院長ブログ – ページ 20

11/12,13 山口大学整形外科主催の西日本整形災害外科学会が宇部市であり11/13朝から参加しました。脊椎外科分野の発表の会場で脊椎外科領域の発表を聞かせて頂きました。久しぶりにリアルの学会に参加して質問なども行い勉強になりました。特別講演で大阪大学の忽那教授のCovid-19 最近の話題について拝聴し、ランチョンセミナーで山口県立総合医療センターの田中浩先生のJAK阻害剤による最新のリウマチ治療と整形外科医の役割の講演を拝聴しました。米英の留学のご経験のある先生から日本のリウマチ診療の特殊性(海外では関節炎はリウマチ医が診ますが日本ではフリーアクセスの利点として整形外科開業医、リウマチ専門医が早期診断が欧米より可能ですが生物学的製剤やJAK阻害剤は内科との連携が難しければリウマチ専門医に紹介した方がいいとのことでした。生物学的製剤でリウマチの治療成績は上がったのですがある程度関節破壊が進行していれば高齢者では軟骨変性による人工関節手術は減っていないとのことでした。午後から私も久しぶりに「当院で経験した骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の検討とその対策」という演題を発表しました。県内の先生方とも久しぶりにお会いして話が出来て有意義な1日でした。

11/9 クリニック終了後にウェブ講演会があり拝聴しました。鼓ヶ浦整肢学園の黒川先生が「この子のO脚、ただのO脚?」の講演でした。下肢のアライメントは1-2才ではO脚、3-4才ではX脚になりその後軽度のO脚に落ち着いてくるので経過を見ていくことが重要ですが、中にくる病やBlount病が含まれるので定期的なX線検査や採血が必要になるとのことでした。くる病のX線写真は実際に経験したことがなかったので大変勉強になりました。採血ではALP,Ca,P,25(OH)DFGF23などを計測してくる病の鑑別を行い、小児科専門医に紹介してビタミンDやリンの補充以外にブロスマブ(遺伝子組み換え製剤)を使用すること、成長線抑制術を併用することなど教えて頂きました。明日の診療に活かしていきたいと思います。

11/6 日本整形外科学会リウマチ研修会をウェブで拝聴しました。

3時間で6つの講義があり、特に

抗リウマチ薬(DMARDS)には合成抗リウマチ薬(sDMRDS)と生物学的製剤(bDMRDS)があり、合成抗リウマチには新しく出た分子標的型合成DMRDS(tsDMARDS)、生物学的製剤には従来型のboDMRADS以外のバイオシミラー(bsDMRDS)が加わりその特徴、使用方法などを解説していただきました。またメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)も注意すべき合併症でリンパ節腫脹やリンパ腫が出現した場合の検査や中止して改善しない場合には血液内科への紹介が必要とのことでした。

手術適応も薬物療法が発達して膝、股関節等の人工関節は減少しましたが四肢の関節手術は増加しており患者さんのADLQOLの向上には寄与していますが感染には注意が必要とのことですが手術法の進歩も勉強になりました。

11/5にコロナワクチン5回目の接種を行いました。接種券が送ってきてバーコードを読み込んで希望の日時から行なっている会場が選べるので便利になりました。今回は県庁で行いますました。比較的人数は多かったです。みなさんも接種券が送ってきたら早めに行かれることをおすすめします。

最近すごく面白かったオーディブルの作品で「トヨトミの野望」を紹介します。覆面作家の梶山三郎氏の作品ですが小説巨大自動車企業というサブタイトルがあり私と同じ苗字のあの自動車企業をモデルにしたフィクションということですがこれが本当ならよく取材したものと関心するほどリアルで非常に面白かったです。次回作の「トヨトミの逆襲」も既に聴き始めましたので展開が楽しみです。

毎週木曜日と日曜日はKスタジオで袖岡氏に筋トレを指導してもらっていますが本日の筋トレを紹介します。。主には上半身の筋トレが中心ですが、マシンでのトレーニング以外に行うのが腕立て伏せ(プッシュアップ)です。本日はプッシュアップバーを用いたワイドスタンスプッシュアップとパイクプッシュアップを行いました。ワイドスタンスプッシュアップは大胸筋に特に効き、パイクプッシュアップは今回初めてでしたが三角筋に効くトレーニングですがバリエーションを変えながら行うと筋肉痛も少ないですね。パイクプッシュアップはまだまだ下手ですが今後トレーニングを重ねていきます。

10/24ウェブで「痛みのexpert meeting」を拝聴しました。最初に自治医大の秋山先生が人口の約7%を占める神経障害性疼痛についての総説を述べられ、適切な薬物療法と運動療法など多面的アプローチが重要であること、慢性疼痛に移行しやすいので実現可能な目標設定が重要であり、薬物療法において睡眠などの具体的指標を実現できる薬物選択を行うことなどお話しされました。次いで福島県立医大の二階堂先生が腰部脊柱管狭窄症におけるミロガバリンの臨床試験の結果を中心にお話しされました。今までMIROP試験という臨床試験がありましたが、腰部脊柱管狭窄症に限定した臨床試験であるMiroTAS試験についての報告があり大変参考になりました。明日の臨床に生かしたいと思います。

 

