サインバルタナショナルミーティング2018に参加しました

1/21はサインバルタナショナルミーティング2018に参加しました。愛知医科大学西原先生が痛みを精神科の視点から再考する
痛みを脳反応から考えてみること、慢性疼痛患者はQOL,ADLが低下しており、休職などの経済損失は3億ドルとも言われています。
器質的要因があっても情動的要因も関与している。運動器慢性疼痛患者で身体症状うつ病など精神疾患に患者の抱えている情動的問題の関与も考慮する、心因性疼痛という表現は使用しないほうがよく、脳機能障害と心理的要因を分ける必要があるとのことでした。
慢性疼痛治療の満足度が低い患者は抑うつ傾向が有意に高い、急性、亜急性期は鎮痛をしっかり行う、禁忌として高度の肝障害腎障害コントロール不良の閉塞性隅角緑内障があることも教えて頂きました。
次いで上石クリニックの上石先生が慢性腰痛におけるデュロキセチンの位置付けについてを拝聴しました。末梢刺激が脊髄後角から脳に伝達され下降性疼痛抑制系が疼痛を抑制しますが慢性疼痛は中枢感作が起こっている状態であること、オピオイドは手術麻酔、緩和ケア、慢性疼痛治療に分けて使用するが、長期使用の問題点を強調されました。
また足底の違和感に対してサインバルタは半数以上は有効とのことでした。
腰痛メインの場合にはデュロキセチンを使用し、下肢痛メインの場合にはリリカを主として使用するそうです。
最後に浜松医科大学の星野先生が疼痛メカニズムを考慮した変形性膝関節症の保存療法について-デュロキセチンレスポンダーの特徴-について講演されました。
軟骨には侵害受容器はなく、膝の変形と痛みは必ずしも相関しないこと、末梢刺激で痛みが持続すると痛みが増幅することを中枢感作といいます。サインバルタの治療成績で85例 13例が副作用で脱落し、サインバルタ投与でヒアルロン酸関節内注射を33パーセント中止できたそうです。中枢感作スクリーニングツール日本語版(カットオフ値30)での検討で中枢感作が高い方が有意に改善していたそうです。手術希望せず鎮痛剤、関節注射が長期になる場合にはサインバルタの適応があるとのことでした。
サインバルタは痛みを感じにくくして日常生活を改善する薬ですという説明をされるそうで、NSIDSからの脱却、コアトリートメントとして
患者教育、運動療法 減量(BMI30以上では5パーセント減量で有効と言われてるそうです。)薬物療法、ヒアルロン酸関節内注射を紹介されました。
しっかり吸収して明日の診療に役立てたいと思います!

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。