クリニックペインフォーラムイン山口での小西先生の講演

クリニックペインフォーラムイン山口に参加して長崎労災病院副院長の小西先生の「慢性腰痛症に対する最近の取り組み」について拝聴しました。近年高齢者の慢性腰痛が社会問題化していますが疼痛に対する新しい知見が出てきて、局所病態の解明が進んできて集学的治療が確立されてきています。腰痛患者の現状、腰痛診断の手順、手術とその限界、腰痛の薬物療法についてお話されました。腰椎椎間板ヘルニアが半年後に自然吸収されたにもかかわらず腰痛が残存する患者さんが手術を希望しても果たして適応があるか?という疑問も投げかけられました。腰痛の原因として椎体、椎間板、神経根、筋肉、椎間関節、姿勢、心理的な要素があり、腰痛診断の進め方として問診が重要でレッドフラッグの可能性、身体所見、画像診断、血液検査を総合的に診断します。MRIでレッドフラッグの診断が容易になりますが、画像診断で印象の強い部分に注視しやすいので注意が必要とのことでした。見逃されやすい疾患で化膿性脊椎炎、大腿骨頸部疲労骨折、変形性股関節症、脊椎転移例など提示され、腰椎のX線撮影出て股関節まで含めたり、腰椎のX線側面で大動脈の石灰化で大動脈の幅で大動脈瘤の診断が早期発見できる例も示されました。急性腰痛では組織の炎症等による痛みが多いので、慢性腰痛に移行しないように気をつける必要があるとのことでした。腰痛診断で特定が困難であることも多く、社会的要因も大いに関与しています。労働者5000人の腰痛研究でも心理社会的要因の関与が多かったそうです。慢性腰痛患者の治療として薬物療法、ブロック療法、理学療法、手術療法などがあり、以前は腰椎前方固定術が行われてきましたが長期的には成績がいいとは言えないそうです。椎間板性腰痛に対して椎間板内高周波熱凝固やキモパパインの注入療法などがありますがエビデンスはまだないようです。先生のご経験で腰椎の創外固定を行い脊椎固定術の適応を決める方法を提示されました。変性側弯症でのインスツルメントによる広範な固定術は日常生活での支障が大きくなります。低侵襲の脊椎固定術(OLIFやXLIF)も最近では行われていますが、感染、偽関節、インスツルメント折損などが問題になります。痛みの伝達経路で上行性と下降性経路があり、これまでは慢性腰痛症の治療の主役は消炎鎮痛剤でしたが、胃腸障害、腎障害の合併症が問題であり、最近ではプレガバリん、ドゥロキセチチンなどの投薬が注目されています。痛みの評価でNRSでは3、RDQで8点以下で仕事復帰する目安とすることも教えて頂きました。慢性腰痛の薬物療法では消炎鎮痛剤の後にプレガバリンやドゥロキセチチンを使用する方法を自件例を交えてお話されました。今後の考え方として患者立脚型の治療計画を立て、手術だけで完結しないことも説明して治療後の評価を行い、薬物療法を効果的に使用して運動療法によって薬物療法の使用の軽減を図ることなどを提示されました。