マッケンジー四肢アドバンスコース

マッケンジー四肢アドバンスコースが3/25、26東京であり理学療法士三人と参加しました。講師はWatson先生で英語でスピーチされて国際マッケンジー協会日本支部長の岩貞先生が同時通訳されました。
普段の生活が屈曲位の姿勢 運動が多いので普段使わない方向(伸展)に反復運動をすることが多く、頚椎腰椎はderangementが7-8割位ですが、四肢の場合はderangementの割合が4割だそうです。
今回新たな発見は上肢下肢評価表に分かれたことです。
咳くしゃみで肩に放散 する場合には頚椎の関与を疑い、下肢に放散 する場合は 腰椎の関与を疑います。
評価表には詳細な問診項目があり、 職業、趣味(メカニカルな負荷がないか?)、支障動作、病歴で現在の症状、いつから、きっかけ、発症時症状、背椎脊髄病歴、持続的か間欠的か?悪化因子について前屈 振り向く   衣服着脱  リーチ動作  時間 同じ体勢か動作時増悪するかなど、改善因子についても同様に問診します
動作を続けると改善悪化不変、睡眠障害、安静時痛、既往歴や治療歴、健康状態、服薬有無、画像検査有無、手術、夜間痛、事故歴を聞き、まとめとして急性(一週間ーマッケンジー法では概ねこのように分類するそうです)、亜急性(1-7週間)、慢性(7-8週間以上)なのか?、きっかけ有無を記載し、理学検査の部位を決定します
理学検査では座位と立位の姿勢と姿勢矯正で症状改善するか?神経学的検査を調べて痛み機能のベースラインを記載します。可動域検査、overpressureを加えて運動時に痛みあるか?最終可動域に痛みあるか?抵抗運動で痛みあるか?をチェックした後、脊柱可動域制限や反復運動検査、姿勢保持検査を行って背椎の関与の有無を決定します。その後関節の反復運動検査を行い運動中運動後痛みがあるか?を評価して暫定分類を行います。
脊柱由来かどうかをしっかり評価後、四肢のderangementか否かを評価することを教えていただきました。
四肢の場合はderangement、postural,others 以外にarticulate dysfunction,contractile  dysfunctionを鑑別することが特徴です。
Watson先生から上肢の肩、肘、手関節、下肢の股関節、膝関節、足関節の運動方法の解説がありました。
グループに分かれて四肢の痛みがある参加者を対象に評価を行いましたが私が左母指付け根の関節痛があるので被験者になりました。初日の評価で頚椎の腹臥位での伸展運動で痛みの軽減があったので一晩そのエクササイズを継続しました。翌日朝痛みが移動してエクササイズを継続しましたが手をついた時の痛みが残り再評価で各セラピストに頚椎伸展を負荷を上げて最終可動域まで動かしても痛みが残存し臥位での上位胸椎の伸展運動を講義の間にも行い、痛みの軽減が得られました。当院の理学療法士の河野も積極的に発言してくれました。最後にWatson先生から今のエクササイズをもう数日継続して痛みが残存するなら四肢のエクササイズを行うようにアドバイスを頂きましたので当院のクリデンシャルの林に判断してもらうことになりました。自分では姿勢に気をつけているつもりでしたが胸椎から頚椎の姿勢や柔軟性が低下していることを認識しました。
他のグループで肩後方の痛みの方で肩の屈曲エクササイズでよくなったことを当院の理学療法士の中田が堂々と発表しました。最後に修了書を頂き東京から山口へ戻り明日からの診療に役立てたいと思います



 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。