第3回痛覚変調性疼痛研究会を拝聴しました

7/26第3回痛覚変調性疼痛研究会をウェブで参加しました。今年12月にJapan pain weekがあることに関わり、痛みに関わる学会から演者が選出されて各分野での慢性疼痛の中でも一番難しい痛覚変調性疼痛の講演を拝聴しました。

トップバッターとして日本ペインクリニック学会から埼玉医科大学総合医療センター麻酔科 小幡 先生の「麻酔科ペインクリニックからみた痛覚変調性疼痛— 内因性鎮痛系機能からの考察 —」があり、次いで日本腰痛学会からノートルダム清心女子大学 人間生活学部 鉄永 先生の「慢性腰痛と痛覚変調性疼痛:日本腰痛学会の視点から」がありました。日本腰痛学会の立場から痛覚変調性疼痛は慢性腰痛の全てではなく、診断名ではなく治療仮説を立てるための機序概念であるとの事でした。慢性腰痛は世界でも多くの患者数で侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛に痛覚変調性疼痛がオーバーラップしています。3ヶ月以上持続反復し画像初見局所初見より症状が強く、タブ位に広がる痛み、びまん性圧痛、併存症状(睡眠障害、疲労など)、機能障害などを加味して評価する必要があり、red flagを排除し診断ツールを駆使して3つの疼痛の配分をみるとのことで脳も関連しているが脳だけの関与だけでなく脳ー脊髄ー末梢神経、免疫ー代謝のクロストークとして捉えることを教えていただきました。治療はmechanism-basedに構造化して治療目標は機能を回復しながら痛みを下げることを患者さんにも理解、共有するとの事でした。また栄養.代謝の視点も必要であることも追加されました。

続いて日本頭痛学会から福島生協病院 脳神経内科 山脇 先生が「

痛覚変調性疼痛と頭痛」、日本口腔顔面痛学会から九州大学病院 顎口腔外科 坂本 先生が「口腔顔面部の痛覚変調性疼痛—その普遍性、特異性—」の講演、日本運動器疼痛学会から千葉大学 未来医療教育研究機構 清水 先生が「臨床データから紐解く慢性疼痛の心理臨床と集学的治療、日本慢性疼痛学会から神戸大学大学院人間発達環境学研究科 安達 先生が「痛覚変調性疼痛における怒りとどう向き合うか」がありました。怒りは感情・認知・行動の三要素で捉えられ怒りで痛みが増強したり痛みで怒ることもあります。不公平感、怒りの抑制は痛みの増強に相関していました。認知行動療法の観点から怒りの増悪から局所の痛みの増幅に繋がることを具体例を示しながら教えて頂きました。怒ること、怒っている人と関わることはエネルギーを要すること、怒りの体験を話してもらうとその背景に悲哀があり喪失後悔をテーマにして動議付面接、許可付きの情報提供などは有用との事でした。

最後に日本ペインリハビリテーション学会から愛知医科大学医学部 疼痛医学講座 中楚 先生の「痛覚変調性疼痛の多様性をふまえたリハビリテーションの視点と課題」の講演がありました。運動療法だけでは限界があるので患者さんごとに変化しうる要素と隔壁を見極め、自己効力感を高め、生活改善に繋げること、そのために患者教育、行動変容アプローチ、ライフスタイル管理、装具・物理・徒手療法などを組み合わせて各分野の最新の知見を含めて大変勉強になりました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。