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11/31はクリニック終了後に上田塾で最後の締めくくりとしてスタッフが4班に分かれて発表会を行いました。
それぞれが院内での取り組みについてプレゼンしてくれました。最優秀賞を決めましたがどのチームもそれぞれいいところがありは難航しました。是非実現してほしいとともに、成長したスタッフを見て頼もしく感じました。皆さんお疲れ様でした。




 
第五回九州沖縄山口骨OLS研究会ウェブリセミナーがあり最初の座長をしました。山口県立総合医療センターの理学療法士の山田先生が当院における骨粗鬆症リエゾンサービスの取り組みについて発表されました。
ついで特別講演があり、九州大学歯学研究院の柏崎教授が薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の動向と対策について講演されました。2003年にビスフォスフォネート関連顎骨関連壊死(BRONJ)と言われていましたが最近は薬剤関連顎骨(MRONJ)と言われています。主として抜歯の後に2ー4週で上皮化して治癒しますがMRONJは骨露出があり難治性で進行性の壊死が生じるものをいいます。歯周病を放置しても生じることがあります。進行すると皮膚瘻孔を作ったりQOLを障害します。何故顎骨に発生するかはビスフォスフォネートが骨に付着して破骨細胞の機能を障害するといわれています。感染経路は歯周ポケットや根尖などがあり、stages0ー3に分類されます。高圧酸素療法を併用することもある有効だそうです。発生率は癌の骨転移抑制薬剤による場合は1パーセント、経口薬では0、01パーセントですが抜歯をすると100倍になるそうです。予防としては関連薬剤前に歯科受診することであります。ビスフォスフォネート投与前に歯科紹介した場合発生率がゼロになったという報告もあります。休薬についてはMRONJ投与前予防的にするか、発生後の休薬などについても投与後4年以上で歯科と話し合い骨折リスクが高くなければ継続するとされています。発生後の休薬も数ヶ月と言われていますが休薬期間についてはエビデンスがなく、意見が別れるところです。デノスマブでもプラリアでの発生率は0、04パーセントと低いそうですが、中止すると腐骨が分離して治癒にいたるそうです、骨代謝マーカーでCTX増加で顎骨リスク増加するそうです。自己血を使用する工夫も予防になることも聞きました。一時修復の工夫や抜歯前に抗生剤を使用することも聴くことができました。歯科側から欲しい情報としては既往歴、投薬種類、投与期間などは必ず教えて欲しいそうです。
九州大学歯学研究院の 先生の骨吸収抑薬関連顎骨壊死に関する非侵襲的治療という講演を聴きました。CTで骨硬化部の範囲を確認して顎骨壊死周囲の歯肉切除し、露出壊死骨の削除を行い、局所洗浄、うがいをすること腐骨分離を促し、腐骨除去を行う方法を提示され、80パーセント以上の治癒率が得られたそうです。経口ビス薬では一年で67パーセントが治癒したそうですが静注剤は治癒率が低下するそうです。グルコン酸クロルヘキシジンで洗浄も有用だそうです。


11/15 変形性関節症の痛みー病態と治療方針の立て方ーについて千早病院の大石先生の講演を拝聴しました。急性の膝痛で骨壊死と言われていた症例で軟骨下骨の骨折のことがあるという症例を提示されました。
細胞膜に炎症や外傷が生じるとホスホリパーゼA2が活性化されてアラキドン酸が遊離されプロスタグランジンが産生され痛みが誘発され変形性関節症の痛みが誘発されます。
慢性疼痛の原因として下降性疼痛抑制系の機能が減弱されることで生じるとされます。変形性関節症についてはSNRIのサインバルタが適応があり下降性疼痛抑制系の賦活化します。変形性関節症の痛みは侵害受容性疼痛と中枢性の疼痛の両者をターゲットにした治療戦略としてサイトカインとプロスタグランジンに加えてセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤を推奨されました。
会の後、来られていた山口済生会病院の三原先生、大野先生とさっか整形外科の目院長と一緒に情報交換を行いました。

