第66回 腸炎に伴う腰痛—炎症性腸疾患関連関節炎

腰痛の原因としては比較的まれですが最近私も経験しましたので解説します。

炎症性腸疾患関連関節炎とは脊椎関節炎の中の1つの疾患です。脊椎関節炎とは脊椎、仙腸関節炎または末梢関節炎を伴う非リウマチ性疾患です。1800年代には強直性脊椎炎と言われていましたが、研究が進むにつれて脊椎関節炎と言われています。血液検査では炎症反応は上昇しますがリウマチ因子などの抗体検査は陰性であることが多く、1970年代には血性反応陰性脊椎関節症と言われていました。炎症性腸疾患関連関節炎はクローン病(口腔から肛門まで主として小腸を中心とした炎症)と潰瘍性大腸炎(大腸のみ炎症)という腹痛、下痢、血便、体重減少を特徴とする原因不明の炎症性腸疾患に伴う脊椎関節炎で1020%に認められます。若い20代前後の男性に多く四肢関節炎や仙腸関節炎が非対称性で強直性脊椎炎に特徴的な竹様脊柱(バンブースパイン)も稀です。脊椎炎、仙腸関節炎を伴う患者の約50%HLA-B27という遺伝子が陽性になります。(ただしこの検査は保険適応ではなく自費になります)症状は緩徐に発症する安静時腰痛で運動で改善します。腰の前屈や後屈ができにくくなります。治療としたは消炎鎮痛剤が有効ですが、炎症性腸疾患を増悪させる可能性があるので長期使用は望ましくなく、抗リウマチ薬であるサラゾピリンやステロイド薬を使用する場合が多いです。生物学的製剤を使用する場合もあります。(保険適応あり)当院にも20代男性で潰瘍性大腸炎で治療中の患者さんで腰痛で来院されX線初見では異常なく、投薬、運動療法で改善しないためMRI撮像して仙腸関節炎が判明したので診断がつきましたが、この疾患の存在を念頭におくことを痛感しました。次回は脊椎関節炎の分類について紹介します。