrowthの機序を説明されました。慢性腰痛の病態解明に対する取り組みとして椎間板障害に動的負荷(メカニカルストレス)が加わることがトリガーとなり、M1マクロファージが炎症性サイトカインを産生して椎間板性腰痛が生じ、組織修復に関与するM2マクロファージがTGF-βを、椎間板内細胞がNGFを産生し疼痛を抑制する仕組みをお話され、NGFによる慢性腰痛の治験の取り組みもお話され、基礎から臨床まで勉強になりました。

9/12山口県関節リウマチ学術講演会が山口グランドホテルであり参加しました。最初に山口大学の関先生の関節リウマチ診療における関節エコーの有用性の講演がありました。関節リウマチの関節エコーの評価方法と免疫抑制薬、生物学的製剤導入のポイントや関節エコーを併用することで早期診断、早期治療、治療評価、寛解や再発の指標の有力な手段となることを教えていただきました。次いで山口大学第二内科の池上先生の関節リウマチにおける腎障害の講演を拝聴しました。関節リウマチにおける腎障害は22パーセントというデータがあり最近の論文では25パーセントで治療経過中に半数は生じるとのことでした。原因として膜性腎症31パーセント、IgA腎症21パーセント、続発性のアミロイドーシスの順で多いそうです。膜性腎症は抗リウマチ薬によるものが多いですがリウマチに伴うものもあるとのことでした。IgA腎症もリウマチ固有の腎病変によるもの(罹病期間や重症度と関連)と薬剤性(抗TNF-α)のものがあり、鑑別して治療されることを教えていただきました。

特別講演として産業医大内科の田中教授のリウマチ性疾患治療の新展開について拝聴しました。関節リウマチ治療の基本的な考え方、早期治療、寛解、Precision medicineについての講演をされました。関節リウマチの治療として1897年アスピリン、1955年プレドニンが開発されましたが、その後リウマチが免疫疾患であることがわかってきて抗リウマチ薬、生物学的製剤が導入されました。2016EULAR治療アルゴリズムでMTXにステロイドを短期間で使用することを推奨されています。リウマチ治療は多職種で治療しておられるそうですが、産業医大ではリウマチ治療前の2240例中CTスクリニーングで22例ガンが発見されたそうです。呼吸器疾患の既往があり70才以上の高齢者の関節リウマチ患者さんには肺炎予防として肺炎球菌ワクチンを受けてから治療されるそうで、リスク管理をしっかりされておられるそうです。関節リウマチの生物学的製剤導入後10年で疾患活動性が1/3が中程度あるそうですので早期見直しも必要とのことでした。インフリキシマブは投与量の増量とMTXが増量が認められてから寛解率が30パーセント代から50パーセント以上に改善されたそうです。休薬はリウマチ発症早期の場合は半数が成功したそうですが発症後二年以上では深い寛解が得られなければ休薬が難しいそうです。関節リウマチの治療戦略では関節破壊ゼロを目指すことが重要で中止して早期に寛解を維持できることも今後の目標だそうです。生物学的製剤はベーチェット病と乾癬性関節炎が有効であることも教えていただきました。乾癬性関節炎は腱付着部炎から関節破壊が生じるそうです。末梢リンパ球のフローサイトメータを使用して生物学的製剤の戦略的治療(これをprecision medicineというそうです)を行うと治療成績が上がるとのことでした。

9/7鳥取の米子市で第32回中国ブロック理学療法士学会に参加しました。会長の大床先生から講演を依頼されたので理学療法士学会に興味深々でした。シンポジウムで理学療法士による新たな価値の創造~理学療法士として新たな分野で活躍している方々からのメッセージ~がありました。LICOS代表の川内先生の商業施設での総合事業という講演をされました。大阪で通所訪問リハの連絡協議会会長でもあり、総合事業組み立てのコンサルテーションもされており、興味深く拝聴しました。次いでバックテック代表の福谷先生のポケットセラピストが描く理学療法士の世界を拝聴しました。企業されてポケットセラピストというアプリを開発された経緯を話されました。decision tree analysis,認知行動療法に沿ったアプローチとしての目標設定、プログラムなどでコニカミノルタなどの企業のサポートをされているそうです。
さらに浜脇整形外科病院の上岡先生の地域に発信 からだの根っこ作りを拝聴しました。2006年に算定上限日が設定されか時に何ができる?と考えられて始められたポストリハ体操教室を始められたそうです。2009年姿勢スッキリ改善クラス、2019年大声で話したいオマタの話(女性限定)、2013年キッズサポートプロジェクトといった教室や近隣の小学校での体操教室などどんどん病院内で立ち上げられ、2014年一般社団法人からだの音を設立され予防事業へと展開されたそうです。セルフチェックをしてセルフエクササイズでクライアントさんに気づいてもらいながら取り組んでおられるそうです。

