寒竹先生の「腰痛の病態と薬物治療の実臨床」の講演を拝聴

5/15 痛みを考える会イン吉南が山口維新ホールであり参加しました。山口労災病院脊椎脊髄外科部長の寒竹先生の「腰痛の病態と薬物治療の実臨床」の講演を拝聴しました。日本の運動器慢性疼痛治療の現状、山口県腰痛スタディ、腰痛の病態に応じた薬物治療について講演されました。運動器慢性疼痛の有病率は15%で2000万人と言われています。腰痛はその中で一位で治療は約半数が受けていますが満足度が低いとされています。原因病態の把握とそれに対する治療とされ2012年の腰痛ガイドラインでは腰痛の原因が特定できるものが15%(特異的腰痛)とされていましたが2015年に山口県腰痛スタディにおいて整形外科医が診断できる特異的腰痛は78%(うち従来の特異的腰痛21%)という結果から2019年腰痛ガイドラインではこの結果を提示されました。この中で一番多い原因の腰椎椎間関節症の特徴は腰椎伸展時痛、腰部から大腿に放散痛がある、ケンプサイン、ワンポイントテンダネスなどが特徴的とのことでした。注意する腰痛としてびまん性脊椎骨増殖症に伴う椎体骨折は遅発性麻痺を生じやすいので手術になることが多いとのことでした。又非常に稀な化膿性仙腸関節炎、腸骨筋膿瘍も提示されました。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症の解説もして頂きました。

最後に腰部脊柱管狭窄症の薬物療法についてはミロガバリンの効果について紹介されました。慢性疼痛患者で神経障害性疼痛を合併するのが64%とのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。