第86回 運動は高強度と低強度どっちがいい?

巷で話題のHIT(高強度インターバルトレーニング)をご存知でしょうか?田畑メソッドとも言われて強い負荷の筋トレを20秒行っては10秒休む、というのを4種目、2周分繰り返す、というもので短時間で脂肪燃焼効果が高いと言われていますが、心拍数もかなり上がるので中高年では注意する必要があります。私もトレーニングする際には心拍数をモニターしながら行っていますが、心拍数が150以上は休憩を入れるなど注意が必要です。高強度(最大筋力の70%以上)の運動と低強度(最大筋力の50%未満)の運動はどちらが効果的か?ということは以前から比較されてきましたが、前回紹介したサルコペニア(筋肉喪失)にはどちらがいいとは結論づけられませんが、中高年で運動を習慣づけるための行動変容を促すという点においては高強度トレーニングの方が有効とのことです。一方で変形性膝関節症には高強度と低強度筋力トレーニングで差がなかったという結果が最新の論文にあるように中高年で肥満や運動不足を実感したときには低強度の運動から行い、痛みが軽減してから徐々に(できれば指導の元に)高強度トレーニングを行うことをお勧めします。腰痛や膝痛のあり運動することに不安がある方は整形外科を一度受診していただき相談してみてはいかがでしょうか?

参考文献

健康支援 20135-1 第151

JAMA2021; 325: 646-657

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。