院長ブログ – ページ 74



6/22自分にすいばりがあったので朝のクリニック開始前にすいばり摘出を行いました。看護師さんに準備してもらった局所麻酔を自分で行いましたがやはり痛かったです!その後指を駆血して針で皮膚切開して摘出しました。5分ほどで終わりましたが人の痛みがわかった経験でした。


6/20広島マツダスタジアムで広島カープの試合を初観戦しました。広島駅に着いて有名なカープ  ロードや赤いローソンも見ました。木曜日の平日にもかかわらず赤いカープのユニフォームを着たファンの方が続々とマツダスタジアムに集まってきており、マツダスタジアムはカープ  ファンほぼ一色になっていました。ビールを飲みながら観戦しましたが外野から内野まで歩いてみることができるのは非常に良かったです。何より子供から大年寄りまでカープ  を通じて出店なども活気がありました。帰りは駅前のお好み焼きみっちゃんで食べて帰りました。満足した一日でした。

6/13 山口市セントコアホテルの一室から愛媛の先生方に向けてウェブセミナー講演を行いました。7時前からパソコンに向かって座ってスタンバイして開始しましたが聴衆がいないので反応も分からず不安もありましたが無事終了しました。質疑応答もチャットですので味気ないのであまり好きではないですが、最近この手のウェブ講演が増えていますがその中でしっかり自分の伝えたいことをプレゼンしていきたいと思います。

6/9朝からクリニックで院内ワックスがけがありました。久しぶりにピカピカになった院内を見て気持ちを新たにしました。
 
先日テレビドラマで白い巨塔を見ました。白い巨塔といえば田宮二郎、唐沢寿明が財前五郎を見事に演じましたが、今回の岡田准一の財前五郎も素晴らしいと思いました。大学の教授回診は確かに今でもあんな感じでさながら大名行列のように見えますが、実はトップである教授が全ての患者さんを診ることで担当医が気づかないことなど出てくることもあり、大事なことなのです。当然外科では手術前のカンファレンスがありますのでこれも担当医の修練の場になります。しかしながらみにしみて思うのは患者さんの訴えに真摯に耳を傾けることであるとドラマがあるたびに気が引き締まります。

6/2下関海峡メッセで運動器エコー技塾サテライト2019 DrとPTがコラボする次世代の運動器診療に当院の理学療法士山内君と参加しました。東あおば整形外科の高橋周先生の講演で、エコーの重要性と実際についてレクチャーされました。

PRP,prolotherapy,hydrodissectionといったエコーを用いた最新の技術も紹介されました。運動器構成体の見え方、腱、靭帯、骨軟骨、筋、血管、神経の動き、形態の異常、患者説明などにも有用であることを講義していただきました。次いで肩関節の解剖とプローベの当て方をレクチャーされました。足関節捻挫は一日15000人受傷し、スポーツ外傷の69パーセントだそうです。足関節捻挫後の足関節不安定症は74パーセントに登るとのことでした。正確な診断、的確な初期治療、修復プロセスに応じたリハビリが必要になり、エコーの重要性を講義されました。初期固定と中臀筋の強化と体幹筋のエクササイズが必要になります。前距腓靭帯に踵腓靭帯靭帯損傷が合併すると70パーセントは何らかの症状を残るそうです。最後に高橋先生のインターベンションエコーのコツを教えていただきました。


5/31岩国観光ホテルで講演しました。骨粗鬆症性椎体骨折の早期診断・早期治療どデイリーテリパラチドの導入のコツについて話ししました。岩国の整形外科の開業医の先生だけだなく岩国医療センターの先生にも来ていただきました。始まる前に屋上の露店風呂に入らせてもらってよかったです。
 

