第81回 コロナ下での運動不足 子供編

コロナ下で外出自粛で運動不足になり体重増加した方は私だけではない?と思いますが、子供達も例外ではないようです。以前子供のロコモ(運動器機能異常)についてお話ししましたが2018年のスポーツ庁の調査でも体の硬さ(立位体前屈で手指が床に届かない)、バランス感覚の低下(片足立ちの保持ができない)など指摘されていました。これに伴い転倒して両手関節の骨折を生じたりするケースも報告が増えました。(当院でも今まで2人いて両腕にギプス固定行いました)臨床整形外科学会が今年7-8月のコロナ下に行った小中高校生817名のアンケート調査で体力がなくなつた」と回答したのは、小学生で35.3%、中学生で44.1%ヽ高校生で55.1%で、「体重が増加した」と回答したのは、小学生で36.9%、中学生で37.4%、高校生で34.9%という結果でした。痛い部位での回答で最も多い部位は小学生が足・足関節で4割超、中学生と高校生は首、腰で3割を超え、中学生は足。足関節も3割弱ありました。

また、国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート」の第1回調査では、テレビやスマホ、ゲームを見ていた「スクリーンタイム」が1日4時間以上の子どもが全体の31%でした。小学生から中学生にかけての成長期は、骨が急速に伸びることで周りの筋肉や腱は常に強い緊張状態にあり、そのために身体の柔軟性が低下しやすく、特に男子に顕著に現れます。これにコロナによる長期休校による運動不足の後、急に運動量が増えたことで、スポーツ以外での外傷も起きています。中高生に一肩こりや腰痛が多いのは、悪い姿勢で長時間、スマホやゲームに熱中することも原因の一つですので、コロナ下にスマホの時間が増加したことの功罪は少なくないと考えます。子供の運動器異常を早期発見するために学校で側弯検診、運動器検診(腰、肘、肩など)が行われていますので異常がある場合は整形外科へ受診してご相談ください。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。