日本体育協会公認スポーツドクター養成講習会応用科目に参加しました-1

9/2、3に代診を頼んで日本体育協会公認スポーツドクター養成講習会応用科目に参加しました。基礎科目は整形外科学会スポーツドクターと健康スポーツ医資格を持っているので免除になりました。川原貴先生がスポーツと環境について講義され、高圧環境における運動である潜水について、息止めの世界記録が11分35秒で優れたダイバーは全身の炭酸ガス貯蔵能が大きく、炭酸ガスに対する換気応答が鈍麻しているため長時間呼吸停止を可能としており、スクーバ潜水では肺、中耳腔、副鼻腔の圧挫傷、窒素酔い、減圧症などが生じる可能性があります。高所での低圧低酸素環境では高所馴化、低圧低酸素に関連したホメオスタシスの破綻による高山病などが生じることがあります。冬季スポーツや寒冷地などの低温環境において、寒冷馴化、寒冷障害(凍瘡:しもやけ、凍傷、浸水足、低体温症)があります。又一酸化炭素やオゾンによる大気汚染下では運動で短期間に大量の汚染物資を吸入する可能性があり、気管支喘息を持つアスリートにとって懸念事項です。

次いで丸紅健康開発センターの山澤先生のアスリートの健康管理の実際についての講義を受けました。スポーツドクターの役割として選手たちが最高のコンディションで練習や試合に臨むためのサポート、勝つための内科的コンディション、アンチドーピング教育、メディカルスタッフとの連携などがあり、アスリートの健康管理システムとして選手自身のセルフチェックとセルフケア、メディカルチェック、プライマリケア、2次ケアがあります。海外ではメディカルチェックでは通じず、PPME(pre-participation medical examination)、PHE(periodic health examination)というそうです。日本陸連での週間コンディションチェックを紹介され、グラフ化すると本人の体調からコンディションが予想でき、事前に対策がとられているそうです。トップアスリートに対するメディカルチェックの目的はスポーツ活動中の不慮の事故の防止、健康診断、選手教育などがあります。国立科学スポーツセンター(JISS)でのメディカルチェックとしての採血を紹介されました。女性アスリートに多い鉄欠乏性貧血における鉄剤投与は投薬が基本で静脈注射は原則しないとのことでした。アスリートの貧血対処7カ条として食事で適切に摂取すること、鉄分の摂りすぎに注意すること、定期的な血液検査すること、疲れやすい時は医師に相談すること、貧血の治療は医師とともにすること、原因を検索すること、安易な鉄剤注射は体調不良の元であることを提示されました。又アスリートにおける喘息有病率は12パーセントであるというJISSの結果を示されました。最後にスポーツ選手も一般人と同じでメンタルヘルスを生じるということも強調されました。次いでえだがわ眼科の枝川先生がスポーツと眼科について講義されました。スポーツに関する視力検査で動態視力があり、KVAとDVAという検査があり、視力は競技能力に影響を与え、競技によって影響が異なるそうです(野球が最も影響あり)。競技中に視力が良いのが球技系、悪いのは格闘技系だそうです。視力矯正では競技特性を考慮して選択し、最近ではオルソケラトロジーという特殊なコンタクトレンズを睡眠時装着する方法もありますが合併症もあり、気をつける必要があります。スポーツ眼外傷はスポーツ外傷の2パーセント以下ですが、中高生に多く、野球、サッカーなどの球技が8割で、ボールによる鈍的外傷によるものが8割、後遺症で問題になるのは視力低下であり、予防にアイプロテクターが有効です。眼外傷では眼が開けれない、開けて見えても視力低下、ものが二重に見える、視野欠損がある場合は眼科受診をすることを言われました。

最後にスポーツによる精神障害について講義がありました。アスリートの現場におけるストレス要因としてメランコリー親和型性格(几帳面、秩序を重んじる)、怪我がストレスとなり、うつ状態になること、競技内外の人間関係や家庭生活環境がストレスになること、うつ病と適応障害、オーバートレーニング症候群(高強度のトレーニング持続によって生じる長期のパフォーマンス低下)、睡眠障害、パニック障害、摂食障害、性同一性障害について教えていただきました。