エコーセミナーin 大阪


11/12大阪で脊椎疾患に対するエコーガイド下Hyreleaseの実際というエコーセミナーがあり参加しました。横浜市立大学の宮武先生に上肢神経障害に対するhydroreleaseの講演でした。hydrorereleaseは最近ではfascia rereleaseと言われていますが、皆川先生はエコーガイド下に結合組織をリリースする方法を提唱されています。しびれの位置から症状を確認して、圧痛、牽引テストupper limb tension testから神経領域を確認してhydrorereleaseするそうです。前腕外側のしびれを訴えてきた患者さんで橈骨神経浅枝周囲にhydrorereleaseする例を提示されました。
次いで和歌山県立医大の岩崎先生の講演で頭頸部の痛みしびれで神経根症についてで神経根症は頸背部の痛みで発症します。神経根症の診断は疼痛部位、スパーリングテスト、shoulder abduction release signで行いますが 神経根ブロックは透視も不要です。半側臥位でプローべを当ててC5、6、7、8神経根ブロックを選択的に行う方法を教えていただきました。次いでよしだ整形外科の吉田先生が腰痛をUSで診てhydrorereleaseで治すという講演でした。椎間関節、腸腰靱帯(L4ー5横突起から腸骨間靱帯)、後仙腸靱帯でのエコー下でのhydroreleaseを紹介されました。骨盤後傾や腰椎過前弯も原因となります。後仙腸靱帯の診断は仙腸関節を用手的に固定すると疼痛が改善する方法を教えてくださいました。次いでおなじみの皆川先生の講演でしゃがめない症例で膝窩部外則を痛がる方に総腓骨神経周囲にhydroreleaseするとしゃがめる症例、立ち上がりで膝か上部に痛みがある患者さんに伏在神経にhydroreleaseして良くなった症例、外反母趾の第1足趾内側しびれで内側足底し神経のhydroreleaseで良くなった症例、脇腹が痛い患者さんで骨折が否定的な場合に圧通部の肋間神経のhydroreleaseも提示されました。
慶応大学の今西先生がしびれと痛みの解剖学について講演されました。被包神経終末と自由神経終末があり自由神経終末が痛みの発痛原になります。痛みの伝導路にはAδ線維とC線維があります。軸索反射や後根反射が生じると慢性疼痛の原因の一つになります。神経因性疼痛は末梢感作や中枢感作が原因と言われています。しびれは虚血障害で生じると言われています。Aβ線維は触覚をつかさどりますがAδ線維やC線維は抑制するとされ、虚血が進行すると触覚から障害されAδ線維の障害でじんじんしC線維の障害でチクチクする感覚を感じます。筋膜は人体の線維性結合組織の総称であり皮下組織は浅層はPAFS、深層はLAFSという二層構造になっており深筋膜のLAFSも重要です。解剖での観察では神経上膜ははっきりせずLAFSの粗な結合組織であり血管網が密であり交感神経や体性神経などが豊富とのことでした。
午後から上肢神経障害に対するhydroreleaseについて宮武先生の講義がありました。
投球障害でリリース時の痛みのある場合紂頭、滑車、内側側副靱帯などがありますが上腕二頭筋と三頭筋内側の正中神経障害の場合がありhydroreleaseが有効例を提示されました。
次いで皆川先生がNTTnerve tension testを紹介されました。次いで岩崎先生がC1ー4根症状について講演されました。C2C4は眼精疲労に関与、C2は大後頭神経障害があり頭皮頭髪への異常感覚がありますが大後頭神経の近位アプローチについて症例提示されました。頚神経叢のブロックについて中斜角筋と胸鎖乳突筋間のhydroreleaseを紹介されました。
吉田先生が最後に仙結節靱帯、坐骨神経、内閉鎖筋、上殿神経、梨状筋、下殿神経のhydroreleaseを紹介されました。deep gluteal syndromeという概念、内閉鎖筋と大臀筋の間のhydroreleaseを紹介されました。上殿神経のhydroreleaseで小殿筋や大腿筋膜張筋の安定性が得られたそうです。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。