山口県臨床整形外科講演会 その一

9/11山口県臨床整形外科医会講演会が山口グランドホテルであり参加しました。最初に山口大学リハビリテーション部の油形先生の肩の愁訴に対するアプローチ(40才以上の患者を中心に)を拝聴しました。肩の愁訴は肩が痛い、肩が挙がらないの2つですが圧痛、NRS,可動域を診察するとのことです。40才以上の肩痛の5大疾患として腱板断裂、肩関節周囲炎、凍結肩、変形性肩関節症、石灰沈着性腱板炎があります。腱板断裂で挙上困難、夜間痛が特徴的ですが手のしびれもあるそうです。腱板断裂の2/3は無症状で50才以上の1/480才以上では約半数と言われています。腱板断裂の診断はMRIT2強調冠状断と矢状断、横断像が診断能が高く、筋萎縮の評価は冠状断像でグータリエ分類を用いステージ2までに手術した方がよいそうです。治療は消炎鎮痛剤、ステロイド関節内注射、リハビリを併用されますが特に40-50才代や明らかな外傷歴のある方、肩甲下筋腱断裂の方は手術をお勧めされるそうです。肩峰下滑液包炎は内旋時痛が特徴的で、拘縮肩は一次性は凍結肩、二次性は関節内、関節外、筋肉性、神経性に分類されます。凍結肩はステロイド関節内注射や運動療法をしますが5-10年で半数は改善するとのことです。変形性肩関節症は痛み改善なければ人工骨頭より人工肩関節置換術の適応になるそうです。腱板断裂を伴う場合にはリバース人工肩関節置換術が適応になります。石灰沈着性腱板炎は急性発症で消炎鎮痛剤、ステロイド注射が著効しますが衝撃波が時に有効です。頚椎症性筋萎縮症も肩挙上困難の鑑別に重要とのことでした。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。