日本臨床整形外科学会 イン 東京 その1

7/15から東京に行き7/16-17で日本臨床整形外科学会に参加および発表を行いました。
整形外科開業医の参加が最も多い学会ですが結構学術的な発表も多く、臨床の場で役立つ情報も多いです。
肩こりのシンポジウムでは山田朱織先生の発表が秀悦でした。肩こりの治療戦略として難治性肩こりに第一選択にしてほしいのが枕の選択であり、60000人の治療から枕でスムーズな寝返りがあると症状改善するとのことでした。身長体重肩幅が重要で、至適臥位姿勢  は枕と寝台調節で決まる、立位でS字がよいとされるが臥位では直線化するとのことでした。枕を選ぶ基準は高さ  硬さ  再調整の必要性であり、二年に一回は必要とのことでした。臨床研究から仰臥位の頚椎傾斜角15度であることを証明されるなど先生のバイタリティーには脱帽でした。当院でも行っているマチワイヤーを開発された町田先生の 外来で必要な陥入爪、巻爪の治療の講演もよかったです。爪はゆっくり矯正することが大事で、マチワイヤーは日本形成外科学でも第一選択になっているそうです。マチガター という陥入爪の時に使用するシリコーンで糸で固定するものも開発されたそうです。巻爪の原因は詳細は不明ですが爪は指先に外力がかからない(床反力が加わらない)と巻くので、IP外反拇指  外反拇指   扁平足   第4中足骨短縮症(マレット趾)麻痺足 寝たきりは爪が巻きやすいそうです。毛髪と爪は同起源 であり、爪は何の為にあるか? という問いに指先の応力を分散する、ひっかける(爬虫類)、走る(馬の蹄)、つかむ(平爪)ヒト   象やラクダは爪がない、爬虫類はかぎ爪であることも紹介されました。陥入爪の原因は深爪で巻爪に伴う陥入爪は難治性だそうです。(隠れ巻爪)
整形外科脊椎領域における感染症治療の国際医療福祉大学整形外科 石井賢教授の講演では、脊椎手術感染症 は日本で0、9パーセント 、インプラント手術 で6、8パーセント  で、米国で1、9パーセントという報告があります。消毒の始まりは術後の創の化膿は細菌による汚染であることがわかってから始まりました。手術後感染症予防のガイドラインが本年改訂されました。感染症に性差はなく、61歳以上の感染率は約3倍、喫煙は危険率は2倍、アルコールはエビデンスなし、ステロイド、免疫抑制剤使用は約2倍の感染率だそうです。血糖は手術前後に200未満にすることを推奨されています。手術前日シャワー、アルコール消毒を推奨されており、術中イソジン洗浄も推奨されているそうです。手術前の抗生剤投与は強く推奨され、手術後の抗生剤は推奨されないとのことでした。化膿性脊椎炎の早期診断には造影MRIが必要で、保存的治療で改善しなければ手術になりますがMRSA感染症は治療難治性ですが最近では大網移植も行われているそうです。手術では後方に最少侵襲手技で後方固定を併用して早期離床を図るそうです。アクネ菌が感染症の原因になるそうです。
また皆川先生のエコーの講演では超音波ガイド下hydroreleaseについてトピックスを紹介され、刺激を受けました。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。