日本足の外科学会教育研修会にてその1

8/6朝から新幹線で博多の九大記念講堂に行き、日本足の外科学会教育研修会で1日足の勉強をしました。偶然新幹線で山口済生会病院整形外科大野先生と一緒でした。会場でかわかみ整形外科クリニックの院長先生と下関済生会病院の末富先生にもお会いしました。足の診察、バイオメカニクス、各論(骨折、靭帯損傷、変形、腫瘍など)も勉強しました。福岡歯科大学の井上先生の講演で、足の役割は体重を支える、体のバランスをとる、歩行、移動があり、何が困るかを聞くことが重要ですが一番問題となるのは痛みです。整形外科的なものと内科的なものと靴などの外部因子によるものに分類します。診察は診断と鑑別診断による緊急性を要するか?の判断が大切です。痛みの部位、足以外の痛み、歩行状態と靴下を脱いで足底の観察、立位歩行の観察、靴の観察を行います。触診は表面の解剖を理解して疾患を絞って動脈の拍動、タコや魚の目、知覚障害など左右比較します。痛くなる靴を持ってくることも必要です。緊急性があるのは外傷によるコンパートメント症候群、循環障害、開放骨折、変形による皮膚障害です。X線は少なくとも2方向撮影して頭で立体構成することなどが大切です。モートン病、外反母趾と強剛母趾の鑑別、足関節捻挫と足根骨癒合症、アキレス腱断裂、腓骨筋腱脱臼の鑑別、足底腱膜炎の鑑別診断も教えていただきました。獨協医大の栃木先生は足のバイオメカニクスについて講演されました。靭帯は足関節中間位では緊張しておらず靭帯不全があると遊脚期に関節が前方亜脱臼し、立脚期に整復される不安定性が生じる可能性を示唆されました。足関節ー距骨下関節複合体の考え方と足部の動的安定性に関与するのが下腿三頭筋で、後脛骨筋は内側アーチ挙上の主導筋で、長腓骨筋は第一足趾列を底屈して内側アーチを挙上します。踵骨結節の外側化が進行すると後足部のダイナミクスが破綻します。外反母趾は種子骨複合体に対する中足骨頭の外側亜脱臼と考えることを教えていただきました。
次いで羊ヶ丘病院の倉先生が手術進入路(足関節の前方アプローチ、前外側アプローチ、後内側アプローチ、cincinattia皮切によるアプローチ、後外側アプローチ等々)を教えていただきました。
奈良県立医大の熊井教授の足の超音波の講義を拝聴しました。まず触診して圧痛点がわかったら超音波で診断します。足関節靭帯損傷、アキレス腱炎やアキレス腱症、足底腱膜炎、足根管症候群、下腿肉離れ、疲労骨折などで有用です。
次いで仙台医療センターの伊勢福先生が足関節果部骨折の治療の講演をされました。足関節果部骨折は骨折+靭帯損傷であリ安定性と可動性のことを考えて治療します。循環状態、特に内果の腫脹、足部の筋区画症候群などに注意が必要です。Lauge-Hansen分類とAO分類の詳細な解説をしていただきました。手術適応は不安定性があり、転位が2mm以上とのことです。吸収スクリューも金属スクリューと成績に差がないのですがアレルギー反応に注意が必要です。脛腓間の固定でsuture buttone fixation deviceによるものも紹介されました。
久留米大学の野口先生が変形性足関節症について講演されました。変形性足関節症の手術には人工関節置換術、足関節固定術、骨切り術がありますが、保存的治療でもステロイド注射と足底板、装具などがあります。病期分類と足関節の形態、不安定性の評価、距骨の位置がポイントです。荷重位でのX線評価が必須です。距骨下関節の代償機能としてステージ分類でIIからIIIa度は踵骨は外反して代償機能が働いており、それ以上進行すると踵骨は代償機能が働かず内反しています。下位脛骨骨切り術(LTO)の適応としてステージ分類IIからIIIaで距骨傾斜角が小さく、荷重軸が内果にかからず、関節鏡で軟骨欠損が距骨天蓋関節面の20パーセント未満になるそうです。足関節遠位矯正骨切り術(DTO)は骨切り術に創外固定術を追加してステージの進んだ例にも適応があるそうです。人工関節置換術は末期関節症で内外反変化が15度未満のもの、周辺距骨下関節やショパール関節に関節症性変化があり、60才以上で活動性が低い例が適応になり両側例では片側を固定してから反対側を置換します。