午後から終末期医療、褥瘡と排泄についての講義でした。高齢者医療において終末期の医療介護の在り方、特に本人の尊厳あるいは最期の迎え方について医療者がどう寄り添うかが課題であるとのことでした。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは将来意思決定する能力を失った場合に備えた患者によるあらゆる計画であり患者、家族、医療者の話し合いを重視して、書面を残すことにこだわらず患者の希望に沿った医療やケアを提供する事ことが重要とのことでした。次いで褥瘡と排尿排便ケア管理について拝聴しました。床ずれ予防、自尊心を失わない快適な排泄促進、清潔維持、負担軽減、ポリファーマシーを避けるとのことでした。腹圧性、切迫性、混合性、溢流性、機能性尿失禁がありタイプを知ることが重要とのことでした。過活動性膀胱では骨盤体操(骨盤底筋群の体操)が有効とのことでした。男性の尿失禁は前立腺肥大との合併が多いのでα1アドレナリン受容体遮断薬が第一選択です。高齢者の便秘は腸蠕動が低下している弛緩性便秘、肛門部に溜まる嵌入便に気をつけることを教えて頂きました。褥瘡については体位変換、適切なマットレスの使用、タンパク、エネルギー低栄養状態が関与しています。好発部位は仙骨、大転子、踵、坐骨結節の順で、創の分類(黒色期、黄色期、赤色期、白色期)に応じた治療、ドレッシング材の適応は感染、深部に達するものは適応外であることなどリスクアセスメントが大切です。次いで多疾患合併症例について講義がありました。高齢者による様々な科から投薬されるポリファーマシーによる副作用が問題があり、減処方のプロトコールとして全ての薬剤の処方理由を確認し、有害事象のリスク確認、薬剤の潜在的なリスク、ベネフィット、中止薬剤の優先順位の決定、薬剤中止とモニタリングという手順を踏むことを提案されました。患者が疾患についての理解度も重要とのことでした。経過を見ながら介護保険が必要であるかを判断すれば本人が介護保険の申請する必要があり、ケアマネジャーと連携して受けるサービスを決定、サービス担当者会議を行いながらゴール設定に沿ったリハビリテーションの提供を行う手順も紹介され参考になりました。多疾患合併患者に対して治療が相互に影響することをイメージして介入すること、疾患の進行と加齢を踏まえて本人の希望、家族背景、QOLまでを考慮して治療方針を決定すること、専門医と患者・家族の橋渡しをすること、多職種と連携して自宅療養を支えることを提示されました。最後にかかりつけ医の社会的処方についての講義でした。社会的処方とは地域医療機関が人々をリンクワーカー(ケースワーカーなど)に紹介する行為とのことで、主治医の意見書の重要性を強調されました。ガンの5年生存率は約6割に達することからガンももはや慢性疾患という認識が必要で、仕事を持ちながら通院しているのは約32万人いるが収入は減収になることもあり、癌患者のかかりつけ医は体力、メンタルヘルス問題も含めて治療と仕事の両立支援、復職支援・就業継続に関する主治医の意見書を書くことも重要とのことでした