11/12大阪で脊椎疾患に対するエコーガイド下Hyreleaseの実際というエコーセミナーがあり参加しました。横浜市立大学の宮武先生に上肢神経障害に対するhydroreleaseの講演でした。hydrorereleaseは最近ではfascia rereleaseと言われていますが、皆川先生はエコーガイド下に結合組織をリリースする方法を提唱されています。しびれの位置から症状を確認して、圧痛、牽引テストupper limb tension testから神経領域を確認してhydrorereleaseするそうです。前腕外側のしびれを訴えてきた患者さんで橈骨神経浅枝周囲にhydrorereleaseする例を提示されました。
次いで和歌山県立医大の岩崎先生の講演で頭頸部の痛みしびれで神経根症についてで神経根症は頸背部の痛みで発症します。神経根症の診断は疼痛部位、スパーリングテスト、shoulder abduction release signで行いますが 神経根ブロックは透視も不要です。半側臥位でプローべを当ててC5、6、7、8神経根ブロックを選択的に行う方法を教えていただきました。次いでよしだ整形外科の吉田先生が腰痛をUSで診てhydrorereleaseで治すという講演でした。椎間関節、腸腰靱帯(L4ー5横突起から腸骨間靱帯)、後仙腸靱帯でのエコー下でのhydroreleaseを紹介されました。骨盤後傾や腰椎過前弯も原因となります。後仙腸靱帯の診断は仙腸関節を用手的に固定すると疼痛が改善する方法を教えてくださいました。次いでおなじみの皆川先生の講演でしゃがめない症例で膝窩部外則を痛がる方に総腓骨神経周囲にhydroreleaseするとしゃがめる症例、立ち上がりで膝か上部に痛みがある患者さんに伏在神経にhydroreleaseして良くなった症例、外反母趾の第1足趾内側しびれで内側足底し神経のhydroreleaseで良くなった症例、脇腹が痛い患者さんで骨折が否定的な場合に圧通部の肋間神経のhydroreleaseも提示されました。
慶応大学の今西先生がしびれと痛みの解剖学について講演されました。被包神経終末と自由神経終末があり自由神経終末が痛みの発痛原になります。痛みの伝導路にはAδ線維とC線維があります。軸索反射や後根反射が生じると慢性疼痛の原因の一つになります。神経因性疼痛は末梢感作や中枢感作が原因と言われています。しびれは虚血障害で生じると言われています。Aβ線維は触覚をつかさどりますがAδ線維やC線維は抑制するとされ、虚血が進行すると触覚から障害されAδ線維の障害でじんじんしC線維の障害でチクチクする感覚を感じます。筋膜は人体の線維性結合組織の総称であり皮下組織は浅層はPAFS、深層はLAFSという二層構造になっており深筋膜のLAFSも重要です。解剖での観察では神経上膜ははっきりせずLAFSの粗な結合組織であり血管網が密であり交感神経や体性神経などが豊富とのことでした。
午後から上肢神経障害に対するhydroreleaseについて宮武先生の講義がありました。
投球障害でリリース時の痛みのある場合紂頭、滑車、内側側副靱帯などがありますが上腕二頭筋と三頭筋内側の正中神経障害の場合がありhydroreleaseが有効例を提示されました。
次いで皆川先生がNTTnerve tension testを紹介されました。次いで岩崎先生がC1ー4根症状について講演されました。C2C4は眼精疲労に関与、C2は大後頭神経障害があり頭皮頭髪への異常感覚がありますが大後頭神経の近位アプローチについて症例提示されました。頚神経叢のブロックについて中斜角筋と胸鎖乳突筋間のhydroreleaseを紹介されました。
吉田先生が最後に仙結節靱帯、坐骨神経、内閉鎖筋、上殿神経、梨状筋、下殿神経のhydroreleaseを紹介されました。deep gluteal syndromeという概念、内閉鎖筋と大臀筋の間のhydroreleaseを紹介されました。上殿神経のhydroreleaseで小殿筋や大腿筋膜張筋の安定性が得られたそうです。
11/10 クリニック終了後にホテルニュータナカで第4回リウマチ病診連携の会に参加しました。医療安全について山口赤十字病院副院長の的場先生、加茂先生が講演されました。インシデントアクシデントレポートの提出についてや、手術場での針刺し事故が起こりやすいこと、手術安全チェックリストの導入で合併症や感染率が減ったそうです。5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)ラウンドをされ、医療事故防止、業務効率の向上を図ることを紹介されました。医療安全の今後ではシステムエラーが強調されすぎ、医師の安全に対する意識が低いなど問題があり、笑顔のない組織に未来はないなどのことを教えて頂きました。
ついで山口赤十字病院整形外科の加茂先生が関節リウマチに関する医療安全について講演されました。医師の説明義務について医療関係者が考える見解と一般社会が抱く疑問との乖離があること、リウマトレックスとステロイドの副作用の説明と同意書の紹介をされました。ヒューマンエラー対策として戦術的エラー対策も紹介され、理にかなったエラー防止策としてやめるという選択肢があること、エラー自体を減らすことなど教えていただきました。
11/8 西日本県内でウェブ講演会があり演者として講演しました。ウェブ講演は2回目ですがパソコンをみながらマイクに向かってしゃべるのはいつもと違うのですが、なんとか無事終了しました。週初めに鼻水が止まらずどうなることかと思いましたが何とか体調も戻ってよかったです。反響があればいいのですが・・・

