気象病と天気痛-mixでお話ししたことのまとめ

6/10mixでお話しした気象病と天気痛をもう少し詳しくまとめてみました。

気象病はメテオロパシー(meteoropathy)といい、天候や気候の変化(気圧、温度、雨など)で痛みが変化する病態です。ギリシャ語のmeteora(天候)とpathos(病気)が起源です。古くは紀元前400年前のソクラテスも指摘しています。中高年の女性に多く、神経質な性格に生じやすいと言われています。めまい、吐き気、全身倦怠感、朝ベッドから起き上がれない、気分の落ち込み、うつっぽい、喘息などのアレルギーの悪化や、頭痛、関節痛、手術後疼痛(古傷が痛むなど)、特に慢性疼痛は影響受けやすいとされます。愛知医科大学学際的痛みセンターの佐藤純先生は気象病の中でも痛みを伴うものを天気痛と名付けられました。6000人のアンケート調査の結果、天気痛のある人は全体の約一割で、慢性痛のある人の25%が天気が悪いと痛みが悪化すると答えたそうです。原因として鼓膜の奥にある内耳が気圧のセンサーがあり、そこでの情報が脳に伝わり自律神経を変化させ、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて交感神経が活発になりすぎて痛みの神経を刺激したり、血管が過剰に収縮、痙攣して血管周囲の神経を興奮させるためであると考察されています。予防法としては自律神経のバランスを整える生活、すなわち規則正しい生活リズムで、適度に運動(頸部周囲のストレッチなども有効)して、朝食をとることが重要です。特に女性に多い天気痛の一つである肩こりについてエクササイズを紹介します。女性はストレートネックで頭の位置が胸椎(背中の背骨)より前に出ること、巻き肩と言って肩甲骨が内側に向く傾向があることも症状が出やすい原因の一つとされます。そこでまず、10分の姿勢を横から鏡でチェックしてみると、姿勢は頭が思った以上に前に出ていることがわかります。首を後ろにそらして自分の首の動きを確認してください。椅子に深く腰掛けて、胸を張り、下顎に示指、中指先端を当ててうなずく(二重顎になるよう)よう後ろに押します、3秒押して2秒話す、これを5−10回繰り返します。このさいに肩や腕、手に強い痛みが来る場合には無理しない方がいいです。エクササイズの後後ろに反る時に動きが良くなり、気持ちいい漢字があればエクササイズの効果がある証拠です。

もう一度鏡で首の動きをチェックして動きも良くなっていることも確認できれば、次のエクササイズもやってみましょう。顎を引いた後にゆっくり首を後ろに反らして反らし切った後に左右に軽く回します。(この時肩や腕、手に強い痛みが来る場合には中止してください)これを5−10回繰り返します。(1−2時間おきに行うことがベストですが1日3セットから結構です)再度首をそらして痛みや動きが良くなったかをチェックします。効果が実感できた方は是非つづけてみてください。痛みの改善のない方、エクササイズが合わない方、もっとしっかり習いたい方は理学療法士による運動療法を行うことができますし、他のエクササイズが効果がある場合もあるので当院受診もご検討ください。

写真は上から不良姿勢、胸を張る姿勢、下顎を引くエクササイズ(リトラクションと言います)、首を反らすエクササイズ(リトラクションエクステンションと言います)

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。