5/26日医かかりつけ医機能研修制度2019年度応用研修会が山口県医師会であり参加しました。全国でテレビ会議としてあるのでいつも助かっています。最初はかかりつけ医の感染対策の講演でした。感染症とは外的環境としての微生物と内的環境としての人体の間での相互作用にておこるもので、疲れや生活の乱れによって微生物と人体のバランスが崩れて微生物が異常に増殖し、人体はこれに対して強い反応を示します。感染症診療にはロジックが必要で患者背景を理解すること、どの臓器の問題か?原因となる微生物の同定、抗菌薬の選択、適切な経過観察が必要であるとのことでした。国際化が進み海外から持ちこまれる感染症が増加する(特にオリンピックなど)ことを注意する必要があるそうです。風疹の初期に耳介後部のリンパ節腫脹が特徴だそうです。又成人水痘が熱帯地方の外国人に多かったり、世界的に麻疹が流行しており予防対策が必要とのことでした。又環境の変化によりエボラやインフルエンザなど新興再興感染症にも留意する必要があります。耐性菌の問題、高齢者の感染症の特徴(38度以上の発熱は37パーセント、頻脈も37パーセント、症状が乏しい、せん妄・転倒・食欲不振など非典型的症状が多い)など教えて頂きました。原因となる微生物の同定には3,4日以上かかるため初期治療(エンピリックセラピー)ではそれをカバーする抗菌薬を使用し、原因菌と感受性が出たら最適治療(デフィニティブセラピー)に変更するとのことでした。腎盂腎炎の原因菌の90パーセントは大腸菌であることを念頭において治療することも教えて頂きました。又感染防止対策として手指衛生、適切な個人防御、接触感染については手袋、ガウン、飛沫感染についてはサージカルマスク、空気感染についてはN95マスクや個室対応が必要だそうです。感染症の予防として口腔ケアが有効とのことでした。医療現場の環境対策として床、空調、水回り、トイレなどの清掃の重要性、消毒薬を使用する際のエタノール、次亜塩素酸Naによる材質劣化に注意する必要があるそうです。頭頸部感染症(扁桃周囲感染症での開口障害、激しい咽頭炎、咽後膿瘍での嚥下障害、頚部感染性血栓性静脈炎の左右非対称の頚部腫脹)、感染性心内膜炎、椎体椎間板炎・骨髄炎・化膿性関節炎、伝染性膿痂疹、蜂窩織炎、壊死性筋膜炎、胆嚢・胆管炎、肝膿瘍、嘔吐下痢症の原因としてのノロウィルス、尿路感染症など各臓器別に注意すべき疾患を教えて頂きました。薬剤耐性に起因する志望者は年間70万人とされますが何も対策を取らないと2050年には1000万人が死亡すると言われているので不要な抗菌薬投与を避けることを強調されました。インフルエンザでは発熱は約半数であること、インフルエンザ迅速キットでは発症後24時間以内は感度が低く、感冒との違いは全身症状が強いこと、早期から咳が目立つことなどとのことでした。次いで医療保険と介護保険、地域包括ケアシステムの構築について拝聴しました。地域包括ケアシステムは1984年に提唱されましたが2019年度版地域包括ケアシステムの概念として日常生活圏域を単位として活動と参加について何らかの支援を必要としている人々(高齢者以外の児童幼児、障害者、その家族)が必要なら様々な支援を受けつつ出来る限り自立し安心して最後の時まで暮らし続けられる多世代共生の仕組みとされ、人々が生活の課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう地域住民が支え合い、一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことができる社会を地域共生社会と定義し、今後日本社会全体が実現していこうとする目標で、地域共生社会を実現するための手段として地域包括ケアシステムがあるとのことでした。2025年が本格的超高齢社会の入り口で、2040年には高齢者人口死亡者数のピークとなるのでそこに向けての取り組みとして予防の積極的な推進による需要の抑制、多種職連携などによる中重度者を支える地域の仕組みの構築などが必要であるとのことでした。地域包括ケアシステムの具現化に向けて入院退院時の切れ目ない医療介護連携、居宅における看取りを含めた切れ目のない医療介護連携、多種職連携が必要で医療のみの垂直連携から介護との連携を基本とする水平連携中心へのパラダイムシフトが起きています。日本型の高齢者介護の確立として都市ではより在宅中心で、地方ではより施設活用するとのことで、地域包括ケアシステムでは200床未満の中小病院、有床診療所、医師会、かかりつけ医の三者が協力することが重要とのことでした。次いでかかりつけ医に必要な生活期リハビリテーションの実際について拝聴しました。リハビリテーションは急性期、回復期、生活期と区分されます。広義には障害があってもその人らしくいきいきとした生活ができる権利を獲得することとしての意味と医師、看護師、理学療法士などが提供する技術・サービスの意味とがあります。介護サービスは高齢者の自立を支え、できない部分を支援していくことが重要です。要介護状態の原因は脳卒中以外は死亡原因とは異なり、衰弱、転倒・骨折、認知症、関節疾患が原因であること、軽度の要介護者が増加してのは筋骨格系疾患が主要である、お守り介護認定が増加するという問題点も教えて頂きました。高齢者リハビリテーションの三本柱として介護予防、医療・介護におけるリハビリテーション、地域リハビリテーション体制があるそうです。かかりつけ医に求められることはリハビリテーションに対する正しい方向づけがなされる必要があり患者本人・家族が主体的に参加できるような働きかけが必要であるとのことでした。介護におけるリハビリテーションの必要性と将来あるべき姿としてリハビリテーション前置の考え方を再認識する、介護の負担を軽減するためにリハビリテーションは不可欠である、リハビリテーションを包括的に提供できるサービスを整備することを提唱されたそうです。自助、互助、共助、公助のいずれにもリハビリテーションは関わりを持っています。地域リハビリテーションと地域包括ケアシステムの目指すところは同じであるとのことでした。高齢者リハビリテーションの在り方としては主治医からリハ医への疾病の情報提供、通所リハビリテーションへの期待があり、リハビリテーション医療実践のポイントは廃用症候群の予防、意欲の向上、機能障害の改善、補助具の活用、ADLの向上、生活機能の維持向上があります。通所リハビリテーションは地域包括ケアシステムの中で地域や在宅生活を支えるためにリハビリテーションの拠点として役割を担うべきとのことでした。居宅サービスの協働方法としてケアマネジャーと医療機関が情報を共有して生活期リハビリテーション(特にデイサービスやデイケア)を行うことが重要であるとのことでした。慢性期における寝たきりの予防として安静度ではなく、活動度で指示を出す習慣が求められます。通所リハビリテーションの役割として医学的管理、心身生活活動の維持・上昇、社会活動の維持・向上、家族支援があり、短時間リハビリと長時間リハビリがありますが介護度に応じて決定されているとのことでした。リハビリテーションは単なる家族支援の負担を軽減するためだけでなく、家でできることを増やすことで介護しやすくなることを目指すとのことでした

