院長ブログ – ページ 102

クリニックペインフォーラムイン山口に参加して長崎労災病院副院長の小西先生の「慢性腰痛症に対する最近の取り組み」について拝聴しました。近年高齢者の慢性腰痛が社会問題化していますが疼痛に対する新しい知見が出てきて、局所病態の解明が進んできて集学的治療が確立されてきています。腰痛患者の現状、腰痛診断の手順、手術とその限界、腰痛の薬物療法についてお話されました。腰椎椎間板ヘルニアが半年後に自然吸収されたにもかかわらず腰痛が残存する患者さんが手術を希望しても果たして適応があるか?という疑問も投げかけられました。腰痛の原因として椎体、椎間板、神経根、筋肉、椎間関節、姿勢、心理的な要素があり、腰痛診断の進め方として問診が重要でレッドフラッグの可能性、身体所見、画像診断、血液検査を総合的に診断します。MRIでレッドフラッグの診断が容易になりますが、画像診断で印象の強い部分に注視しやすいので注意が必要とのことでした。見逃されやすい疾患で化膿性脊椎炎、大腿骨頸部疲労骨折、変形性股関節症、脊椎転移例など提示され、腰椎のX線撮影出て股関節まで含めたり、腰椎のX線側面で大動脈の石灰化で大動脈の幅で大動脈瘤の診断が早期発見できる例も示されました。急性腰痛では組織の炎症等による痛みが多いので、慢性腰痛に移行しないように気をつける必要があるとのことでした。腰痛診断で特定が困難であることも多く、社会的要因も大いに関与しています。労働者5000人の腰痛研究でも心理社会的要因の関与が多かったそうです。慢性腰痛患者の治療として薬物療法、ブロック療法、理学療法、手術療法などがあり、以前は腰椎前方固定術が行われてきましたが長期的には成績がいいとは言えないそうです。椎間板性腰痛に対して椎間板内高周波熱凝固やキモパパインの注入療法などがありますがエビデンスはまだないようです。先生のご経験で腰椎の創外固定を行い脊椎固定術の適応を決める方法を提示されました。変性側弯症でのインスツルメントによる広範な固定術は日常生活での支障が大きくなります。低侵襲の脊椎固定術(OLIFやXLIF)も最近では行われていますが、感染、偽関節、インスツルメント折損などが問題になります。痛みの伝達経路で上行性と下降性経路があり、これまでは慢性腰痛症の治療の主役は消炎鎮痛剤でしたが、胃腸障害、腎障害の合併症が問題であり、最近ではプレガバリん、ドゥロキセチチンなどの投薬が注目されています。痛みの評価でNRSでは3、RDQで8点以下で仕事復帰する目安とすることも教えて頂きました。慢性腰痛の薬物療法では消炎鎮痛剤の後にプレガバリンやドゥロキセチチンを使用する方法を自件例を交えてお話されました。今後の考え方として患者立脚型の治療計画を立て、手術だけで完結しないことも説明して治療後の評価を行い、薬物療法を効果的に使用して運動療法によって薬物療法の使用の軽減を図ることなどを提示されました。
本日西京銀行さんからバトミントンのS/Jリーグのオフィシャルブックを持ってきていただきました。ACT SAIKYOは昨年はリーグ6位と健闘しており今年にかける意気込みは強いようです。是非頑張ってもらいたいと思いますので待合室において患者さんにも見て応援してもらいたいですね
3/25-26東京でマッケンジーアドバンスストセミナーに参加しました。3/25は代診でしたがスタッフが協力してくれました。今回の講師はGreg先生で英語でしたがマッケンジー協会日本支部長の岩貞先生が同時通訳されるのにはいつもながら感心させられました。当院でもリハビリの柱であるマッケンj-法の四肢の症状の対処法を学ぶコースでしたが、まず大事なのが上肢症状は頸椎から上位胸椎を先に評価する、下肢症状は腰椎を先に評価する、というマッケンジー法の原点に立ち返ることを再認識しました。これは関節周囲の疼痛がありますが関節由来ではなく頸椎または腰椎からの関連痛であることは日常診療でもよく経験しますし、それをスクリーニングするのにマッケンジー法は非常に強力な手段となります。今回は四肢の症状もderangement syndromeとdysfunction syndrome,その他に分類され、さらにdysfunction syndromeはcontractile typeとarticular typeに分類されますが両社の鑑別も明確に教えて頂きました。さらにそのマネジメント方法についてわかりやすく、実技も交えながら教えて頂きましたので、非常に有意義な講習会でした。これを無駄にしないために当院の理学療法士には私からしっかり伝えて共有したいと思います。

