ロモソズマブ

イベニティナショナルシンポジウムがあり参加しました。ロモソズマブという新しい骨形成促進剤の研修会ですが、オープニングで宗園先生が解説され、骨粗鬆症の高リスク群に適応がありますが今まで骨形成促進剤のデイリーテリパラチドは脊椎での骨密度上昇は効果が高いのですが大腿骨近位部の骨皮質の多孔化が生じること、骨形成促進の後に骨吸収促進が遅れて生じることがわかってきました。ロモソズマブは脊椎と大腿骨近位部の骨密度上昇が得られ、骨形成促進と骨吸収抑制を併せ持つ唯一の薬剤とのことでした。

次いで田中栄教授の講演がありました。骨のリモデリングは骨吸収は3週間後骨形成は3ヶ月と言われています。現在の骨粗鬆症治療薬はほとんど骨吸収抑制薬であり、骨リモデリングは抑制され、骨形成促進薬のテリパラチドは骨リモデリングを促進します。骨硬化症やバンブッヘン病の遺伝子解析、研究でスクレロスチンが骨形成抑制、骨吸収促進作用があることが判明しました。又スクレロスチンがLRPに結合してWNTシグナルを抑制すること、エストロゲンが閉経後欠乏するとスクレロスチンが高くなる、加齢に伴いスクレロスチンが上昇する、慢性腎疾患ではスクレロスチンが上昇する、運動負荷でスクレロスチンが抑制されろことなどからスクレロスチンに結合してその作用を抑制する薬剤が開発されたものが抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)です。ロモソズマブは骨形成促進と骨吸収抑制作用が早期に同時に生じ、その後収束してくるとのことです。田中教授のグループは骨代謝・治療数理モデルを用いた結果、テリパラチドは骨形成促進を維持しますがロモソズマブは骨形成促進がスパイク状に生じ同時に骨吸収抑制も生じた結果からロモソズマブの効果は前駆細胞から骨芽細胞への文化を促進しモデリングベースト理論で説明できるそうです。次いで2014,2018年のロモソズマブの臨床論文発表をされたMcClung博士の講演がありました。ロモソズマブの大規模臨床研究で脊椎と大腿骨近位部骨密度の上昇が得られ、P1NPが上昇しCTXが減少しました。2年連続で投与しましたが上昇率が低いことからロモソズマブの連続投与期間は1年となったそうです。又投与を中止後何も治療しないと骨密度が低下することからロモソズマブ1年投与後は骨吸収抑制剤の投与が必要になります。ロモソズマブ1年投与後デノスマブを1年投与後再度ロモソズマブを投与すると骨密度は経時的に上昇し、初回からデノスマブを投与した群の骨密度上昇より早かったそうです。骨折抑制効果も椎体骨折、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折のいすれも骨吸収抑制剤より高かったそうです。副作用として約13パーセントあり、局所反応(皮疹など)が5パーセント、顎骨壊死と非定型骨折が1例ありました。心血管イベントは1-3パーセントあり、プラセボ群との比較では大きな優位差はなかったということでした。ビスフォスフォネート製剤で治療後にロモソズマブとテリパラチドで比較試験では脊椎、大腿骨近位部骨密度共にロモソズマブが上昇率が高く、皮質骨骨密度も増加したという結果を示されました。

最後に宮内先生、竹内先生、斎藤先生の骨粗鬆症治療の3人の先生をパネリストとしてロモソズマブの果たすべき役割についてディスカッションがありました。宮内先生は日本でのロモソズマブ1年、デノスマブ2年の臨床試験の結果で骨密度は有意に上昇し新規脊椎椎体骨折、非椎体骨折の抑制効果が認められたそうです。虚血性心疾患、脳血管障害など発現リスクの高い場合は慎重投与となり、ビタミンD又はビタミンD3併用が必須です。高骨折リスクの患者さんにはロモソズマブ後デノスマブ投与を行うことが望ましいと述べられました。非定型骨折については骨吸収抑制剤を使用しない場合が40パーセントと言われているそうです。竹内先生はロモソズマブの臨床試験の結果はビタミンDが充足している患者を対象に行われていることは認識する必要があるとのことでした。高齢日本人女性はビタミンD欠乏症が多いことから活性型ビタミンDについては併用が望ましいとのことでした。又カルシウム剤の投与は必要ないとのことでした。又骨形成促進と骨吸収抑制が同時に得られるロモソズマブは低カルシウムが生じるハングリーボーン症候群に注意が必要で慢性腎障害、胃切除後、ステロイド大量投与患者には慎重投与するとのことでした。斎藤先生は講演では低骨密度、既存骨折患者には適応があり、初回骨折後1年以内の骨折リスクが高くなるので骨形成促進剤を使用する意義が高く、大腿骨近位部低骨密度と脆弱性骨折がある場合も適応となるとのことでした。ロモソズマブ投与後の骨吸収抑制剤の中では低アパタイト親和性のミノドロン酸又はSERMが望ましいとのことでした。又新鮮骨折に対する骨癒合促進に関してはテリパラチドに優位性があることでした。