7回山口中央OLS(骨粗鬆症リエゾンサービス)研究会がウェブでありましたが幹事として会場参加しました。最初に山口県立総合医療センター薬剤部の渡邊先生が「当院における大腿骨近位部骨折患者に対する骨粗鬆症治療について〜現在までの取り組みと今後の課題〜について発表されました。骨粗鬆症治療率は20%で骨粗鬆症治療継続率が低いことが問題とされています。2013-2017年の大腿骨近位部骨折患者さんで骨粗鬆症治療されていたのは23%でしたが新規薬物治療開始が18%であったそうで急性期病院で短期入院のため骨粗鬆症治療導入、継続の難しさがあります。骨粗鬆症マネージャーも含めた会議を行うことで大腿骨近位部骨折クリニカルパスを改定されました。薬剤師による骨粗鬆症治療歴の確認、DEXAによる骨密度測定、転院の際の紹介状に骨粗鬆症治療依頼文を添付することで骨粗鬆症治療継続を促すことをされ、クリニカルパス改定後の新規処方と治療薬継続は43%と増加しましたが退院半年後の治療継続率はやや減少していた結果からクリニカルパスの2回目の改定で入院中にビスフォスフオネート製剤を開始することとされた結果、退院半年後の治療継続率が57%と上昇したそうです。クリニカルパスが適応できない患者さんに個別の介入が必要であるということに関して本年から二次性骨折予防管理料加算が算定できるようになったのでクリニカルパスの改定により歯科へのコンサルテーションの自動化や採血での骨粗鬆症関連検査、個別カンファレンスを行い継続率の向上を目指す取り組みを発表されました。

次いで沖本クリニックの沖本院長が地域医療としての骨粗鬆症対策ー呉市での実際の取り組みーについて講演されました。沖本先生は高名な先生で講演の内容もわかりやすく勉強になるので楽しみに拝聴しました。先生のクリニックのある呉市で骨粗鬆症の重症化予防プロジェクトに取り組まれました。骨粗鬆症は薬物に加えて栄養、運動が基本です。日本人はビタミンD不足が多く天然型ビタミンDはサプリメントとして、定期的な運動・骨に対する荷重は骨粗鬆症予防として有用とのことでした。骨粗鬆症治療継続率の向上は受付の教育が重要とのことでした。大腿骨近位部骨折に有効性が高い薬剤はビスフォスフオネート、デノスマブ、ゾレドロン酸、ロモソズマブです。椎体骨折は大腿骨近位部骨折はその6倍といわれ、呉市のデータから椎体骨折の早期発見が重要、ビスフォスフオネート製剤による顎骨壊死の連携の一貫として歯科検診でパノラマ撮影で骨粗鬆症早期発見した際に整形外科への紹介して頂く連携、薬剤のデータをお薬手帳に残す試みも紹介されました。呉市では顎骨壊死発生率はビスフォスフオネート製剤のでは0.138%デノスマブでは0.165%1000人に1人とのデータをお示しになりました。デノスマブは中止すると多発性骨折発生の危険性がありますので中断した方には呉市が連絡して受診を促す取り組みをされており骨折予防に寄与しているとのことで地域医療の取り組みについて勉強になりました。

10/14オンラインで医系統合実践塾主催の神田昌典氏の講演を拝聴しました。神田昌典氏は経営コンサルタントとして有名な方です。内容は愛されるクリニックになる秘訣として未来予測、長寿社会で求められる仕事、子供との共創についてのお話でした。特に共感できたのは長寿社会でウェルビーイング(持続的幸せ、人が身体的精神的社会的に良好な状態であること)が重要であること、子供の新学習指導要領が改定され社会問題を解決することなどが重要視されることなど明るい未来が想像できました。

10/15山口グランドホテルで臨床整形外科研修会で山口労災病院脊椎脊髄病センター長の寒竹先生の「脊柱側弯症の診断と治療のポイント」を拝聴しました。脊柱側弯症は側方彎曲に伴い回旋変形を伴うことが特徴で特発性が6-7割を占めます。遺伝子因子と環境因子が関与しますが遺伝的要因が大きいとのことです。9才以下を早期発症、9才以上を思春期発症と分類され、胸椎カーブと胸腰椎カーブ(右凸が多い)、腰椎カーブ(左凸が多い)に分類されます。早期であれば足底板で脚長差を調整して側弯の進行を改善することも可能だそうです。前屈して背部の肋骨突出(リブハンプ)を確認します。X線立位正面像で彎曲の頂点同士に平行線をひき垂線を立てて交わる角度をコブ角といい10度以上を側弯状態、20度以上を側弯といいます。治療としては定期的X線撮影でコブ角の進行を確認してコブ角25度以上の場合には装具療法を行いますがさらに進行性の場合には手術を検討するとのことです。装具治療の成功率は装着時間に相関することがエビデンスとされています。手術は成長終了前のコブ角45度以上のカーブや成長終了後の50度以上とされており脊髄のモニタリングを行いながら椎弓根スクリューとロッド(支柱)を用いて側弯回旋変形を行う後方固定術を選択されます。注意すべきは男児、腹壁反射異常、10才未満の側弯、ダブルカーブなどはMRIを撮像し小脳扁桃が下垂するキアリ奇形と脊髄空洞症を合併する場合は先にキアリ奇形の手術(後頭下減圧術)を行って側弯の改善を認める場合もあるそうです。側弯の診断から手術までわかりやすく教えて頂きました。