日本臨床整形外科学会に参加発表しました。その二

学会2日目は兵庫県立こども病院の薩摩先生の臨床医が見逃してはならない小児の運動器疾患を拝聴しました。新生児から乳児期、幼児期、学童期・思春期に分けられました。乳児期では化膿性股関節炎が第1にあげられますが、関節穿刺をして菌の存在を検査してできるだけ早期(発症後4日以内が予後を左右する)に治療することが必要です。関節内の糖値が低値が診断に有用とのことでした。先天性筋性斜頸は自然経過でよくなることが多いのですが約2割が3歳ぐらいで手術になります。中に腫瘍性病変があり好酸球性肉芽腫で椎体破壊があったり脊髄髄内腫瘍の可能性があったそうです。先天性内反足、垂直距骨もあり、内反足の治療はポンセチ法が主流で保存的治療が基本ですが難治例には全身麻酔下のアキレス腱の皮下切腱術も行うそうです。先天性股関節脱臼は女児に多く、骨盤位分娩、家族歴はリスク因子になります。3カ月検診で開はい70度以下は要精査となり8カ月未満はパブリック装具を装着しますが1週で整復しなければ外した方がいいとのことでした。幼児の歩容異常は再現性があるか?うちわ歩行で受診することが多いので股関節可動域をチェックする必要があります。又O脚に関しては2歳までは生理的で3-4才ではX脚になりますが中にブラウント病、くる病も鑑別する必要があるそうです。扁平足はX線で距骨と踵骨の角度が35度以上と言われます。積極的な治療は基本的には経過観察でよいとのことでした。脚の長さの左右差を脚長差といいますが2-2.5cm以上は異常とのことでした。治療は個々の病態に応じて脚延長や逆に短縮する手術をされるそうです。スポーツで足の痛みの原因として足根骨癒合症は距骨踵骨や距骨舟状骨に多く治療は学童期は癒合部切除になります。又有痛性股関節痛でペルテス病は初診ではっきりしないばあいが多いので6-10才男児に多くX線評価、エコー、MRIが有用ですが治療は股関節外転装具で骨頭を臼蓋に求心位に持っていく治療をすることが必要とのことでした。又大腿骨頭すべりも肥満は必ずしも必須ではなく早期発見、早期治療(発症後3週間がよい)が重要とのことでした。手術は発症早期に愛護的整復をしてピンニングを行うとのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。