 

3/20は博多でCGTリハビリテーションセミナーを受講しました。講師は目白大学保健医療学部理学療法学科の新井准教授でした。最初に地域包括ケアシステムの概要について設営されました。2035-2045団塊の世代の超高齢化の時代で、ケアを必要とする高齢者の増加と子供と生産者人口は減少する時代を迎えます。地域リハビリテーション活動支援事業は総合事業の実施パターンが各地域で異なるので市のHPを見ることとのことでした。介護予防とは要介護の発生、悪化の予防、自立支援のためであり、セルフケア、進んでリハビリすることが国民の義務と厚労省は言っています。介護予防は手段であって目的ではなく、いつまでにどのような生活機能ができるという目標があってそれに到達するための手段として介護予防サービスが選択されるべきであるとのことでした。機能改善例は要介護軽度の方が少なく、 軽度者の介護サービスが改善につながっていないため、予防重視型システムへの転換があり、基本チェックリストの導入で対象を明確化しケアマネジメントの強化をして効果検証することが行われています。要支援 要介護に陥る恐れのある方を対象にした介護予防事業の実施するには運動器リハビリの介入が必要です。要介護の原因として特に女性は関節疾患、認知症が多く、男性は血管性(脳卒中)が多いとのことでした、フレイルFrailtyは日本語で虚弱ですが筋力低下(サルコペニア)により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題(ロコモ)のみならず精神心理的問題(認知機能低下やうつ)、社会的問題(独居、生活困窮)を含む概念であり、フレイルサイクル とは食欲低下、低栄養、サルコペニア(筋肉量減少と筋力低下)、基礎代謝減少、消費エネルギー減少、口腔(オーラルフレイル)などが連鎖することです。健康と疾病予防は自助、互助(家族親族地域の人々のインフォーマルな助けあい)、共助(地域住民)、公助(学校、地域、保健医療関係者)からなり、健康な退職者の活動参加を促して、  病院完結型から地域完結型の医療へ転換を迫られていあす。これからの介護予防は、これまで機能回復を中心とした訓練の継続が有効と理解し介護予防提供者も活動や参加に焦点を当ててこなかった、高齢者本人へのアプローチのみでなく、高齢者の取り巻く環境へのアプローチ(ADL向上からIADL向上、役割の創出、社会参加の実現)が必要であり、高齢者本人の生命レベルを維持するには生活レベルの活動を行い社会参加することが本人の心身機能回復につながります。通所介護をリハビリ、栄養、口腔ケア等の専門職参加する教室、民間事業者のデイサービス、コミュニティサロンへと移譲する地域リハビリテーション活動支援事業には従来の通所型サービスをA、B、Cと分類しましたが各自治体で異なるそうです。またCGT:包括的高齢者運動トレーニングとは集団で行う個別トレーニングであり、理学療法士、運動指導員による週二回三カ月の個別に目標を設定したトレーニングでコンディショニング一カ月低負荷高反復、筋力増強高負荷低反復、機能的トレーニング期)行われます。最後にマシンを使った具体的なトレーニング法もしっかり教えて頂きました、

3/19博多でシルクドソレイユのトーテムの最終公演を観に行きました。毎回観に行っていますが究極の肉体芸術のパフォーマンスですし、プロフェッショナルな技術を堪能できることが魅力的です。二時間はあっという間でしたが非常に満足のいく内容でした。
長州スポーツ塾の後半です。

