加藤総夫先生の「第三の痛みの機序 痛覚変調性疼痛が開いた新しい科学の扉」を拝聴しました

  • HOME
  • ブログ
  • 院長ブログ
  • 加藤総夫先生の「第三の痛みの機序 痛覚変調性疼痛が開いた新しい科学の扉」を拝聴しました

9/25山口グランドホテルで東京慈恵医大名誉教授の加藤総夫先生の「第三の痛みの機序 痛覚変調性疼痛が開いた新しい科学の扉」の座長を務めました。痛みは侵害受容とは異なる現象、組織損傷がなくてもよい、感覚と情動、個人的な体験、人生の経験を通じて痛みの概念を学ぶ、痛みはそれに似ているだけでもいいとのことでした。侵害受容性疼痛(indicative pain)、体性感覚神経系が傷害を受けて活性化する神経障害性疼痛(neuropathic pain)の2つの痛みの概念が主体でしたが、慢性疼痛は古典的な侵害受容主義的痛み理解では説明できない痛みで様々な名称で呼ばれていましたが2017年に国際疼痛学会が第三の痛みとしてnociplastic painという名称を定義しました。日本でこの名称を2021年に痛覚変調性疼痛と定義されました。偏頭痛、筋緊張性頭痛、ブレインフォグ、多モダリティ過敏、線維筋痛症などがあります。注意すべきは痛覚変調性疼痛は診断名ではなく、診断名としては慢性一次性疼痛などが当てはまります。痛覚変調性疼痛の最近の話題を紹介されました。初期に侵害受容性疼痛であったものが痛覚変調性疼痛に発展することも多い、グレーディングシステムにより痛覚変調性疼痛の診断、膝痛で痛覚変調性疼痛の方は人工膝関節置換術の痛み持続例が多い、痛覚変調性疼痛の遺伝素因の解析、錯覚性疼痛も紹介されました。最後に慢性痛が可塑性によって生じることを主張されてきた先生の研究で脊髄-腕傍核ー扁桃体経路の扁桃体シナプスの可塑性を証明されたことの紹介、慢性痛に伴う神経可塑性の研究など最新の情報を教えて頂きました。

 

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。