かかりつけ医のための疼痛セミナー

11/15 ホテル松政でかかりつけ医のための疼痛セミナーがあり参加しました。講師は山口大学整形外科鈴木先生で脊椎疾患におけるいたみ診療の最近の話題と病診連携の講演を拝聴しました。 腰痛下肢痛の治療、インターベンショナル治療、中枢感作の評価方法、治療効果判定としてのNTS cutoff値についてお話しして頂きました。慢性疼痛は腰痛、肩痛が多く、運動器慢性疼痛有病率は15%とのことです。脊椎疾患の慢性疼痛は侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、両者の混合性疼痛もあり以前は原因不明の腰痛の85%が原因不明の非特異的腰痛と言われてきましたが鈴木先生と山口県臨床整形外科医会が協力して行った山口県腰痛スタディで非特異的腰痛は20%であり80%は診断可能な特異的腰痛であることを提示できたとのことでした。慢性疼痛の治療は急性痛を慢性化させないように早期治療が重要であり痛みの伝達経路を考えながら薬剤選択していくと効果が上がるとのことでした。又山口大学ペインクリニックで行われている腰椎椎間関節ブロック、後枝内側枝電気凝固、硬膜外ブロック、神経棍ブロック、パルス高周波療法、硬膜外癒着剥離術なども紹介して頂きました。次いで難治性疼痛に対して山口大学ペインセンターで行われている集学的治療についても詳しく紹介されました。運動指導のポイントとして痛みに対する捉え方を変えること、ペーシング、自己効力感を高めることなども教えて頂きました。オーストラリアで行われているADAPTセミナーについても紹介されました。最後に臨床においてNRSの改善と患者満足度が優位に相関するので治療前後で2変化すれば満足度も高いとのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。