東海大学の三谷先生のテニス女子ナショナルチーム活動と下肢障害についての講演でした。フェドカップのチームドクターをされて杉山選手、伊達選手などからサポートされています。メディカルチェック、ドーピングコントロール、メディカルスタッフの健康管理もされるそうです。インフルエンザ、感染性胃腸炎の対策なども仕事でホテルの自室がメディカルルームになります。水や食料の調達もされるそうですが生物は禁止だそうです。暑熱下でのけいれん対策として発汗による電解質の喪失は血清と等張であるので試合練習前から体重、尿比重、水分摂取量の測定が欠かせないそうで、ポータブルエコーは必須で錦織選手にエコーを見せながら説明をして安心させて優勝したエピソードも話されました。ナショナルチームでドクターとしてトレーナーと情報を共有して長期で選手を支えることで選手に信頼されるようになったそうです。今後の課題としてユース世代のサポート、女性チームドクターの育成など年間を通じた育成が課題とのことでした。テニスにおける下肢障害の特性としてテニスラリー、左右への切り返し動作によるオーバーユースがあり、膝関節靭帯損傷は少なく、反復性膝蓋骨亜脱臼が多いこと、半月板の変性断裂も多く、下肢の柔軟性獲得、維持の為のストレッチ、体感筋力バランス強化維持が重要です。下肢のオーバーユースによる障害の予防にシューズの調整とインソールなどが有用とのことです。テニス選手は股関節唇損傷も比較的多いそうです。半月板断裂はなるべく縫合します。前十字靭帯断裂はテニス選手では多くはないですが半腱様筋やハムストリングを使用した再建術を行います。反復性膝蓋骨亜脱臼は外反膝の全身関節弛緩性の高い女性に多く内側膝蓋骨大腿靭帯(MPFL)再建術に脛骨粗面移行術を組み合わせるそうです。オスグッド病、ジャンパー膝、滑膜ひだ障害、hoffa病、鵞足炎、腸脛靭帯炎など解説して頂きました。膝窩筋腱炎では大腿四頭筋のストレッチが重要とのことです。変形性膝関節症についてはリハビリテーション、ヒアルロン酸関節内注射、関節鏡手術など解説されました。足関節靭帯損傷は初回の治療でギプス固定2-3週間が重要とのことです。

JCHO星ヶ丘医療センターの米谷先生がテニス障害予防とジュニアトレーニングセンター活動について講演されました。関西ジュニア、全日本ジュニア、世界スーパージュニアなどのサポートをされています。世界のトップジュニア選手はストレッチなどコンディショニングをしっかりするのに対して日本のトップ選手は意識が少ないそうです。全日本のコートの温度は40度以上になるので熱中症対策が重要だそうです。ジュニア選手の疼痛部位は腰椎、肩、肘、膝の順ですが傷害は下肢が多く、試合での怪我が多いとのことでした。障害の予防には柔軟性の向上が重要とのことです。ジュニア選手では肘、腰、手首が多く、女性は手首が多く、肉離れ、捻挫も多いそうです。大阪トレーニングセンターでメディカルチェックを行い、点数をつけて改善法を指導されます。ジュニア選手は大腿四頭筋、ハムストリング、腸腰筋、股関節内旋外旋が硬いという結果でした。又14歳以下のメディカルチェックでは足関節捻挫既往が15パーセント、練習量と外傷の相関はなかったそうです。特に股関節内旋外旋が硬く地域差が大きいという結果でした。膝、肘、腰の順に疼痛部位がありました。病院に行くより整骨院などに行く選手の方が多いとのことでした。腸腰筋やハムストリングの利き手の方が硬く、手関節の回内が制限されている結果でしたので、ジュニア選手に対してストレッチ指導の重要性についての検証でトレーニングセンターでの指導後半年後の結果、FFDは改善していましたがSLRは不変で大腿四頭筋の硬さは女子では改善していましたがさらなる検討が必要とのことでした。
テニス外傷、障害についてたくさんの勉強をさせていただきました。

第6回長州スポーツ整形塾が宇部であり参加しました。テニス競技〜医学サポートの最前線〜で4人の先生のご講演でした。山口大学整形外科リハビリテーション部の小笠教授がテニスに関して日本でトップの先生方を集めて頂く貴重な会でした。

テニス外傷・障害の発生とナショナルチーム活動について、大阪大学の中田研先生が講演されました。テニスは身体精神的に高負荷のスポーツで選手はオフシーズンが1ヶ月ぐらいと少ないそうです。小中高校生のスポーツ外傷、障害の発生率は年間約48万人でスポーツ人口の10パーセントぐらいの発生率とのことです。主要7スポーツの重症外傷は約20パーセントは膝関節靭帯損傷でした。テニストーナメント中の外傷、障害の発生率は、1人が1000時間プレーした時の怪我と定義すると、18パーセントだそうです。(1000人が1時間プレーして怪我した割合)下肢(膝関節、足関節)の怪我が多いです。スポーツ活動中の心停止はランニングが一位ですがテニスも4位だそうです。AEDがを利用すると56パーセントの回復率がAEDを使用すると76パーセントになるそうです。スポーツ医学のミッションは外傷障害疾病の高いレベルへの早期復帰、予防、競技力向上、生涯にわたる健康維持の4つを示されました。ヘルスケアプロバイダーというスポーツ医のみでなく監督、コーチ、トレーナー、理学療法士など全て含んでいるそうです。テニスのメディカルサポートとして選手サポートのみでなく、トーナメントサポートもあります。セルフチェックシートをスマホでできるようなシステムも紹介されました。テニス競技では運動器障害が40-60パーセントで最も多いのですが、熱中症も多いそうです。ナショナルチームサポートとして、ドクター、トレーナーミーティングや選手が良い体調で故障なく最高のパフォーマンスを発揮できることを目標にされていること、メディカルサポートは継続的に行うこと、整形外科医でも運動器のみでなく脳震盪、熱中症、AEDなども熟知する必要性があることなど様々な取り組みも紹介されました。最後にサイバーフィジカルシステムという取り組みや打点の三次元位置解析も非常に興味深く拝聴しました。