最後にライオンハートの森本先生の自立支援の視点を活かした介護サービスの展開という講演でした。理学療法士で米子で企業されてデイサービス、ヘルパーステーション、看護ステーションなどを経営されています。起業した理由としてかかりつけ療法士として利用者さんの自立支援に関わりたいという想いからだそうです。環境をデイサービスらしくなく家具はIKEA製、食事は手作り、パティシェのおやつもついているそうです。自立支援として皿洗い、掃除、靴の着脱、送迎も自家用車で訓練化とされており、介護保険からの卒業証書などの工夫も紹介されました。

特別講演で鳥取でさとに田園クリニックを開設されている太田先生の内科クリニックでの理学療法士の役割と今後に期待することを拝聴しました。内科・泌尿器科・整形外科、神経内科、リハビリテーション科があり、理学療法士が26名在籍されています。その後介護、メディカルフィットネススタジオも開設されています。透析導入患者さんは増加していますが早期入院、早期死亡も増えていることを痛感しているそうです。高齢者の慢性腎臓病が増加すると透析導入しても予後が悪く、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、大腿骨近位部骨折、認知症が合併すると予後が悪いそうです。新規透析導入の原疾患として糖尿病と高血圧による腎硬化症が多くなり、死亡患者数も増加しているそうです。透析患者さんの死亡原因では心不全、感染症(肺炎、敗血症)が多いそうです。以上から透析治療のクオリティーだけでは治療の限界を感じたそうです。患者さんの病気や人生のヒストリーを知り、多職種連携や予防医療、在宅・訪問診療にも介入することで患者の病を治す医療から患者を支える医療へ変換することを考えたそうです。理学療法士は地域包括ケアの中でもオピニオンリーダー的な存在で、特に歩行、移動能力の維持向上の獲得に重要であると述べられました。先生の施設では腎臓リハビリテーションを包括的に行われているそうです。運動習慣のある慢性腎臓病患者さんのほうが死亡率が低いので、サルコペニアやフレイル予防にもなります。


 


 

9/6小郡グランドホテルでBone and Tooth seminar 顎骨壊死について再考するがあり、参加しました。最初に整形外科の立場から呉市の沖本クリニックの沖本先生の医療安全から考える骨粗鬆症薬の使い方と注意点についての講演がありました。骨粗鬆症になぜ医者は骨吸収抑制剤を使うか?ONJ対策に必要な医科歯科連携をどうするのか?について話されました。高齢者は腎機能障害に気をつける必要があり、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブの使い方を教えていただきました。骨粗鬆症性骨折は椎体骨折、大腿骨近位部骨折は次の骨折が生じるのが9倍、18倍になります。北欧では大腿骨近位部骨折はhip attackと言いQOLを障害する疾患の上位に位置します。骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制剤と骨形成促進剤があります。顎骨壊死の原因になるのはビスフォスフォネート製剤と抗ランクル抗体のみです。椎体骨折の防止効果はビスフォスフォネート製剤は60パーセント、テリパラチドは80パーセントであり、ゾレドロネートは骨折抑制のみでなく、死亡率も抑制するそうです。加齢とともに骨皮質は多孔化するのでビスフォスフォネート製剤、デノスマブは皮質骨に作用します。20-30代の等代謝回転型の時期が最も骨ができにくいので疲労骨折が難事化しやすいことは勉強になりました。又先生のスタディで骨代謝回転は70パーセントが骨吸収抑制が主体ですので骨吸収抑制剤が主体になります。呉地区では先生のご尽力で骨吸収抑制薬関連顎骨壊死予防ネットワークがうまくいっていることを紹介されました。最後に抗ランクル抗体は可逆性であり、やめるとオーバーシュートが生じるので多発性骨折が生じるのでやめてはいけない、やめるときは早めににビスフォスフォネート製剤に変更する方がいいことを強調されました。
次いで松本歯科大学の田口教授の骨粗鬆症の顎骨壊死を考えるーポジションペーパー2016の問題点と新規予防法の効果ーを拝聴しました。顎骨壊死・顎骨骨髄炎の原因としてステロイド、放射線治療、感染、悪性腫瘍に伴うもの以外でビスフォスフォネート製剤関連があります。2006-2008ではほとんどなかったのが、2011-2013では飛躍的に増加しました。日本の推定発生率は40パーセントでした。医科歯科連携を早くから始めたカナダやドイツではほぼ0に近いそうです。特に抗ランクル抗体は治りにくいそうです。一方でA-TOP研究会でのデータでは顎骨壊死発生は二年でなかったそうです。骨形成促進剤の抗スクレロチン抗体でも顎骨壊死の原因になるそうです。顎骨壊死と言われているものがMRIで骨髄炎であったそうです。次いでポジションペーパーでビスフォスフォネート製剤投与4年以上であれば休薬がのぞましいといわれましたが4年という根拠がなく、抜歯前二ヶ月の休薬が望ましいという根拠もないそうです。3ヶ月休薬してから抜歯した場合逆に難事化しやすいので抜歯前休薬は不要であるという論文も紹介されました。リスクがある歯は抜歯して3ヶ月おきにメンテナンスすれば顎骨壊死の予防効果が高いそうです。
最後に口腔ケアの有効性について話されました。口腔スクリーニングで対象になればもっとも安全に顎骨壊死を予防できるそうです。