 
日本腰痛学会には参加しただけではなく、しっかり発表もしてきました。高齢者の急性腰痛の6割は骨粗鬆症性脊椎骨折である、という演題です。当院を受診された65歳以上の高齢者の急性腰痛で6割が圧迫骨折だったという結果とその臨床上特徴をまとめました。
質問も多数あり活発なご意見をいただきました。発表後に運慶展を観に行きました。
11/3、4の日本腰痛学会で興味深かった講演からです。
早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡先生の「トップアスリートの腰部障害の予防」の講演を拝聴しました。腰部の特定の部位に負荷が加わり続けて障害がおこる状態をstage1:当初は違和感を感じる程度、stage2:組織に微細損傷が生じ運動時痛が生じる、stage3:組織に炎症が生じる、stage4:軟骨変性、骨吸収や増殖などの器質的変化が生じる、stage5:最終的に変形性脊椎症に至るに分類されました。腰部に伸展負荷が加わり続けることで腰椎椎間関節障害、椎弓疲労骨折(棘突起インピンジメント)、仙腸関節障害が発生します。腰部に屈曲圧縮負荷が加わると椎間板障害が発生するとのことでした。筋筋膜性腰痛:myofacial corsetーlike syndromeには腹横筋などの深部筋(ローカル筋)を鍛える体幹の安定化と骨盤周囲筋のストレッチと可動域の拡大が必要とのことでした。
アスリートの仙腸関節障害では女性に多く、フェンシング、バトミントン、卓球に多く、1ヶ月以上持続する疼痛にはMRIで仙腸関節にSTIR高信号を呈することが多いそうです。疼痛除去テストで確認できると障害の原因の一つとして治療の一助になるとのことでした。
右投げで左内腹斜筋に負荷が加わり損傷が生じやすい、きつい筋トレが有効とは限らない、水泳選手 壁を蹴る時椎間板に負荷が加わるなども勉強になりました。
骨粗鬆症性新鮮椎体骨折治療のカクシンー臨床研究で得られた核心に基づく革新的な治療体系の実現を確信するーという講演を大阪市立大の星野教授がされました。椎体骨折の治療の原則は保存的治療ですが椎体後弯変形、遅発性麻痺は遷延性疼痛などが残存する例があります。コホート研究でMRIのT1強調像は骨折が治癒すると信号変化が消失しますがSTIR高信号は1年で半数以上残存するとのことでした。半年で予後不良例は1/4あり、運動歴のない人が多かったそうです。腰痛に関連する画像所見はX線圧かい率が初期は有用でしたが晩期には椎体不安定性が重要であり、持続的に痛みがあり、保存的治療では患者アウトカムに与える影響は少ないという結果で装具の違いでもエビデンスはありませんでした。骨癒合不全の予約因子はT2高信号、低信号広範型でありました。
予後不良因子を同定して治療介入するものとしてテリパラチドでは椎体圧壊を防止できないので早期BKPについての半年後の結果ではVASの改善率は有意差はなく、ADL低下に有意に改善して、椎体圧壊の改善率は有意に高く、3割に隣接椎体骨折も生じ、後方要素の骨折も関連したとのことでした。骨折後二カ月以内と以後でのBKPの比較では前者に有意に成績が良好でした。遺残椎体骨折が高齢者に与える影響としてADL低下、腰曲がり、ロコモやサルコペニアがありますが、日本整形外科学会のプロジェクトで後弯(SVA95以上)と既存椎体骨折が3つ以上、胸腰椎移行部、中下位腰椎骨折が予後不良という結果を提示されました。

 
11/2から東京に行き、11/3.4で腰痛学会に参加しました。初日は東京タワー近くで食事しましたが、スカイツリーより風情があって私はこちらの方が好きですね。