次いで京都大学の奥平先生のテニス男子ナショナルチーム活動と上肢障害についての講演を拝聴しました。テニス選手は手術で半年復帰できないとランキングが下がるので手術になることは少ないそうです。トップアスリートは自分の試合を全て覚えていたり、非常に記憶力がいいそうです。テニスの試合は平均試合時間は3セット1、5時間だそうです。デニスカップは5セット2、5時間だそうです。テニスボールは練習20分するとボロボロになる、プロは3試合で靴が壊れて買い換えるそうです。ストロークはスピード、柔軟性、精確性、再現性が必要です。テニス選手には股関節と肩甲骨周囲の柔軟性が必要です。テニス傷害、外傷は肩肘の傷害が半数をしめます。肩はインピンジメント障害が多い、肩手術後は競技復帰は平均7ヶ月かかるそうです。ラケットとボールの方向と同じになることが重要で肩の複合運動、シシースクワットなど指導するそうです。傍肩関節ガングリオンに対してエコー下に穿刺して改善した例、第一肋骨疲労骨折の例では平均2-3ヶ月で競技復帰するそうです。上腕骨の疲労性骨膜炎の例も提示され2ヶ月は競技復帰にかかるそうです。肘の障害では離断性骨軟骨炎、手関節ではキーンベック病が比較的多いそうです。チームドクターの仕事で尿比重のチェック、感染症のチェック、熱中症対策も紹介されました。メディカルスタッフ同士は通信手段を使用して共有しているとのことです。メディカルチェックは年3回おこなわれており、運動器傷害は減少して内科系疾患が多いそうです。外側上か炎はトップアスリートにはほとんどないとのことでテニス肘という言い方に誤解があることがわかりました。

ロコモを科学する会が山口グランドホテルであり参加しました。慶應大学の岩本教授が「高齢者の運動器疾患を考える〜ロコモティブシンドロームへの対策〜」について講演されました。

ロコモティブシンドロームは骨粗鬆症、変形性膝関節症、変形性脊椎症などの疾患にサルコペニアが加わり発生します。ロコモの評価法としての立ち上がりテスト、2ステップテストを行いロコモ度1、2の評価をします。ロコトレとしてスクワットと開眼片脚起立訓練にカーフレイズやフロントレンジが加わったそうです。変形性膝関節症は米国ではヒアルロン酸注射は重症例にしか認められていないそうですが日本では初期の変形性膝関節症にも使用した結果では消炎鎮痛剤と同等だったそうです。大腿四頭筋や中臀筋の筋力強化が運動療法では推奨されました。最近のトピックスで腰部脊柱管狭窄症の椎体間固定された移植骨の骨癒合がテリパラチド週1回投与で優位に早期に癒合したという日本での論文を紹介されました。骨粗鬆症性脊椎骨折と大腿骨近位部骨折は寝たきりになる可能性 があります。

