第74回 フレイルの見分け方

フレイル(虚弱)とは、日本老年医学会が2014年に提唱した名称で老化に伴い、身体の予備能が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態です。健常な状態と要介護状態の中間の状態で、筋力が衰える「サルコペニア」という状態から移動機能が低下した「ロコモティブ症候群」を経て、さらに生活機能が全般に衰える「フレイル」となり要介護状態に至ると言われています。

フレイルは動作が遅くなったり転倒しやすくなったりする「身体的要素」、認知機能の障害やうつ病などの精神や心理的な問題を含む「精神的要素」、そして独り住まいや経済的な困窮などの「社会的要素」の3つの要因が関与していますが、最近の論文で身体的フレイルのチェックシートが開発されました。疲労感(気分が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか/何をするのもほねおりだと感じましたか…1.はい・0.いいえ)、筋力(階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか…0.はい・1.いいえ)、有酸素能力(1kmぐらいの距離を続けて歩くことができますか…0.はい・1.いいえ)、活動量低下(1日のうち、座っている又は横になっている時間は、起きている時間の80%以上ですか…1.はい・0.いいえ)、体重減少(6カ月間で23kg以上の体重減少がありましたか…1.はい・0.いいえ)の項目の「はい」の合計が3点以上がフレイルである可能性が高いとのことですので特に前期高齢者の方で当てはまる方は要介護予備軍として早期の対策(リハビリの介入)が必要です。リハビリの基本は足腰の強化で特につかまり立ち、足踏み、スクワットは手軽にできますが間違ったやり方では膝を痛めることもあるのでわからない場合には整形外科にご相談ください。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。