鎮痛薬と心腎連関を考える会

3/1. 山口グランドホテルで鎮痛薬と心腎連関を考える会があり参加しました。山口県立総合医療センター循環器内科の池田安宏先生がその患者さんにNSAIDSを使って大丈夫ですか?という興味深い講演でした。心疾患のある患者さんにNSAIDSを長期使用すると弁の逆流があり心不全が生じ、NSAIDSをやめると速やかに良くなった例を提示されました。心不全とは、様々な原因により心臓の能力が低下して起こる不健全な状態で高齢化に伴って増加の一途をたどっているそうです。県立総合医療センター循環器内科でも年々増加しており、年間250人に上るそうです。NSAIDS はcox1,cox2を阻害して痛みを押さえますが、尿量減少や体液貯留などで心不全が生じてきます。心不全の性別は女性に多く、再入院率は48パーセントあり、75歳以上は予後が悪いそうです。慢性心不全患者さんの14パーセントがNSAIDS を内服しており、内科系のDrの処方が半数あったそうです。人工弁術後の運動器の痛みを押さえるためにNSAIDS 使用で感染性心内膜炎の発見が遅れた症例を紹介され勉強になりました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。