肩腱板断裂の講演拝聴しました

1/17山口県医師会主催の講演会があり参加しました。自賠責保険のしくみ、人身傷害保険についてのミニレクチャーの後に名越整形外科院長から肩腱板断裂の診断と治療の講演がありました。最近の解剖のトピックスとして上腕骨大結節部に棘上筋腱より棘下筋腱がほとんど占めており、肩甲下筋の付着部は広範囲で特に上方繊維は肩機能に重要とのことでした。又腱板付着部に関節包が存在することも明らかになったそうです。腱板断裂の頻度は80才以上では半数という結果がありますが、一方で腱板断裂の65パーセントが無症候性で、肩痛の36パーセントに断裂があり、無症候性腱板断裂の51パーセントが症候性になり断裂の大きさが増大したとのことで無症候性でも将来症状が出る可能性は説明しておく必要があるとのことでした。画像診断は外来では超音波診断が有用で、MRIは腱板断裂の有無や筋萎縮が見れ、斜位冠状断像が筋萎縮の評価に有用です。治療は除痛と運動障害の改善、上腕の求心位の回復、肩峰下滑液包の衝突症状の除去を行います。中高年で明らかな腱板断裂があれば積極的に手術を勧められるそうです。修復方法は様々な方法がありますがほぼ関節鏡で修復できます。術後二カ月以内に再断裂は生じやすいそうです。画像診断ではっきりしなくても肩腱板機能不全が疑われた場合には関節鏡での確認が必要なことがあります。交通事故で肩関節痛が残存する場合に高齢者では断裂の可能性を念頭におくことや若年でも小外力でも肩甲下筋損傷や腱板疎部損傷が生じる可能性があること、新鮮断裂と陳旧性断裂の見分けがつくかというと変性があった腱板に事故で完全断裂になることもあるそうです。交通事故で軽微な外力でも腱板断裂になることがあるので肩の診察をしておくこともお話されました。又肩の挙上障害で頚椎由来、胸郭出口症候群のことあることもお話しされました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。