第41回 ロコモティブシンドロームの認知度とロコモ度テスト

新年あけましておめでとうございます。本年も最新の腰痛のみでなく運動器にまつわる最新の情報を発信していきますので宜しくお願い申し上げます。

最近のロコモティブシンドローム(運動器症候群)の認知度ですが、厚生労働省が掲げる「健康日本21」で2022年までに国民の認知度を80%以上にあげる、「足腰に痛みのある高齢者の割合の減少」という目標に対して、2016年度最新の認知度調査では認知度は47.3%と伸び悩んでいます。特に若い人の認知度が特に低いというデータが出ており、日本整形外科学会も若い人へのさらなる啓蒙が必要と考えており、日本整形外科学会の丸毛会長は、45歳ころから運動器のライフプランを考え、骨粗鬆症など運動器疾患への治療はもちろん、柔軟性低下、姿勢変化、筋力低下などにも早期に介入することで運動器の健康を保つことが大切、と述べておられます。高齢者のみでなく若い人にも運動器の大切さを理解してもらい、将来寝たきりにならないようにするための運動習慣をどうつけていくか?を啓蒙するために学会とロコモチャレンジ協議会と共同して啓蒙ツールを作成、実施しています。その取り組みの一つとして「ロコモ度テスト」を開発し、毎年10月8日を骨と関節の日として、you tubeや様々なイベントなどで紹介、計測も行なっています。山口県臨床整形外科医会でも昨年下関市で市民公開講座を行い、ロコモ度テストを参加者に体験していただきました。

ロコモ度テストは立つ・歩く・座るなどの日常生活に必要な身体の移動に関わる移動機能を確認するテストで、「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」(問診)の3つのテストからなります。「立ち上がりテスト」は下肢筋力を調べる検査で、片脚で40cmの高さの椅子から立ち上げれない場合にロコモ度1(移動能力低下が始まっている状態)、両脚で20cmの高さから立ち上げれない場合にはロコモ度2(移動能力の低下が進行している状態)になります。「2ステップテスト」は大股で二歩分の歩幅を計測し身長で割って、1.3未満でロコモ度1、1.1未満でロコモ度2と定義します。ロコモ度1では筋力やバランス力が低下しているのでロコトレ(片脚立ちやスクワット)やタンパク質とカルシウムを含んだバランスの良い食事をとる必要があります。ロコモ度2は移動機能の低下が進行し、自立した生活ができなくなるリスクが高くなっているので、関節や腰に痛みを生じる場合には整形外科専門医の受診を推奨しています。ロコモ25は25問の質問に答えて7点以上はロコモ度1、16点以上はロコモ度2と定義していますので心当たりがある方はロコモチャレンジのHPから参照してください。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。