第1回山口中央骨粗鬆症リエゾンサービス研究会

4/9山口ターミナルホテルで第1回山口中央骨粗鬆症リエゾンサービス研究会が開催されました。これは日本骨粗鬆症学会が骨粗鬆症マネージャー資格制度を介して、骨粗鬆症の治療率向上と継続率向上、治療の連携を目的とした取り組みです。当院の理学療法士の林が骨粗鬆症における当院での取り組みとして理学療法士の立場から最初の発表を行い、山口県立総合医療センター薬剤部の渡邊先生が県立総合医療センターにおける入院患者さんの骨粗鬆症治療率が20%であり、再入院時にも骨粗鬆症治療をされていない割合が高いことを発表され、メディカルスタッフが骨粗鬆症治療に関わる重要性について提言されました。特別公演は熊本から鶴上整形外科リウマチ科の鶴上浩先生でした。全世界で3秒に一回骨折生じている現実があり、骨粗鬆症の治療率が低いこと (大腿骨頸部骨折後19パーセント)治療継続率、服薬率が低いこと、  米国でも一年以内に45パーセント脱落  することもお話しされました。
骨粗鬆症健診率 は熊本で5%、 山口2、1%と低く何故治療継続率低いか?というと治療効果を実感しないためとのことでした。
治療の有効性の評価 としてNNT ( 小さいほど有効な治療)で示すと、  心血管イベント 50-100であるのに対して、骨粗鬆症治療では椎体骨折 で20、大腿骨頸部骨折100、 ビスフォスフォネート剤  5年継続で   NNT21と非常に治療の有効性が高いデータをお示しになられました。服薬中止の理由として 副作用、  病識不足 、 服薬を嫌うなどがあげられます。
そのためには医師1人では難しいのでチーム医療で行うため、日本のOLSサービスが発足し治療率向上と継続率向上、治療の連携を目的として、初発骨折を予防し(一次予防)骨折の連鎖を断つ(二次予防)ということを掲げています。
クリニックでの治療率向上の取り組みとしてポスター教室による啓発、 既存骨折を把握、FOSTA(  体重ー年齢×2 =ー4以下が高リスク)などを紹介され、骨折治療早期から治療計画を立て、 スタッフ全員が「勉強会なども介した取り組みを行われた結果、経口剤 の 継続率81パーセント、 注射剤83パーセントを達成されたそうですが、これでもまだまだということでした。病診連携としての検査連携が重要であることも強調されました。参加者も50名を超えており、当院も鶴上先生の取り組みを見習いメディカルスタッフと共に頑張って行く決意を新たにしました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。