次いで山口大学呼吸器感染症内科教授の松永教授の「COPDと骨粗鬆症」について講演されました。 COPDは慢性閉塞性肺疾患で1秒率が70パーセント未満で定義される疾患です。肺気腫や慢性気管支炎の総称で持続性気流閉塞が反映されています。COPDの進行は気流閉塞と肺過膨張で進行します。COPDは肺だけでなく、全身性の疾患が進行していき、動かなくなるとサルコペニアやフレイル、ロコモになります。続発性骨粗鬆症の原因疾患として骨粗鬆症の原因疾患の第1位です。COPDの重症度と骨密度は負の相関があり、椎体骨折有病率は79パーセントですが治療率は4パーセントというデータがあります。骨粗鬆症が骨密度と骨質の低下が原因で、COPDはタバコなどの有害物質が活性窒素種の過剰産生が生じ、肺を破壊するプロテアーゼ活性がアンチプロテアーゼ活性を凌駕し、炎症酸化ストレスからAGEsが過剰産生されて骨質の低下が生じて骨粗鬆症が進行するそうです。自己免疫と骨粗鬆症の関係は自己免疫疾患で破骨細胞の分化が促進されて骨破壊につながるそうです。小胞体ストレス反応としてGRP78抗体が増加すると動脈硬化の進行にも関連するそうです。COPDは肺がスカスカになっていますが骨も骨粗鬆症によりスカスカになっているという興味深い組織写真が興味深かったです。タバコが原因のCOPDは全く治らない病気ではなく機能的な状態は改善でき、気管支拡張剤の吸入性抗コリン剤CAMA・LAMAとベータ刺激剤CAMA・LAVAがあり最近では1日1回の長時間作用型の薬剤があり、気流閉塞に対する効果はLAMA/LAVA配合剤は呼吸機能が8歳若返るそうです。肺過膨張があると横隔膜が下に下がって可動域が狭くなって息切れの重要な原因となります。息を吐き切るのが苦手なCOPDの患者さんは運動すると息を吸えなくなるので、身体活動性が低下しており、1日の歩行量が10-20分しか動いていないそうです。1日の総歩数は死亡の最も高い因子ですが、運動療法の介入(運動カウンセリングや呼吸リハビリテーション)で改善しますがエビデンスが少ないそうです。気管支拡張剤では軽症例では身体活動性が改善するそうですので早期発見、早期治療が非常に重要であることを強調されました。COPDでフレイルの割合は26パーセントであり、フレイルになっていない患者さんは呼吸リハビリテーションで改善率が高いとのことで運動療法も早期治療が重要ということです。すなわち運動療法と薬物療法の早期介入がCOPDの治療効果を上げる方法であるとのことでした。COPDの増悪は呼吸機能が低下、QOLの低下、脊柱起立筋の筋萎縮、骨密度の低下につながります。30日以内の再入院の原因疾患がCOPD45パーセント、呼吸不全15パーセント、肺炎8パーセントというデータを示され歩行機能の回復が防止につながります。COPDによるフレイルの進行を緩和するポイントとして早期診断、禁煙、気管支拡張剤、運動療法など示されました。

3/15クリニック終了後に、いつのまにか骨折を考える会が松政であり、クリニック終了後参加しました。梅澤医院整形外科梅澤香貴先生の「いつのまにか骨折発見における開業医の役割」という講演でした。女性は人生の7分の1を寝たきりで過ごしているというデータを示され、骨粗鬆症の患者が世界で2億人と言われ、治療を受けているのは1/3ということです。大腿骨近位部骨折は全世界的には減少していますが日本は増加している現状です。先生のクリニックでは女性で55歳以上、男性で70歳以上で骨粗鬆症検査(DEXA、脊椎X線、身長計測、骨代謝マーカー)をお勧めされるそうです。X線検査ではSQ法で判定し、薬物治療開始基準は2015年の骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインに沿って判定されるそうです。身長計測で若い頃の身長より4cm以上低下すると骨折の既往を強く疑います。骨代謝マーカーでは当院と同じTRACP5bとP1NPを測定されるそうです。骨粗鬆症の治療目標として脆弱性骨折を防ぐことですが、二次性骨折を防止することも重要です。骨粗鬆症性新鮮椎体骨折には骨癒合促進の為にテリパラチドを積極的に勧められるとのことでした。骨粗鬆症は骨の生活習慣病とも言われ、予防としてエビデンスがあるのは薬物治療のみですので積極的に薬物治療を勧めているそうです。ビスフォスフォネート製剤が標準的治療ですが近年顎骨壊死(ARONJ)の発生リスクがあるとのことで歯科に紹介状を書いて連携すること、腎機能低下例ではeGFR 低下例では慎重投与することも教えて頂きました。骨粗鬆症治療のゴールドスタンダードとして重症骨粗鬆症では骨形成促進剤を投与後にから骨吸収抑制剤を使用することを推奨されました。フォルテオとテリボンの違いを骨代謝マーカーからみるとフォルテオは骨形成刺激剤でテリボンは骨代謝調整剤という位置づけであるとのことでした。P1NP が3ヶ月以内に10上がらないと注射手技の見直しや冷蔵庫での保管方法の見直しなどをして変更することもあるそうです。重症骨粗鬆症とは最近は年齢に関係なく脆弱性骨折を生じる疾患と言われているそうです。H26.9から現在まで98例フォルテオ導入されたそうです。フォルテオ導入は開業医こそ積極的に導入するベきという強いメッセージを残され、共感できました。

先日山口県医師会の担当者から私が監修した腰部脊柱管狭窄症の健康教育テキストが完成したとのことで送付されました。昨年会議を4回にわたって行い、健康教育委員会の先生方にいろいろ推敲していただき、完成したので感慨ひとしおです。待合室にもおいておきたいと思います。