高尿酸血症と臓器障害の考え方の進歩

7/21 山口保険医会館で高尿酸血症と臓器障害の考え方の進歩というテーマの講演を拝聴しました。最初は東京女子医大の山中教授の高尿酸血症・痛風の病態と治療の講演でした。日本人は痛風や高尿酸血症の病識が高いそうです。プリン体が尿酸になり高尿酸血症の結果として痛風が生じる流れを理解することが重要です。又高尿酸血症や痛風のリスクを知ることが重要です。痛風は尿酸塩沈着症による急性関節炎です。第一足趾の付け根の関節が多く、足関節、膝関節が続きます。高尿酸血症として関節液の中に溜まっており何らかのきっかけで尿酸結晶が蓄積すると痛風発作を起こします。最近はエコーでダブルコントールサインが有用です。dual energy CTでアキレス腱付着部に沈着を確認できるそうです。発作時に尿酸値は必ずしも高くないことがあるので注意が必要です。過去尿酸値が高い人が急性関節炎を生じた場合に痛風を疑うことが肝要です。高尿酸血症は生活習慣病の側面と遺伝的側面があります。尿酸は腎臓の糸球体で排泄され近位尿細管で吸収排泄されます。ABCG2遺伝子の機能低下があると尿酸値が高いとのことです。プリン体の過剰摂取、ATP大量消費なども危険因子です。痛風発作の前兆期にはコルヒチンを1T飲む、極期にはNSAIDS のみ使用します。痛風発作時には尿酸値を下げる治療をしないこと(治療している場合はやめない)が重要です。痛風の治療薬は尿酸合成阻害薬と尿酸排泄促進剤がありますが最近新しい薬も紹介されました。フェブキソスタットは合成阻害型でも排泄阻害型でも治療効果が期待できるそうです。尿酸値を6以下に下げると発作の頻度が低いのでtreat to targetとなるそうです。

次いで高尿酸血症と心血管障害の研究では第一人者である鳥取大学の久留教授の高尿酸血症と心疾患の講演でした。高尿酸血症の診断は尿酸値が7mg/dl以上ですが放置すると痛風発作を生じます。尿酸値と高血圧発症リスクについて検診の方の前向き研究で5年後に高血圧、動脈硬化、肥満が優位に発症したそうです。キサンチンオキシダーゼが産生した一酸化窒素が血管内皮細胞が増殖して動脈硬化が生じるメカニズムが考えられています。高尿酸血症が尿酸トランスポーターを介して血管を障害するそうです。又高尿酸血症は血管内皮の一酸化窒素の合成を抑制して高血圧を発症するメカニズムが言われています。高尿酸血症の治療で血圧の上昇を抑制するという論文もあります。一方降圧薬のカルシウム拮抗薬やロサルタンは尿酸値を下げる効果もあるそうです。高尿酸血症合併高血圧患者の尿酸コントロールを行うか?という臨床質問に対してシステマティックレビューの結果ではケースコントロール研究ですがメタ解析をすると尿酸治療薬が心血管イベントを抑制することはエビデンスは低いとのことでした。患者の価値感や希望を加味してガイドラインでは推奨度を決めるそうです。最近の論文で高尿酸血症は心房細動の危険因子になる報告を紹介されました。iPS細胞による研究で心房筋に尿酸トランスポーターが存在する、尿酸がキサンチンオキシダーゼにより心房筋細胞の活性酸素を増加することも紹介されました。尿酸生成阻害薬でアロプリノールが最も古いのですが、フェブキソスタット、トピロキソスタットは新薬として使用されています。

最後に帝京大学の内田教授の高尿酸血症とCKD~最新知見から~の講演です。日本の透析患者は32万人で医療費が1.6兆円で原因は糖尿病、慢性腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎の順で、透析導入が高齢化しているそうです。腎機能が低下すると心血管イベント発症リスクが増加します。初期侵襲でネフロンが減少すると糸球体高血圧が生じ尿蛋白が増加して腎障害をきたしますが高尿酸血症との関係は近年注目されてきました。2001年に尿酸値の増加とクリアチニンの上昇が関与することを報告されました。透析の危険因子で尿酸値7以上がオッズ比2.5と高いそうです。又出生時の体重が小さいと腎障害を生じやすいそうです。又ABCG2の遺伝子異常があると75パーセントの腎機能低下が生じるそうです。高尿酸血症と腎イベントの介入試験はエビデンスが高いものはまだないそうです。傾向スコア解析を用いた尿酸のリスク解析を行うと尿酸値が高いと透析導入が早いという結果が出たり、高尿酸とインスリン抵抗が関連するという結果を紹介されました。尿酸値は霊長類になって上昇し、尿酸が高いほど長寿であるので必ずしも尿酸が高いことが悪とも言えないそうです。