下関フットケアレポートその二

1/28下関海峡メッセでフットケアの日2018 in 下関の内容です。
下肢動脈治療への取り組みと下関の現状について下関市民病院循環器内科の辛島先生が講演されました。下関は高齢化が進んでいますが心臓カテーテル治療は最近増加していないそうです。間欠跛行があるときに整形外科を受診する機会が多くその中で閉塞性動脈症が1/4あるそうです。こむら返りが症状の初発であることもあり、60才以上にABI0.9未満が1/4存在することも念頭におく必要があります。ABIの弱点として強い石灰化では正常化することがあります。画像診断では血管エコー,SSP,血管造影,MRangioなどがあります。CLI(重症下肢虚血)をいかに防ぐか?を強調されました。EVT(末梢動脈血管治療)症例数では山口県内一だそうですが早期発見早期治療が重要であり、ABI0.9以下では下肢のみではなく、循環器内科に紹介して心臓も精査した方がよいということコメントもいただきました。
次いでシューズクラトミの河合先生が靴の履き方選び方について講演されました。整形外科でのご経験ではアーチサポートが多かったそうですが、フットケアでは免下、除圧の要素が入ってきます。靴の選び方でまず適切なサイズを選ぶことが重要です。靴のパーツでヒールカウンター,シャンク,トゥボックスがありそれぞれの特徴を紹介されました。底材の特性で合成ゴム,革底, EVA,ポリウレタンがあります。手で持って軽い靴や芯のない柔らいシューズは避けた方がよく適度な重さで履くと軽い靴がいい靴だそうです。爪先が1cm余裕があること,紐やベルトがあるもの,踵が抜けないこと,横アーチがあっていることなどポイントを教えていただきましたら。
特別講演で西田先生に「みてみよう、やってみようフットケア」の講演がありました。2/10はフットケアの日ですとの紹介から始まりました。なぜ医療や介護でフットケアが必要か?ということをわかりやすく説明していただきました。高齢者の転倒の原因として足把持力低下が関与しており巻き爪や陥入爪の関与が大きいとのことでした。予防的フットケアでは見た目のきれいさ、みえない病変の早期発見も担っています。免疫力低下、血流障害、神経障害、皮膚障害などが関与してきます。足のアセスメントとして皮膚、爪、形、血流障害、神経障害などを見ていく必要があります。べんち(たこ)、鶏眼(うおのめ)、巻爪、陥入爪のケアのポイントなども教えていただきました。今履いている靴の観察のチェックポイントを教えていただきました。フットケア初心者は保清、保湿、保護の3つのことから始まるとのことでした。西田先生の実技のデモンストレーションがありべんちのコーンカッター、キュレットでの削り方や爪のスクェアオフの切り方、グラインダーでの削り方がよく分かりました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。