シンポジウム人生100年時代の全世代にわたる多様な骨粗鬆症治療について考える、を拝聴しました。大阪大学小児科の大幡先生の小児骨形成不全症の骨粗鬆症治療としてはガイドラインを中心にビスフォスフオネート製剤での治療とゾレドロン酸とデノスマブとの比較でゾレドロン酸の比較、骨形成促進剤について教えて頂きました。長崎大学産婦人科の北島先生の思春期から性成熟期における骨粗鬆症について視床下部性無月経(体重減少、女性アスリートの三主徴)と妊娠関連骨粗鬆症について教えて頂きました。女性アスリートの三主徴に対する治療として体重増加、栄養指導で骨密度増加なければエストロゲン療法を行いますが低容量ピルは使用していないとのことでした。将来の妊娠・出産に向けた健康管理(プレコンセプションケア)が重要と強調されていました。次いで顎骨壊死のセッションに参加しました。薬剤師から歯科医師に薬剤情報提供は1729件中31件あり歯科への積極的受診勧奨も行っているとのことでした。大腿骨近位部骨折入院時の歯科介入で外科的処置が必要例が3割あり更なる介入が必要とのことでした。
最後にシンポジウム15 厚生労働科学研究田中栄班・骨粗鬆症検診委員会合同企画:新しい骨粗鬆症検診とさらなる改善の方向がありました。東京大学整形外科田中栄教授が骨粗鬆症検診改定に向けた取り組みを講演されました。日本の骨粗鬆症は治療介入例は女性30-40%、男性3%で脊椎骨折グレード2以上の骨折でも3分の1しか受信していないという背景があり1995年に骨粗鬆症検診が追加され2000年以降で40才から5才刻みで70才までの女性のみ骨粗鬆症検診を行われてきました。骨粗鬆症検診参加率は年齢性別は一緒で全国平均5.3%と低く国も15%までに引き上げる目標を立てています。新しい検診の方針で骨密度測定を必須とせず既存骨折あれば又はOSTA(体重–年令)÷5=0.1以下、年令–体重が5以上),FRAXの問診項目のみを行い、二次検診としてDEXAによる骨密度測定を行う方向とのことでした。骨粗鬆症検診率が高い自治体は人工骨頭置換術が多いデータがあります。ROAD研究では過去の検診参加歴は骨粗鬆症服薬率を上げるとのことでした。現状の課題として検診方法が定まっていないことがあったので飯高先生が骨粗鬆症検診の改善の現状と今後の課題として様々な検証の結果、OSTA-1以下、FRAX問診項目一つ以上がもっともバランスのよいスクリーニング方法であるとのことでした。人間ドックでは超音波骨密度検査(QUS)が多く用いられていますがあくまで骨折リスクを評価するツールとのことでした。最後に厚労省健康・生活衛生局の河野先生が健康日本21(第三次)における骨粗鬆症に関する取組について講演がありました。健康をめぐる状況、平成25年から令和6年までの第二次健康日本21の評価として誰一人取り残さない健康づくり、健康寿命延伸と健康格差の改善など目標として女性の検診率の低下を問題点として市町村に健康相談窓口をつくり、骨粗鬆症検診率の向上を図り、健康寿命を延ばすアワード、スマートライフプロジェクトなど推進する取り組みを幅広く紹介されました。