慢性疼痛を考える会があり参加しました。オープニングリマークで田口先生が鎮痛薬のミニレクチャーをされました。2000年までに消炎鎮痛剤が多数発売されましたが慢性疼痛での治療薬として発痛の場から機能の治療へとシフトしてきたとのことでした。最初に山口大学整形外科の神経障害性疼痛の診断と治療についての講演がありました。痛みについての基礎知識、神経障害性疼痛の機序と薬物治療、慢性疼痛患者に対する集学的アプローチのお話でした。痛みとは不快な感覚、情動体験であることであり、慢性痛の定義としては通常のケガの回復する期間を超えても続く痛みで、器質的要因に心理社会的要因が加わって発症します。ストレスなどの機能的原因で痛みは生じ、疼痛顕示行動により医学的評価が可能になります。慢性疼痛は約20パーセント存在し運動器の慢性痛は15パーセントを占め30-50代の働き盛りの世代に多いそうです。腰痛の原因として様々ですが侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛のオーバーラップする混合性疼痛が多いとのことでした。神経障害性疼痛は神経が異所性放電、下行性疼痛抑制系の低下、中枢神経が過敏になり、神経の異常放電により生じるとのことで、診断ツールとしてペインディテクトというツールも紹介されました。アロディニアのメカニズムとして神経損傷による異所性放電やエファプス伝達により生じるそうです。神経障害性疼痛の薬物として代表的なプルガバリンや新しく出たミノガバリンがあります。山口大学では慢性の痛みに関する教育プログラムを構築しており、ペインセンターとして慢性疼痛の講習会を行っていることも告知されました。次いで獨協医科大学麻酔科の山口教授のガバペンチノイドの可能性と課題についての講演を拝聴しました。帯状疱疹後神経痛では神経プロックと薬物療法を併用します。フランス外科医の言葉で時々治療する(プロック)、しばしば和らげる(薬物)、いつも元気づける、ということを紹介されました。先生は患者さんと会話しながら痛みを伝える経路と痛みを抑える経路のどちらを薬物治療するという痛みの病態に合わせた薬物治療を提供するというスタンスで接しておられるそうです。慢性疼痛、神経障害性疼痛に対するオピオイド治療は一定のエビデンスがありますが4-12週以上は好ましくなくアメリカではオピオイドクライシスとも言われているそうです。神経障害性疼痛のオピオイド治療は最近のガイドラインは限定的で短期間にすべきと言われているとのことでした。ガバペンチノイドは神経障害性疼痛における第1選択薬になっています。NNTは4で四人に一人が効くとされていますがNNH(副作用)は6人に一人ぐらいとされています。副作用は眠気、めまい、容量依存性などがあります。プレガバリン、ガバペンチンに加えて新しく出たミノガバリンは末梢性神経障害性疼痛に適応があり、容量調節ができる工夫がされていますが腎機能の低下している患者さんには容量を減らす必要があります。効果は同じですが副作用の頻度は少ない(プレガバリンの約半分)とのことで最大容量まで増加できたのが約8割であったので有効投与量まで増量しやすい可能性があるとのことでした。慢性疼痛治療薬の内服のポイントとして適応を広げていい薬物で効かなければ中止するということが必要とのことでした。慢性疼痛に慢性的に投薬していないかを自問することを提案されました。慢性疼痛患者に痛くても動きましょうという根性論ではなく、プロック、薬物、励ましなどにより良くなったら投薬を減量していき、理想的には中止することを考える、痛みが改善したら減量、中止する方向を考えること、薬が余ったら中止のタイミングである、投薬を中止する言葉がけも紹介され、投薬を中止してもずっと診ていきますというスタンスをお話しされました。内服開始三カ月後に効果判定、6カ月後に中止判定を行うことを提案され参考になりました。最後に投薬をやめられないという患者さんを診てこられて、慢性疼痛治療に対して過干渉にならない、多剤併用にならないことを踏まえる必要があるとのことでした。慢性疼痛におけるオピオイド治療と薬物依存症との関係を紹介され、病気を診るのではなく患者を診て、居心地のいい場所を提供するという先生の姿勢を垣間みました。

最後に済生会山口総合病院の岸本先生が10年前まで消炎鎮痛剤がほとんどであった疼痛治療が新しい薬物により選択肢が広がりましたが神経障害性疼痛の治療のミノガバリンについては適正に使用すして効果を見ていくこととして締めくくられました。