下関フットケア講演会2017での講演

下関フットケア講演会2017に参加して講演しました。内科系の先生や看護師さん達の参加が多い中で整形外科クリニックで行うフットケアという演題で講演しました。特別講演はフットケア診療の現実 那珂川病院血管外科循環器科の竹内一馬先生でした。足の病気は万病の元で、高齢者が歩けなくなると様々な弊害が生じます。糖尿病合併管理料や透析患者さんで下肢末梢動脈性疾患管理加算が認められたことでフットケアに対する関心、導入が増加していますが山口県でもまだ58パーセントぐらいだそうです。足の病気について足の血流障害の中のブルートゥー症候群、糖尿病性壊疽など代表例も提示されました。皮膚温の左右差、履物、動脈、皮膚の色素沈着、深爪など観察項目を多数教えて頂きました。症例提示として巻爪が原因で化膿して難治例となり壊疽となり、切断に至った症例の動画を見せて頂きました。ガター法として点滴のチューブを爪に挿入する例やマチワイヤーでは足病変重症例には向かないこと、先生のご専門の3TO法で症例提示をされました。巻爪の原因となるすり足歩行ではなく、足趾を踏み込むことなど原因を指導すること、蜂窩織炎、慢性創傷、靴擦れ、低温熱傷、亀裂など提示されました。那珂川病院のフットケア外来は多職種で予防から治療まで行っておられますが、治療の選択肢は引き出しが多い方がいいこと、足病変に立ち向かうフットケア診療として、血行再建術以外は手術も行われており、年間3000人以上診ておられるそうです。外来の様子を動画で紹介され、足の観察のポイントを教えて頂き、3TOの見事な技術を見せて頂きました。靴・インソール外来についても紹介され、靴選びの注意点、履き方のポイントとして踵をトントンして紐をしっかり締めること、リウマチの足病変に対する靴の工夫、閉塞性動脈硬化症の壊疽の患肢のオートアンプテーション、マゴット療法で生物学的デブリドメントの映像も見せて頂き、局所陰圧閉鎖療法、高圧酸素療法を組み合わせて治療されて大切断を免れた方が多数おられることを目の当たりにしました。最後に予防についてNPO法人 足もと健康サポートねっとを立ち上げられ、アクロス福岡での市民公開講座やフットケア指導士による相談などを紹介され、フットケアに対する先生の情熱を感じました。講演の後、竹内先生、座長の前田内科の院長先生と石原看護師さんと御一緒してフットケアについて大いに語らいました。(私の講演の写真は林部長が撮影してくれました。)




 

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。