11/7令和7年度小児救急地域医師研修事業講演会がありウェブで参加しました。講師は公益財団法人日本AED財団 理事 桐淵 博先生で「子どもたちのいのちを守るために~ ASUKAモデルと小学校からの救命教育の推進 ~」を拝聴しました。医師は救命処置を行いますが、実際現場では人が倒れた時に一般市民ができることを普及していき、小学生からできることを教育する必要性を勉強しました。平成23年に埼玉の小学6年生の桐田明日香さんが駅伝の練習中突然倒れて亡くなった際に死線期呼吸を知らないため先生たちが救急車到着までAEDを使用しなかった事実を契機に埼玉市教育委員長であった桐淵先生は、事故を教訓にして埼玉市はASUKAモデルを確立されました。埼玉市では教員が多数心肺蘇生法を学習して疾病者発生時対応訓練をしたり、小学5年生から講習会を開始し事故後AEDの使用が39例に増加したとのことでした。人の生死に素人は手を出さないという社会意識が問題であり、以前は学校では養護教諭が来るまで手を出さないという認識が多かったそうです。AEDの普及だけでなく小学生から心肺蘇生法の教育により躊躇せず心マッサージとAEDを使用するパラダイムシフトを広めることが肝要であるとのことでした。ASUKAモデルは「わからなかったら救命処置を始める」という認識の普及を目指しています。最新の市民によるBLSのアルゴリズムでは呼びかけに反応しない場合胸骨圧迫しながらAEDを装着することが明記されています。学校での突然死は年間30-60名あり体育授業中が多い、心室細動が原因の場合が多く、心室細動後数分で心停止に至るのでその間に心肺蘇生法を行わないと脳に血流がいかないことなど実際のAEDに記録された心電図と現場の音声、AED使用後の心電図の波形の回復も提示して頂きました。AEDの使用の決定と使用はスキルよりマインド、学校であれば3分以内に電気ショックを使用できるように訓練することを目指すとのことでした。健康な人でも生じる心臓震盪(ポールが前胸部に当たって心停止が起こる)の例やpushプロジェクトメッセージも紹介され、AEDを装着されたら周囲の人を落ち着かせる(応援の声でAEDの音が聞こえにくくならないように)ことも教えて頂きました。教職員に対する桐淵先生の講演後のアンケートでは心肺蘇生やAEDの有効性の理解と安全性の理解することで自信の向上にはつながっていますが養護教諭以外はまだまだできると答える人は増加していないので更なる認知普及が必要とのことでした。学校で心臓疾患のある生徒に毎年仮想訓練をしていたので養護教諭が来る前に心臓マッサージ後速やかにAEDを使用できた先生達の行動、現場から119番通報しないと状況が伝わらないこと、AEDの種類があるので事前に確認することなども詳細に教えて頂きました。子供にもみんなで命を守ろうという認識で教育、訓練することの重要性を学びました。先生の明日香さんの死を教訓にした取り組みに非常に感銘を受けました。