 

9/2朝から維新みらいふスタジアムで開催された山口市民体育大会に救護班で参加しました。
生涯スポーツの振興を目的とした催しです。
老若男女が集まっており玉入れやリレーなど、さながら山口市内の地区別対抗運動会と言っていいイベントでした。幸い大きな事故はなく終了しましたがスタジアムの外でもゲートボール大会があり皆さん元気にやっておられました。私も負けじと帰ってからKスタジオで汗を流して運動しました。



8/25は山口市夜間診療所での勤務でした。結構急患の患者さんが来られましたが、その中で釣り針が指に刺さった方が来られました。釣り針の抜き方には様々な方法がありますが以前は局所麻酔をして返しを皮膚から貫いてから先端部分をカットして抜く方法を行っていましたが今回はストリング・ヤンクテクニックを使いました。刺さった針の根元近くに糸をかけて針を動かないように固定してから一気に糸を引っ張り抜去する方法で局所麻酔無しで済みました。患者さんもネットで検索されていてこれがストリングヤンクテクニックですか!と感嘆しておられました。痛みがほとんどなく、喜ばれたので何よりです。。
8/23地域医療支援病院医療研修会が宇部であり参加しました。宇部興産中央病院神経内科の多田先生、脳神経外科の島袋先生、山口大学整形外科の西田先生の講演を拝聴しました。
運動失調では歩行時のふらつきが特徴で脊椎、関節、薬剤性でなくめまいありなら神経内科か内耳検査が必要です。めまいなく四肢筋力低下あれば脊椎疾患、無ければ小脳性、指鼻試験 かかと膝試験 線引き試験、前腕回内回外試験 、反復拮抗運動障害、協働収縮不能 (腕を組んだまま起き上がれない)、体幹失調は体幹平衡障害としてはつぎ足歩行 Mann testがあります。歩行は 歩幅 歩隔を見ることが鑑別点です。小脳性運動失調には一次性 として脊髄小脳変性症 、多系統萎縮症として二次性 アルコールなどがあります。
特発性正常圧水頭症は脳室の拡大があり、交通性では特発性と続発性 加齢により髄液の産生吸収のバランスが崩れて生じ、非交通性 では小児水頭症に代表されます。歩行障害、認知症、排尿障害が特徴で歩行は開脚 小刻み すり足で60-70代に多く、画像所見ではMRI冠状断 でDESH くも膜かくうのアンバランスが特徴です。診断はタップテスト 髄液30ml穿刺して症状改善あれば手術 適応があり、腰椎腹腔シャントが主流です。
脊髄病変のその特徴と落とし穴では神経障害とは静的圧迫、動的圧迫、血流障害、加齢で生じるものに分類されます。画像所見と診断予後が一致しない、頸髄と胸髄病変の鑑別点、頚椎JOA10点以下胸椎7点以下が手術適応、しびれ は自覚的、他覚的しびれがあり、しびれは初発症状の80パーセント、臀部下肢のしびれ(特にこうさく)は頚椎から腰椎どこでも生じじます。側索障害では階段下りができない、後索 障害ではRombergが特徴です。手のしびれ 、巧緻運動障害、上肢位置覚 としての指探し試験があります。画像はあくまで補助診断であることを強調されました。終了後に山口大学整形外科の西田先生と少しお話でき勉強になりました。