広島で骨粗鬆症講演拝聴しました


8/24広島でエキスパートミーティングイン中国五県に参加しました。座長は沖本クリニックの沖本先生で、島根大学内科の山内准教授の骨折の危険性が高い骨粗鬆症とは?〜続発性骨粗鬆症も含めて〜について拝聴しました。重症骨粗鬆症とは骨密度値が-2.5SD以下で1つ以上の脆弱性骨折を有するものとされていますが最近では大腿骨近位部骨折の既往を有するものとすることもあるそうです。初回骨折から半年、一年以内に2回目の骨折を生じやすいので、できるだけ早期に骨粗鬆症治療を始めることが重要であるとのことでした。二型糖尿病は骨質低下、骨代謝回転の低下により椎体骨折の危険性が約2倍になり、骨密度が低くない場合があることも注意が必要です。スクレロスチンは骨質劣化の指標になるそうですが保険適用になっていません。高齢、罹病期間が長い、アルブミン低下などが加わると骨折リスクは増加するとのことでした。又慢性腎障害、慢性閉塞性肺疾患、甲状腺機能亢進症、胃切除後、前立腺ガン、乳癌の性ホルモン抑制療法も骨粗鬆症リスク、骨折リスクが高くなるのでので既往聴取が必要であることも教えていただきました。又サブクリニカルクッシング症候群(副腎腫瘍あり)でステロイドが慢性的に高いと骨粗鬆症、骨折リスクが高いとのことでした。又内分泌内科専門医に紹介する場合に重症骨粗鬆症であることを記載してほしいとのことでした。

次いで鳥取大学保健学科の萩野教授の骨粗鬆症治療における薬剤選択・治療戦略について拝聴しました。骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制と骨形成促進薬があり、椎体骨折の抑制効果がグレードAであるのはビスフォスフォネート、デノスマブ、SERM、テリパラチド、ロモソズマブ、エルデカルシトールです。ビスフォスフォネートの使い分けは第2世代のアレンドロネート、ゾレントロン酸、第三世代のリセドロネート、イバンドロン酸などがあります。骨との親和性が高いのと低い種類があるのでそちらも考慮する必要があるそうです。テリパラチド週一回と週二回の検討で週二回の方が骨密度上昇が高かったそうですので今後の登場に期待できそうです。ロモソズマブは皮質骨の吸収がないのでテリパラチド毎日製剤と異なるそうです。

椎体骨折は骨折数が多く、圧壊のグレードが高いほど骨折リスクが高いそうです。骨粗鬆症治療薬の使い分けは年齢、骨折ありなしで使い分ける方法を教えていただきました。骨粗鬆症治療の治療目標としてYAM値が70パーセント以上として3-5年以内に評価すること(休薬ードラッグホリデー検討)が推奨されています。骨密度増加が大きいほど骨折リスク低減が大きいので骨密度を増加させることは骨折抑制に有用とのことでした。デノスマブは中止後多発骨折リスクがあるのでビスフォスフォネート製剤を投与する必要があるとのことでした。テリパラチド、ロモソズマブも他の薬剤で治療しないと骨密度は減少するので治療継続が必要とのことでした。デノスマブ投与後にテリパラチド投与は好ましくないとのことでした。

最後にディスカッションがあり萩野教授が座長で倉敷中央病院の松下睦先生、沖本先生がお話しされました。松下先生が骨形成促進剤が果たした役割についてレクチャーされました。圧迫骨折が偽関節になる割合が13パーセントと言われており、危機的骨折連鎖症例(脊柱の崩壊ードロップボディ症候群)もあるのでテリパラチドの役割をお話しされました。テリパラチドは骨折を起点とした時に使用されていますがロモソズマブはまだ結果が出ていないので今後の課題であるとのことでした。沖本先生はロモソズマブは海綿骨にも皮質骨にも良さそうでデノスマブより骨密度上昇効果が高く、癌患者にも使用可能ですが新鮮骨折にはまだはっきりしないとのことです。テリパラチドは骨芽細胞の前駆細胞を増やすので骨形成促進効果が高い(ハイパーリモデリング)そうですが、ロモソズマブは骨代謝回転の調整があり骨折癒合促進としては使用しないそうです。心血管イベントには要注意とのことで腎透析患者さんには使わない方がよいとのことでした。又糖尿病患者さんで狭心症や心筋梗塞の既往がある方には投与しないとのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。