かかりつけ医研修会 その3

最後です。内科の勉強しっかりできました。
禁煙指導

タバコの煙には本人が吸う主流煙とタバコから立ち上る副流煙があり、多くの有害物質(ニコチン、タール、発がん物質など)が含まれ、副流煙の方が数倍から数十倍多いです。肺がんのみでなく、口腔ガン、喉頭がん、食道がんなども引き起こし、子供の中耳炎や喘息への影響もあります。日本の男性の喫煙率は30パーセント、女性は8パーセントで男性は低下していますが女性は横ばいです。日本では能動喫煙で年約13万人が死亡し、受動喫煙では年15000人が死亡しています。


 

健康相談

健康増進の考え方は1946年にWHOが提唱した「健康とは単に病気ではない、虚弱でないというのみならず、身体的、精神的、そして社会的に完全に良好な状態を指す」というところから1980年以降は健康増進は個人の生活習慣の改善だけでなく、環境の整備を合わせたもの(ヘルシーシティ)へと変化しています。

禁煙、節酒、減塩、運動、適正体重の5つの健康習慣を実践しているグループのがん相対リスクは男女共直線的に低下し、健康習慣を一つ実践するごとにがんのリスクが男性で14パーセント、女性で9パーセント低下することが明らかになりました。

健康日本21では10年後に目指す姿を「すべての国民が共に支え合い、健康で幸せに暮らせる社会」とし、希望や生きがいを持てる基盤となる健康を大切にする社会、誰もが健康づくりの資源にアクセスする社会、社会環境の改善を図り、健康格差の縮小を実現する社会を目指すとしました。臨床医ができることは社会心理的な困難を抱える人たちを見出し、非医学的問題について相談にのり、自己肯定感を高めるように支援し、患者会、家族会を支援しそこをつなぐことで孤立や不安の緩和をすることです。高齢者の低BMIは総死亡率を増加することから、フレイル、サルコペニアの危険がまし、要支援、要介護のリスクが増大するため、その予防が求められ、栄養、身体活動、社会参加の3本柱が健康長寿に重要です。前期高齢者以前ではメタボ、過栄養対策などの生活習慣予防が中心で、前期高齢者では過栄養と低栄養を判断して戸別に対応し、後期高齢者では低栄養、フレイル予防が中心となるとのことです。


 

介護保険

日本の介護保険制度の特徴は保険者は市町村で被保険者は65才以上の第一号保険者、40-65才未満の第二号保険者となり50パーセントが公費が導入されています。要支援は予防給付であり、介護認定にコンピューター判定を導入されたこと、在宅療法が主流、ケアマネジメントの導入、市町村を中心にしたシステムであることが特徴です。介護保険には介護認定という給付額制限があること、給付内容の決定権は本人、家族になります。介護認定審査、ケアマネジメント、介護予防が今後介護保険制度成功の鍵になるそうです。介護保険利用者に対するかかりつけ医の役割として本人の心身の総合的健康管理、介護者を含めた家族全体の健康管理、本人、家族の意思決定に対する援助、

在宅医療 、チームアプローチのコーディネーターであることが求められます。主治医意見書が大事で特定疾病を傷病名の1に記載すること、介護の手間がどの程度になるか?状態の維持、改善性の評価、介護サービス計画作成時に利用すること、その他注意点を教えて頂きました。



 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。