日本骨粗鬆症学会で発表しました


10/12,13は神戸で日本骨粗鬆症学会がありました。10/12,13の朝から一題ずつ発表がありましたのでビタミンDの検討と顎骨壊死の発表を行いました。台風の影響はありましたが学会場に缶詰状態で他の発表や講演を聞いて勉強しました。その中から新潟手の外科研究所の坪川先生の変形性手関節症と女性ホルモンの関係〜エクオールの可能性〜を拝聴しました。手外科の疼痛疾患は手根管症候群、ばね指(女性が3倍)、デュケルバン腱鞘炎(2.5倍)、へバーデン結節(4倍)、ブシャール結節、CM関節症(4倍)など圧倒的に女性が多いとのことです。ヘバーデン結節の治療は最近は人工関節も行われています。又CM関節固定、関節形成術なども紹介されました。なぜ変形性指関節症が更年期女性に多いのは女性ホルモン(エストロゲン)の関与がありβエストロゲン受容体は骨関節によることがわかってきました。腱鞘炎、手根管症候群は妊娠出産や閉経後に多く,ヘバーデン結節などは閉経後に多いのもそのためです。エクオールは大豆イソフラボンの代謝産物でエストロゲンと構造式が似ており日本人は半数はエクオールを産生出来なないそうです。期待される作用は手指関節のみに効くわけではなく肌のつやなどにも効果があるそうです。(3ヶ月で約半数との報告あります)又東京慈恵医大准教授の斎藤充先生の「それってエビデンスありますか?」を拝聴しました。論文は英文でPubmedにのってインパクトファクターが付いているものが意味があり、ガイドラインに載るものはエビデンスが高いとされます。100件のエビデンスのうち23件は2年以内にはくつがえされうる、そのうち7件は論文が出た時点でくつがえされていたそうです。EBMに基づく医療とはエビデンスのみでなくエクスパートオピニオンも取り入れます。骨粗鬆症の治療開始基準は原発性以外は載っていないのですがステロイド性骨粗鬆症治療開始基準は優れています。FRAXの25パーセント以上は骨折リスクが高いエビデンスがあります。骨は新陳代謝が亢進しているので治療効果が高いのですが構造学的な質の評価はDEXA、HR-pQCTで行っていますが骨質には善玉と悪玉架橋があり、生活習慣病で活性酸素や酸化ストレスが増加すると全身性コラーゲンの過剰老化が生じ、高い骨密度でも骨折を生じやすくなります。ラットでの動物実験は骨が新陳代謝しないので動物実験には適していないそうです。
しっかり吸収して帰りました。
 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。