フットケア神戸セミナー

9/17神戸で日本フットケア学会神戸セミナーに参加しました。ランチョンセミナーで西田壽代先生の「足から紐解くココロ、ココロから詠み解く足」という演題を拝聴しました。西田先生はフットケア指導士認定テキストの著者でもあり、フットケアの先駆者でもあります。足は潜在意識が現れやすいところであり、無意識の足の状態から隠れた病気を紐解くこともできるよう意識することが必要とのことでした。足に触れることはココロに触れることであり、ココロあるケアをするとケア自体への信頼が高まり、プラセボ効果をうまく利用することをお話されました。次いで下北沢病院足病センターの菊池先生の一歩進んだフットケア〜なぜそこに胼胝が出来るのか?〜の講演を拝聴しました。胼胝は皮膚の角質層が肥厚した状態であり、足首の関節の動き、足のアーチ、蹴り出しは?足部の変形、履物の問題が考えられます。足底圧は重力の床反力であり、歩行運動は地面からの反力を適切な圧に変え、前に進むことであり、踵接地(ヒールロッカー)から足関節を底屈させ(アンクルロッカー)前足部を踏ん張って(フォアフットロッカー)蹴り出します。アーチの変化として加重時距骨下関節の回内回外があります。回内で扁平足化し回外でハイアーチ化します。胼胝は歩行における足底圧の歪みであるので同じ環境下では何度でも発生するのでオフローディング(歩行環境の改善)する必要があります。足趾間や内外側の病変は靴による影響を考えます。前足部の胼胝は足関節の可動域制限と関連があり、第一足趾の胼胝は第一足趾MP関節の可動域制限距骨下と関連があります。第1、5中足骨MP底側の胼胝は回外、ハイが原因アーチ、第2-4足趾MP底側の胼胝では扁平足が原因とのことでした。胼胝の防止にはオフローディングが必要あり靴の中を見ることなどチェックポイントを解説していただきました。フットポスチャーインデックスに基づきライブで距骨下関節の回内回外、扁平足の見方など教えていただきました。最後に手術についてはアキレス腱延長術などの足関節可動域の改善と骨の変形矯正(中足骨骨頭切除など)、装具の選択などを解説していただきました。
最後に神戸大学形成外科の寺師教授の静脈うっ滞性潰瘍の病態、治療、予防の講演を拝聴しました。静脈うっ滞性潰瘍とは静脈の還流障害が原因です。動脈は心臓がポンプですが静脈は下腿の筋肉がポンプになり第二の心臓とも言われています。深部が8割で中年女性に多く、大伏在系穿通枝が8割、リウマチ患者に合併しやすいと言われています。弾性ストッキング包帯使用が再発予防に重要です。弾性包帯は足関節付近の圧迫圧を高くして上ほど圧迫圧を低下します。慢性静脈不全症にCEAP分類があり静脈が4mm以上であると静脈瘤で、C5、6が潰瘍になります。PAD(閉塞性動脈硬化症)が2割合併するのでABIの検査も必要とのことでした。静脈うっ滞の検査にはduplex scan(静脈エコー)が必要です。再発率はストッキングを履いても3割あり、履かなければ100パーセント再発します。潰瘍の治療は浸出液が創周囲に漏れると皮膚炎を起こしやすいので適切なドレッシングが必要とのことです。圧迫包帯は足関節から大腿まで同じ張力で巻くといいそうです。手術前後の深部静脈血栓症の予防としての弾性ストッキング装着が閉塞性動脈硬化症が合併している場合があるので足背動脈、後脛骨動脈を触知するか?をチェックする必要があるとのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。