小児救急地域医師研修事業講演会

3/18山口市医師会館で小児救急地域医師研修事業講演会が開催されましたので司会として参加しました。東京からウェブで愛育病院小児科の田原麻由先生の「愛育病院におけるCOVID-19小児例の検討」講演がありました。愛育病院は東京港区にある紀子様が出産されたことでも有名な病院です。院内での検査体制も確立され小児のコロナ入院では慈恵医大に次いで多いそうです。小児での検査は鼻咽頭で検査するそうです。現在までに86人の陽性者を入院治療されましたが最近の東京の事情で宿泊施設を利用できるので入院患者数は減少しているそうです。感染経路は両親からで家庭内感染がほとんど(父親からが多い)だそうです。症状は発熱(38度以上が半数)、鼻汁、咳嗽が半数で味覚嗅覚異常の訴えは10才以上とのことでした。重症例はなく、肺炎、発熱遷延した2例で酸素吸入とステロイド使用されたそうです。又非濃厚接触者の感染例は少ないとのことでした。小児単独入院で看護師さんの接種時間が長いが適切な感染対策をされていることで院内感染は生じにくく、ネブライザーはエアロゾル発生の点からも使用しないとのことでした。 次いで山口県環境保健センター所長の調先生の「COVID-19の感染性と感染対策」の講演がありました。最初にCOVID-19の基本情報をお話されました。全国的な患者数は20代が多く高齢者は致命率が高かったのですが最近は治療プロトコールが確立されて低下しているそうです。感染は発症2、3日前から感染性を持ち発症日以降一桁ずつ感染率が低下するとのことでした。予防は飛沫対策が最も有効とのことでした。ウィルス量の多い人がスーパースプレッダーになり山口県でのクラスター発生例についても提示されました。ゲノム解析の結果でどこから発生したかが判るそうでやはり夜の飲食店での感染の発生リスクが高いそうです。PCR検査法はリアルタイムPCR法が最も感度が高いのですが偽陽性もあるとのことでした。発症後10日すぎると感染力はほぼなくなるとのことで山口県の検査結果もお示し頂きました。例外として重症例や免疫不全例は発症後20日まで感染性が続くそうです。最後に変異ウィルスについては武漢株が欧州株に入れ替わったこと、N501Y、E484Kを含む変異株が最近増加しており、抗体が結合しにくく感染しやすくなるメカニズムも教えて頂きました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。