第10回九州・沖縄・山口OLS研究会ウェブセミナー

8/20 第10回九州・沖縄・山口OLS研究会ウェブセミナーがあり、演者として参加しました。私は中外製薬のオフィスから九州沖縄山口の10名の世話人の先生方と特別講演の萩野先生をウェブで結んで行われました。一般演題として病診連携について病院の立場、診療所の立場、地域医療・医師会の立場として私を含めて3人の先生の演題がありました。次いで特別講演としてリエゾンサービスによる骨卒中予防の重要性〜診療報酬の改定を踏まえて〜を拝聴しました。後側方に転倒すると大腿骨近位部骨折が生じやすいそうです。橈骨遠位端骨折は神様のおぼしめし骨折とも言われるそうですが大腿骨近位部骨折は骨卒中(bone attack)の代表的疾患です。大腿骨近位部骨折は早期手術が重要ですが今回48時間以内の手術に加算がついたことで早期手術への理解が進むと考えるとのことでした。最初の骨折後の骨折をimminent(切迫) 骨折といわれ骨折予防が非常に重要であるとのことでした。今回大腿骨近位部骨折の継続的な二次骨折予防として管理料が認められたことで継続的な骨粗鬆症治療が促進されるとのことでした。運動療法では高強度レジスタンス・インパクトトレーニングで骨密度が上昇するという報告があることを教えて頂きましたが、高齢者には中々難しいので片脚起立などバランス訓練なども転倒予防効果が期待できます。リエゾンサービスが介入すると骨粗鬆症治療率が高くなるとのことでした。骨粗鬆症治療薬の選択として椎体骨折、大腿骨近位部骨折抑制効果のエビデンスの高い薬剤を示して頂きました。骨形成促進剤としてテリパラチドは機能的転機には関与するが骨癒合促進には現状では差はないことも教えて頂きました。又手術後のビスフォスフオネート製剤の投与が手術後の骨癒合促進には影響しないとのことも教えて頂きました。骨折治療のゴールとして治療目標は若年成人比較(YAM値)で70パーセント、できれば77パーセントを目指すことが望ましいとのことでした。最後にパネルディスカッションとしてDXA連携、医科歯科連携の実際について大分地区、沖縄地区、久留米地区、鹿児島地区における連携について4人の先生方の発表後全員討論がありました。各地域での病診連携の取り組みと今後の課題についてディスカッションがありホットな会でした。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。