整形外科肥満症ウェブ講演会があり拝聴しました。加齢に伴う腰部脊柱管狭窄症や変形性膝関節症には肥満の関与が高いと言われています。最初に帝京大学整形外科の中山先生の講演「整形外科が行う肥満治療」を拝聴しました。大学に運動器ダイエットサポート外来も担当されており減量をサポートする仕組みを構築されているそうです。待機手術患者さんのBMIは平均30以上が3割と多いので減量をサポートすることは運動器疾患の改善につながります。肥満がリスク因子となる疾患として下肢の変形性関節症や腰部脊柱管狭窄症だけでなく母指変形性CM関節症も関与するとのことで脂肪組織から分泌されるアディポ(サイト)カインが関与するとされます。減量により慢性疼痛の改善はエビデンスがあります。疼痛、運動機能改善には10-20%の減量が有用とされます。食事・運動療法がこれまでの治療の中心でしたが限界もあり、2024年から保健適応になった肥満症治療薬(GLP1受容体作動薬:セマグルチド)による薬物療法について紹介されました。BMI27以上、変形性関節症,高血圧・脂質異常・2型糖尿病が一つある方には運動療法(プール、筋力強化)・栄養指導(30回咀嚼など)を行っても改善のない患者さんにセマグルチド治療適応があり1ヶ月おきに増量していくことで15%の減量が期待できるとのことでした。(施設要件あり)整形外科医も肥満症治療にも目を向けることでQOLの向上を目指す重要性を教えて頂きました。
次いで帝京大学内科の宇野准教授の「これからの肥満症治療~内科医からの視点で~」を拝聴しました。肥満(BMI25以上)と肥満症の違いは健康障害があり内臓肥満がある場合肥満症と診断されます。特にBMI35以上は高度肥満症と診断され食事・運動療法、薬物治療の適応があります。生命の維持に肝臓由来や血液・骨髄由来の臓器連携ネットワークがあります。糖尿病患者はコロナ感染後の死亡リスクも高く肥満症の合併を配慮して治療することが重要とされています。GLP-1受容体作動薬による肥満症治療が近年注目されていますが、施設内に内科専門医が必要など施設要件があります。肥満の病態、薬剤特性を吟味して肥満合併症を予防を念頭において治療薬を選択していくとのことでした。

