第8回長州スポーツ整形塾でラグビー傷害を学びました


3/21第8回長州スポーツ整形塾があり参加しました。今回はラグビー特集で、宮崎大学整形外科の田島卓也先生がラグビーにおけるメディカルサポート体制の構築と外傷障害の競技特異性について講演されました。日本代表ドクターの資格は日本体育協会公認ドクターでラグビー外傷に精通しており、かつICIR/PHICISレベル2以上の資格が必要だそうです。複数の人数で任期制だそうで、整形外科だけでなく、内科、脳神経外科、歯科などもおられるそうです。共通メディカルチェックとして心エコーも4年に1回チェックし、クラウド型電子カルテを共有しているそうです。メディカルキットとして点滴、薬剤、物理療法機器やエコーも含まれているそうです。試合時に選手の状況を見て必要があればグランドに入り、選手のコンディショ二ング、体調管理は最近では電子媒体でされているそうです。気候対策、感染症予防、食事、飲水、ドーピング検査への対応の管理も紹介されました。キャンプ地でのメディカルの対応で地域のリエゾンドクターを介して後方支援病院(MRI,CT)の確保も必要だそうです。ラグビーワールドカップはラグビーワールドカップリミテッドという組織が主導で準備するそうです。

次いで聖路加病院整形外科の田崎篤先生のラグビーの肩関節外傷との苦闘の講演がありました。ラグビーは繰り返し衝突しながら起きて走り続けるスポーツでcollision sportsといわれます。ラグビーの肩関節外傷は肩関節脱臼、肩鎖関節損傷が多いそうです。肩外転で弾かれるような外傷では腱板断裂もあるそうです。又肩甲骨骨折、腋窩神経麻痺などの症例も提示されました。外傷性不安定症では脱臼しない例も2割あり関節窩骨折があるかをCT撮影で確認した方がいいそうです。不安定性疼痛肩は難治性で関節鏡検査で確認して病態を確認する必要があるそうです。脱臼後バンカート手術単独では再発率が比較的高く、ブリストー手術も併用されるそうです。又バンカート手術は骨性病変は摘出せずに残すことでリモデリングが期待できるとのことでした。再脱臼予防にサークルスタビリティーコンセプト、適度な緊張、関節包の全周性縫合することが重要とのことでした。

次いで杏林大学整形外科の長谷川先生のラグビーにおける脊椎(頚椎)外傷、障害と脳震盪の取り組みについての講演がありました。ラグビーなどcollision sportsは頭部、頚椎外傷が多く、傷害発生時頸部固定、ABC、競技続行の判断が求められます。片側性に繰り返す上肢の痛みのバーナー症候群という疾患は筋力低下は伴わないのですが混同されて用いられているそうです。一過性四肢麻痺の急性脊髄損傷、椎間板ヘルニアによる神経根症、頚椎脱臼骨折、頚髄損傷はフランケルAであっても受傷後4時間以内の手術では改善の可能性があるとのことで早期の手術が望ましいとのことでした。頚髄症の選手でも低侵襲手術などで9割は競技復帰できるそうです。頚椎外傷の予防として衝突の際にハイタックルの禁止、頚椎周囲の筋トレなどもありますがメディカルチェックを定期的に行うことが必要で上位頚椎奇形があると禁忌だそうです。環軸椎不安定性で後方固定手術後は復帰は禁忌であるとのことでしたが術後競技復帰についてはケースバイケースだそうです。脳震盪は外傷性脳損傷で意識消失は10パーセントだそうで臨床症状で診断するそうです。繰り返し生じると認知障害、平行機能障害などに至るので注意が必要です。HIA(head injury assessment )、R &R(recognize and remove)などの基準があり初回の場合は1週間で競技復帰としますが2回目は3週間かかるそうです。

最後に順天堂大学の高澤先生のラグビー外傷のあれこれ~下肢疾患を中心に~の講演を拝聴しました。ラグビーでの下肢外傷の割合は高く、前十字靭帯損傷の頻度も高いそうです。ただし再建靭帯の再断裂も若年者、コンタクトスポーツでは多く16パーセントぐらいだったそうです。後十字靭帯断裂も比較的多く、自覚症状がないことが多いそうです。外側半月板損傷は部分切除が行われてきましたが早期復帰すると軟骨損傷がおこりやすい報告があり、最近では縫合術が行われています。筋損傷は打撲、肉離れ、筋挫傷があり、ハムストリングのタイプ2損傷は復帰に時間がかかる時がありリハビリで理学療法士、アスレチックトレーナーとの連携が必要だそうです。大腿部挫傷はモモカン、charley horseと言われています。早期に膝屈曲位で内部に血腫ができないような工夫が必要です。